
「信なくば立たず」――この言葉にあるように、私は今、率直で透明性・公開性ある政治を推進し、国民の政治への信頼を回復すること、そして、国民生活に重きを置いた政策の実現に全力を挙げなくてはならないと強く思うものであります。公明党は参議院選挙で示された民意を真摯に受け止め、「大衆とともに」の立党の原点に立ち、国民生活の向上に全力を挙げる決意であります。
この数年の構造改革は大きな成果を挙げました。しかし、今、構造改革は何のために推進してきたのか、その改革の原点を再確認した上で、都市と地方の格差、正規雇用と非正規雇用との格差、若者の雇用、高齢者の生活などに真剣に取り組むことが大切であります。公明党は景気回復の恩恵を受けていない庶民や中小企業や、地域で困っている人の側にどこまでも立って、困難を乗り越えていく勇気と希望を与えていくことを基本としなければならないと考えます。実りある論戦で結果出すべき
四つの課題
私は、日本の政治・経済はまさに正念場、大きなヤマ場を迎えていると思います。今、政治が停滞することは許されません。社会の激変を直視し、気迫をもって切り開くリーダーシップが今こそ望まれています。そして国会には、実りある論戦と結果を出す責務があります。
第1は、経済の持続的な成長と、さらに構造改革による景気拡大の流れを「都市から地方へ」「大企業から中小企業へ」「企業から家計へ」の三つの波として波及させなければなりません。地方や中小企業、そして国民生活が元気になってこそ日本経済は確たるものとなり、未来への展望が開かれるのであり、まさに正念場であります。
第2に、財政健全化への道筋です。
国・地方合わせて約770兆円もの借金をかかえる厳しい財政状況下にあって、歳出・歳入一体改革は待ったなしです。ここ数年、行財政改革に徹底して取り組んでまいりましたが、2011年度までに国と地方のプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化へ向け、さらに徹底した歳出削減など、ムダ・ゼロをめざす改革を実行しなければなりません。
第3に、本格的な少子高齢社会への対応です。
特に、年金、医療、介護などの社会保障制度をいかに維持し、信頼されるものにしていくか。医療や介護に予防重視の視点も取り入れ、制度設計を見直しましたが、今後も支え手の減少をカバーするために社会保障の基盤をいかに強固にしていくか。特に少子化対策は、これまで以上に具体的に手を打っていかなければなりません。
第4は、地球環境問題への対応です。
地球温暖化、気象変動は、いまや国民の生活実感となっています。
今年のハイリゲンダム・サミット、来年の北海道洞爺湖サミットで地球環境問題が主要議題に位置付けられ、未来に向けて持続可能な社会を構築していけるかどうかが世界共通の課題になっています。わが国は世界に誇る環境技術を持っており、世界でリーダーシップを発揮できる立場にあり、その責任はますます重要となっています。
私はまず、正念場となっている四つの課題を申し上げましたが、この日本をどうするのか。政治が常に改革を志向し、直面する課題に真正面から取り組み、「未来に責任を持つ政治」を貫かねばなりません。総理のご決意を伺います。
地域の活性化と中小企業支援
そこでまず、地域の活性化と中小企業支援に力を注ぐことを提起したい。
私はかねてから、地域の活性化については、地域資源の活用を図ること、人材の育成とインフラ整備、そして地域の「ヒト」と「ワザ」を生かして地域の産業集積の活性化を図ることを主張してまいりました。
しかし総理、一口に地域といっても、それぞれの地域が直面している状況は千差万別であります。総合的な支援策と地域に即した個別的な支援策、そして、地域の内の力と外からの力という視点をもって、戦略的かつ具体的に対策を講ずる必要があります。
したがって、外から新たな活力を注ぎ込む企業立地や、地域の総力を結集したイノベーションの創出を促すことが不可欠です。今後は、地域に必要な財源を確保するための税制改革の実現や予算措置などを積極的に活用し、地域の主体的な取り組みをしっかりと支援していくことが重要であります。併せて、地域コミュニティーの再生や必要な社会インフラの整備、そして、地域経済を支える農林水産業と地元企業との連携への支援も重要と考えます。
さらにこれに加えて、私は、一部の市町村で行われているように、大都市から自然や健康環境のすぐれた地方に、熟年・高齢人口が移動できるような地方の活性化策を構築すること。あるいは、"地域の絆づくり"という観点から、例えば、地方中核都市を中心に、高齢社会を見据えた"病住近接型"のまちづくりを進めることなど、グランドデザインを描きつつ、地域社会のシステムをつくり変える大きな知恵が必要ではないかと考えます。総理のご所見を承りたいと存じます。
次に中小企業対策です。
日本の経済は全体として緩やかに息の長い景気回復を続けていますが、大企業における景況感の回復に比べ、中小企業の回復は明らかに遅れており、中でも資本金1000万円未満の中小・小規模企業の利益率は減少しております。
したがって、担保や自己資金が不足しがちな中小・小規模企業への手厚い金融支援が不可欠です。併せて、無担保・無保証の新創業支援制度の拡充、起業や再チャレンジへの支援、下請け取引の適正化、経営能力の向上などに力を注がねばなりません。
さらには、中小企業の事業承継の円滑化をいかに図るか、これも今後の重要な鍵を握っています。今、中小企業の4社に1社しか後継者がいない。このままで続くと年間7万社が廃業に追い込まれるとの推計もあり、今後10年間で失われる雇用吸収力は、350万人にも上るといわれています。今こそ、事業承継税制の抜本的拡充が重要であり、予算、制度面を含め、事業承継の円滑化のための手だてを政策集中させる必要があります。中小企業への支援強化策について、総理および経済産業大臣のお考えを承りたい。
搬送システムの強化が急務
救急医療体制の整備、産科、小児科医師不足対策への対応など
8月末に緊急搬送先が決まらず奈良県在住の妊婦が救急車内で死産したという、痛ましい出来事が起きました。昨年8月にも同県で、分娩中に重体となった妊婦の転院が断られ、死亡した事件が起きております。私は、この事件を深刻に受け止め、少子化、救急医療、産科・小児科などの医師不足対策を連動したものとして、戦略的に取り組むことを強く求めたいと思います。
それにはまず、「24時間体制で緊急時の受け入れができる産婦人科病床の整備」「緊急に妊婦を受け入れる広域連携システムの構築、空きベッドの表示システムの整備」、そして、「ドクターヘリ、消防防災ヘリ、ドクターカー、救急車などを組み合わせた搬送システムの強化」などを連動したものとして確立すること。そして、救急患者の受け入れを確実に行うためのシステムづくりを促進する法整備を図ることが必要です。
特に大切なのは、産科・小児科などの医師不足対策であります。それには、医療事故での訴訟の増加、昼も夜もない産科・小児科医などを取り巻く過酷な環境、診療報酬の問題など、構造的な諸問題に手を入れなければなりません。政府・与党でこの五月、対策を打ち出しましたが、医師不足対策については、長期的な観点から、医師の養成のあり方を見直すことが重要ではないかと考えます。医学部の入学試験において、地域医療への意欲などを総合的に評価することはできないか、また、地方の国立、公立大学では、それぞれの地域の医療を担う医師の育成を最優先し、卒業後の生涯教育システムを確立すべきではないか。このような医学部の入試方法や教育のあり方について、文部科学大臣、厚生労働大臣のご見解を伺います。
高齢者医療制度の見直しなど
次に高齢者医療制度の見直しについて、伺います。
来年4月から70歳から74歳の高齢者の窓口負担が1割から2割に引き上げられる予定となっています。一口に高齢者といってもその生活実態はさまざまであり、年金収入や就労状況、借家で家賃負担がある方、そして介護費用などを勘案すると、厳しい生活を余儀なくされている高齢者が数多くおられます。こうした実態を踏まえつつ、この際、高齢者医療費の負担増問題は少し時間をかけ、あるべき高齢者医療制度について論議し、その間は、窓口負担の引き上げを凍結すべきと思います。先の自公連立合意を踏まえ、検討が進められていますが、総理の見解を伺います。
併せて、後期高齢者医療制度について、家族の扶養親族になっている75歳以上の高齢者からの新たな保険料徴収も凍結すべきです。「制度」そのものは今まで議論を重ね設計をしてきたので、変更する必要はないと考えますが、負担増になる方へ配慮する観点から、その実施時期については、慎重な判断が必要だと思いますが、総理のお考えを承りたいと存じます。
また、障害者自立支援法については障害者福祉サービスの普遍的な充実と自立と社会参加を進めるという理念の実現のため、2008年度までの利用者負担の軽減、事業者に対する支援などの特別対策を踏まえ、障害児など利用者負担の軽減や障害者の対象の拡大など、同法を抜本的に見直すべきだと考えますが、総理のご見解を承りたい。
少子化対策の推進
「少子化対策」につきましては、まさに待ったなしであります。
児童手当の拡充を中心とする経済的支援は極めて重要であり、支給対象を中学3年生まで引き上げることを主張します。この児童手当とともに、育児休業制度の拡充、妊産婦無料健診の推進、ニーズに応じたキメ細かい保育サービスの充実など、個々のライフスタイルにおける選択をよりサポートしていくことが求められております。
今こそ官民が子育て支援の環境整備と仕事と家庭の両立支援へ向けて、総力を挙げるべきです。
また、母子家庭への就労支援を充実する代わりに、児童扶養手当が来年4月から一部削減されることになっていますが、低賃金で生活苦から抜け出せない母子家庭が多く、就労状況の改善も十分でない現状にかんがみ、児童扶養手当の見直しは凍結するとともに、就労支援を本格的に進めるべきです。以上2点について、総理のご見解を求めます。
雇用対策
雇用対策について伺います。バブル経済崩壊以降急増したパート労働者、派遣といったいわゆる非正規労働者の処遇が十分改善されておりません。賃金水準の底上げをはじめ正社員と均衡の取れた処遇を実現していくことが求められています。また、正社員、特に30代の若手社員の長時間労働を是正していくことは、緊急の課題です。公明党が強力に推進してきたワークライフバランスをめざす観点からも、今国会の重要法案である、最低賃金法などの労働3法も含め、雇用対策についての総理、厚生労働大臣のご決意を伺います。
雇用状況については、新卒者の就職内定率が大きく改善されるなど明るくなっておりますが、その中で、就職氷河期のいわゆる年長フリーターの方々を取り巻く環境は、依然として深刻であります。この方々が安定した職業に就いて、家庭を持ち、次の世代を育んでいけるよう今、国を挙げて取り組むべきと考えます。本年改正された雇用対策法の求人募集年齢制限禁止の趣旨を踏まえて、積極的に企業の理解と協力を求めていくべきと考えますが、総理のご見解を伺います。
年金制度改善策の推進
年金制度について申し上げます。
まず、国民を不安に陥れている年金記録問題については、最後の一人まで救済すること、また、こうした事態がなぜ放置されてきたかについて徹底した検証を行い、責任を追及すべきことを強く申し上げます。しかし、記録問題が解決しても、なお受給権に結びつかない無年金の方がいらっしゃいます。私は、保険料の追納期間の延長と、受給資格期間25年の短縮を検討すべきと考えます。さらには、低年金対策や国民年金の給付水準の引き上げなど、老後の生活保障の基盤である年金をより強固にする取り組みが必要と考えますが、総理のご見解を承ります。
大学の研究の質向上を図れ
教育改革の推進
次に教育改革についてお伺いいたします。
私はかねてより、「教育の深さが日本の未来を決定する」と言い、国民総がかりの教育改革、現場からの教育改革を志向すべきことを訴えてまいりました。
まず、教員です。教育再生のためには、教員をバックアップし、教員が本来の職務に専念し、100%のエネルギーを子どもに注げるようにすることが必要です。
このため、教職員の配置の改善や地域人材等を活用した教員サポート制の推進、教育事務の簡素化・外部化などが必要と考えます。
次に、知の拠点としての高等教育の今後のあり方についてであります。 わが国が国際競争力に富み、21世紀の国際社会のリーダーとなるためには、優れた人材の育成が重要です。また、地域間格差の解消、地場産業の発展、地域の活性化の観点からも、国公私を問わず、わが国の大学の研究の質をさらに向上させることが必要と考えます。
また、私たち公明党は奨学金制度の充実へ全力で取り組んでまいりました。わが国の未来を担う学生が安心して学業に励めるよう、奨学金の月額貸与限度額を現行の10万円から12万円への引き上げを提言しております。
以上、教育改革に対する総理ならびに文部科学大臣のご見解を伺います。
去る9月29日、11万人の沖縄県民大会が開催されました。沖縄戦における「集団自決」については、旧日本軍の関与があったことは、否定できません。重要なことは、沖縄戦の真相の事実を正確に後世に伝えることであります。したがって、冷静かつ客観的な調査・研究が大切であり、機関の設置を含め検討する必要があると私は思います。
総理、教科書検定に政治が介入することがあってはならないことは当然ですが、"沖縄の皆さまの苦しみ、沖縄の心"に重きを置いて、善処することが必要ではないでしょうか。この問題について、ご見解をお伺いします。
また、訂正申請も含めて、文部科学大臣のご見解を伺います。
徹底した歳出削減・ムダへの切り込み
次に、行政効率化・歳出改革についてお伺いしたい。
これまで、公明党は、公務員人件費改革、特別会計改革、市場化テストの導入、入札談合の防止など、行政改革の旗振り役を担い、歳出削減に向けて努力して参りました。今後更に徹底した行政のムダの排除が必要です。政権協議において、「歳出削減と税金の無駄遣いを一掃するため、事業仕分け作戦等を徹底し、内閣における推進体制を確立する」と合意されました。現在、政府にある「行政効率化関係省庁連絡会議」は残念ながら事務レベルであって政治家が入っていません。やはり政治家がリーダーシップを取る体制をつくって、もう一段のムダ・ゼロに向けて、努力することは極めて重要だと思いますが、総理のご見解を承りたい。
さらに具体的に伺います。国からの独立行政法人に対する財政支出は、平成19年度で約3・5兆円ある一方で、緑資源機構に象徴されるような、中央省庁からの天下りによる癒着の問題が指摘されています。101ある独立行政法人すべてについて、事業の必要性の有無、また実施主体の廃止など、公明党提案の「事業仕分け」の手法により、独立行政法人に対して、法人の廃止を含め大胆な見直しを行うべきと考えます。
総理のお考えをお伺いしたい。
平和外交「国際テロとの戦いの継続」
安保理決議でも支援を評価
テロが国際社会の平和、安定の大きな脅威であることは国際社会の共通した認識です。6年前、世界を震撼させた9・11米同時多発テロでは、多くの国々の方が被害に遭い、日本人24人も犠牲となりました。テロは決して米国だけの問題ではありません。
9・11テロの翌日、国連安全保障理事会が全会一致で採択した決議1368は、
この事件を世界の平和と安定に対する脅威と認定し、テロの防止、制圧のために国際社会の協力を求めました。この決議や累次の安保理決議を踏まえ、現在、アフガニスタンでは多くの国々が治安維持、テロ掃討作戦に参加しています。わが国も、テロ対策を主体的に実施するためテロ特措法を制定し、海上自衛隊がインド洋で、テロリストやテロ関連物資の移動を阻止するために活動する各国艦船への補給活動に従事しています。
そして、先月20日(日本時間)には、安保理決議第1776号が採択され、不朽の自由作戦や海上阻止活動等に対する各国の貢献が評価されました。国際社会が、海上阻止活動に対するわが国の支援を含むこれまでの国際的努力に対し、その継続の必要性を明確に表明されたものと受け止めております。アフガニスタンにおける対テロ活動が、国際的なコンセンサスと国連決議に基づく正当性を持っていることは、こうした経過から見ても明らかです。
テロ特措法は武力行使を禁じ、非戦闘地域での活動しか認めていません。同法に基づき海上自衛隊は、これまで11カ国の艦船に給油を実施。その結果として、大麻や武器などが押収されているだけでなく、不審船に対する継続的な監視活動が「インド洋をテロリストの自由にさせない」との、テロへの強い抑止力になっています。海上自衛隊の活動は、各国から高い評価を受け、洋上給油をわが国に頼っているパキスタンをはじめ、各国首脳から活動の継続を求める声が上がっています。
一方、わが国は、海上自衛隊による国際貢献とともに、アフガニスタン復興に対する民生分野の支援として、幅広い分野で総額約12億ドル以上のODAなどによる支援を行ってきたところであります。しかし、先般、韓国人23人がタリバーンに拘束され、2人が殺害されるという大変に痛ましい事件が発生したことを見ても分かる通り、民生
支援だけではアフガニスタンのような地における復興支援は成り立たないという現実を鮮明にしております。
わが国は引き続き国際社会の責任ある一員として、「テロとの戦い」から一歩も引いてはなりません。各国が連帯をして行う対テロ抑止活動を支える、わが国の海上自衛隊による補給活動を引き続き行うことが必要です。
混乱するミャンマーで、邦人の方を含む多数の死傷者が出たことは極めて遺憾であり、ご遺族、関係者の方々に対し哀悼の意を表します。一刻も早く事態が収拾し、民主化へのプロセスが進むよう、国連やアジア周辺国と連携し、最大の外交努力を尽くすよう求めます。
政治とカネ
「隠し事のない政治」実現
冒頭申し上げた「信なくば立たず」との言葉があるように、国民の信頼なしには、どのような政策も改革も実行できません。とりわけ「政治とカネ」の問題がクローズアップされる中、政治への信頼を取り戻すためには、政治改革は政治家改革であるとの厳しい立場に立ち、政治資金の透明性、公開性を高めるとともに、「率直で、隠し事のない政治」を実現していかなければなりません。
公明党はこれまで、あっせん利得処罰法や、官製談合防止法の推進力となるなど、政治とカネの問題には厳しく対処してまいりました。先の通常国会では、政治家の資金管理団体を対象に、人件費を除く5万円以上の経常経費支出に領収書添付を義務付けることなどを柱とする政治資金規正法の改正を行いましたが、さらに今回の政権協議で、「1円以上の全ての支出に領収書等の添付の義務付け」が合意されました。公明党は、公開のあり方についても、公開性を高めるためのさらなる改革の実現を目指すとともに、再発防止へ向けて与野党の合意形成を図るべく全力を挙げてまいる決意であります。「政治とカネ」の問題について、いかにして透明性、公開性を高めるか。自民党総裁という立場から、率直なお考えを承りたいと存じます。
公明新聞:2007年10月5日













