その気でやる男 太田あきひろ

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悪いのは私じゃない症候群 香山リカ著 ベスト新書

100122-book.JPG  必要以上に「悪いのは私のせい」と自罰的、自責的であった日本が、いつの頃からか、「悪いのは私じゃない」と攻撃的、他罰的に変わってしまった。モンスターペアレント、モンスターペイシェント、クレーマー、新型うつ、「前世が悪い」のスピリチュアル・ブーム。先生と呼ばれる者は萎縮し、組織は保身に走る。どうやって経験を積み上げたり、鍛えたり、人間自身を強くするかわからない。訴訟もふえる。うつ病なのに自責感に乏しく、他罰的で、何かと会社とトラブルを起こす社員。メール、ネット社会はそれに輪をかける。犯人探し、責任転嫁。社会が厳しく、閉塞感が漂い、点数・成果主義が浸透している今、「他罰的でシンプルで、歯切れよくて威勢がいい」がウケる時代となってしまっている。それが○○バッシングとして噴出し、しかもそれが不平等感、不本意感にもとづく「いびつな小さな正義感」として発散される。他人にだけ道徳的であることを求める人々が激増する。
  他罰的でない、人を責めることばかりに力を注ぐのではない、窮地に陥っている人に手をさしのべる、分かち合い、助け合いの社会を、香山さんは示している。自助、共助、公助というが、努力不足、運が悪いと指摘する自助の延長に公助を置いてもそれは同じ社会に過ぎない。弱者に手をさしのべる分かち合いの社会づくりを、再建しなければならない。