その気でやる男 太田あきひろ

私の読書録

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これからの「正義」の話をしよう マイケル・サンデル著 早川書房

100818-book.JPG  「いまを生き延びるための哲学」と副題にある。ハーバード大学史上空前の履修者数を記録する大人気講義「Justice(正義)」をもとにしたもの。「金持ちに高い税金を課し、貧しい人々に配分するのは公正なことか」「徴兵と傭兵、どちらが正しいか」「自殺・食人」「戦後補償」から「妊娠中絶・幹細胞・同性婚」に至るまで、これをどう考えるか。前提とする考え方を突き詰めると「正義」「自由」「道徳・哲学・倫理」の問題にぶち当たる。道徳的問題を解決することなしに、法の支配を決しえない。「幸福」「自由」「美徳」の視点からベンサムの功利主義、ミル、リバタリアニズム、カント、ロールズ、アリストテレス等を中心に「正義」に迫る。福利の最大化と自由の尊重――ベンサムやミルとリバタリアニズムは論議の中心だが、重いし、講義が熱を帯びることがわかる。
  そしてカントからロールズに至る政治哲学に疑問を投げかけ、コミュニタリアニズムの論客であるマイケル・サンデルの「道徳性豊かな政治」「共通善に基づく新たな政治」が描き出され、正義や共通善に積極的に関与する政治を提起する。日本にありがちな保守回帰とは全く論議を異とすること、論議自体を避けず、決めつけずも魅力だ。
  止まって考えながら読んだ。