「防衛省・自衛隊」改革が急務になっている。昨年発覚した情報漏えいや前防衛事務次官の汚職は、防衛組織の統制原理を揺るがす不祥事であり、政府は昨年、有識者会議を設置して改革案を探り、公明党の太田昭宏代表も4日、現中期防廃止による抜本改革推進を提言した。改革の論点をQ&Aでまとめた。
相次ぐ不祥事
Q 昨年は防衛省・自衛隊の不祥事が相次ぎ発覚した。
A 単なる不祥事ではなく、安全保障・国防を担う組織として絶対に崩してはならないシビリアンコントロール(文民統制)や防衛秘密の厳守という大原則を揺るがす内容だ。
Q イージス艦情報の流出事件では昨年8月に護衛艦の家宅捜査まで行われた。
A 昨年3月に護衛艦乗組員の自宅から秘密情報を記録した私有の外付けハードディスクが発見され事件だ。一昨年から隊内の私有パソコン一掃を行ったが、防止できなかった。
Q インド洋上の補給活動では報告ミスが追及された。
A 給油量の誤記載が上司に報告されず、そのため政府は誤った数値を基に国会で答弁を繰り返すことに。制服組の海上幕僚監部が誤りを知りながら報告しなかったことは、文民統制の根幹にかかわる事件だった。
Q 防衛行政トップに君臨した守屋前防衛事務次官の逮捕にはあきれてものが言えない。
A 航空機や護衛艦など自衛隊の装備品は特殊であり調達先の企業も限られる。だからこそ調達には高い透明性が求められる。しかし、守屋前次官には厳格な規律も深い使命感もみられない。
内閣も議論開始
Q 政府の対応は?
A まず防衛省は、イージス艦の事件後に情報流出対策会議を設け、再発防止対策の隊内への徹底を図るための特別行動チーム派遣などを実施した。また、前次官の汚職事件に伴い、装備品調達の透明性を確立するため、昨年10月から総合取得改革推進プロジェクトを立ち上げ、第三者機関による契約の監視体制や、前次官との癒着関係が問題になった輸入商社の問題などを検討している。3月に結論を出す予定だ。しかし、今回の一連の不祥事は調達だけでなく、文民統制にもかかわる問題であり、防衛省だけの調査・検討ではなく、内閣としても外部の有識者による防衛省改革会議を設置した。
Q 内閣の改革会議はどのようなテーマを扱うのか?
A 改革会議は、「基本に立ち返る」「国民の目線に立つ」――ことをキーワードに、
(1)文民統制の徹底(2)厳格な情報保全体制の確立(3)防衛調達の透明性――の3点を検討事項として議論を進める。
防衛省の不祥事に対応したテーマ設定であり、内閣官房長官の下で、内閣官房が会議の庶務に当たる。防衛省内部の改革論議より一層高い立場からの改革案を探る。2月には議論をまとめる方向だ。すでに2回開催された。
Q 改革会議ではどのような議論がなされているのか?
A 第1回会合では、自衛隊はこれまで統制されるシステムだったため、防衛に対する主体的責任意識が希薄になっているとの厳しい指摘が出された。また、制度を動かすのは人間。前次官が4年も異動しなかったこと自体、組織として異常との声もあった。
文民統制がテーマの第2回会合では、「政治が軍事をどう使うか」という高次の文民統制にとって、今後、政治判断の必要な場面も増えるとの認識も出され、部隊から政治リーダーへ情報が正確に伝わることの重要性が確認された。また、防衛相の補佐体制の強化も議論された。
抜本的見直しを
Q 公明党の対応は?
A 前次官の汚職が問題になった昨年10月、「防衛装備品の調達等の在り方検討プロジェクトチーム」を設置して調査、検討を進めている。
Q 検討課題は?
A 防衛調達をめぐる不正やムダの一掃だ。調達にかかわる職員の規律向上、また、調達コストの適正さを見抜く力量のある職員の養成も欠かせない。特に、調達の取り引き相手である商社が防衛省に水増し請求をしていた事実が明らかになったため、5年間の防衛力整備の総額を決めている中期防衛力整備計画(中期防)の見直しも視野に入れた。
Q 公明党の政策は?
A 4日の党新春幹部会で太田昭宏代表が防衛省改革を取り上げ、2005年から09年までの現中期防の廃止と、新中期防の策定を提言した。この提言はさっそく波紋を広げ、石破防衛相は8日の記者会見で、太田代表の提言について「政府としては、その趣旨もよく踏まえながら、全体的な整合性を取って、それが一つの方向性を目指して流れとなるような考え方を模索していくことになると思う」と述べた。
Q 現中期防廃止で何が変わるのか?
A 中期防は単なる装備品購入リストでなく、組織見直しや部隊運用の新方針なども含まれている【別掲記事参照】。そのため、中期防を変えることは、調達総額の適正化だけに終わるのではなく、防衛省・自衛隊の組織としての在り方そのものを再検討することにつながる。公明党は政府に対し、この機会を大改革の千載一遇のチャンスと位置付けて取り組むよう求めている。
公明新聞:2008年1月14日













