その気でやる男 太田あきひろ

私の読書録

私の読書録: 2007年2月アーカイブ

「堀川の奇跡」と呼ばれる高校改革を成功させ、京都公立高校改革の旗手といわれる荒瀬校長の著書。最近の未履修問題、教育再生会議の論議も踏まえて新しい。
まず、私にとっての京都の教育は、「ここまで勉強しない高校が日本にあるんだな」というのが、昭和39年京大入学の頃からの印象だ。その京都の教育は少なくともこの10年全くといっていいほど変わり、前進した。
もう1つ。教育基本法論議のなかで、私の考え続けたことの1つが、「高校が大事。しかし、今の高校は普通高校、工業、商業、農業高校が生きていた私たちの時代と全く違ってしまっている。高校とは何かわからなくなっている」ということだ。
本書を読んで私は教育には粘り強さ、ガマンして待つ。時間をかける。そうしたものを胸中にいだいて愛情と信頼と使命と情熱をもって成すものだということを改めて感じた。人を育てるとはそれだけ厚みのあるものだ。

昨今の選挙において、無党派の動向が、大きな影響を及ぼすが、当然、無関心ではないし、「無党派層は、支援なし層から政治的・社会的に"進化"した人たちが多い」と河崎さんはいう。豊富な経験とデータを駆使しての分析はさすがだ。政党・政治家不信、変化を求める人たちにどう政治家は対応するか。夢(将来への展望)と説得力豊かな構想をわかりやすく提示することの大切さがわかるが、「朝立ち」などについての効力についても、受け取る側から提起されている。それにしても小泉劇場は天才的だ。大事にすべきは「選ばれる側」の熱情や誠意、能力という指摘はシンプルだ。

祖母力――日本も欧州も祖母の貢献が男女共同参画社会を下支えし、新たな家族的結び付きの形を生み出しているという。少子高齢社会のなかで、見落とされてきたまだまだ「元気」な祖母力に着目し、「新たな祖父母の時代」を浮き彫りにしている。
著者の樋口恵子さんには、感謝の気持ちがあふれている。"祖母力"なくしては自分たち親子の今はないといい切る。が反面、母親の余生を孫育てに食い潰させてしまったのではないかという思いから本書を執筆されたそうだ。しかし調査を進める中で、祖母たちは、何よりも孫と接する喜びと家族の役に立つ喜びに満ちてること、また孫のほうが子どものときよりゆったりと育てられるとの声が圧倒的に多いことに気づかされる。この無限にして無償の献身的愛こそ祖母力であり、いまや働く女性にとっては大事な支えになっているのだ。
さらに樋口さんは、「社会的祖母力・祖父力」についても提案している。
「血縁の孫の有無にかかわらず高齢世代が社会参加し、何らかの貢献をし、世代間交流をすすめる必要性」、「その祖母力の有無の「格差」是正のためにも発揮の場を地域づくり町づくりの核として発展させる」ことである。
わが家でも話をした。祖父母力のなかったわが家。しかも走り回っている私だったから、妻はどれほど大変だったことかと思う。

それぞれの講演をそのままのせているから、わかりやすい。
しかも、はっきりと裏付けをもっていう「モノ言う人」たちだから論点は明確だ。三人とも角度も考え方も当然違いはある。私もだ。
しかし、いえることは、今、日本はどういう国をつくるか、私たち世代にとっては、経済が回復してやっと訪れたある意味でのラスト・チャンスを、徹底的に議論して生かさなければならないということだ。アイデンティティを争う21世紀日本を考える機縁をつくってくれている。