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大人の実力 浅田次郎著 海竜社
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私の読書録: 2009年6月アーカイブ
大人の実力 浅田次郎著 海竜社
人生経験を積み、人は大人になる。しかし、その実力は・・・・・・。
情報のみを受け、受け売りして、自ら物を考えない。書物も読まず、人生をムダにしている。他者を知り、他人の痛みを知り、考えが異なる他者がこの世にはいることを知ることが、大人ということか。
浅田次郎さんの小説はいい。人間の世界、男の世界、男の女の世界を快く描いてくれる。なぜ快いのか。人間に対する暖かさと深さが、じわりと浮かび上がってくるからだと思う。
小説はそれを語りうる。
寒い国から帰ってきたスパイ ジョン・ル・カレ著 早川書房
若き頃に読んだ名作だが、家の中を捜してもない。買って読んだが、話の筋も面白いが、東西冷戦で切断されたベルリンの壁の両側で暗躍するスパイの悲劇的運命というしっかりした舞台設定、そして「巨大機構と人間」「個人が組織の一部員となり、思想のために個を犠牲にして顧みない(それ自体が思想だが)機構」をえぐるというしっかりした信念を提示する。
ジョン・ル・カレを世界に登場させた名作だが、諜報戦、情報戦は当然、今もある。
ゆびさきの宇宙 福島智・盲ろうを生きて 生井久美子著 岩波書店
今年5月、全国の自治体で初めて、東京都に盲ろう者のための支援センターが発足した。都議会公明党が福島智さんと会って実現させたものだ。5月末、その支援センターを私は訪れ、福島さんにお会いした。
目が見えず、耳も聞こえない。その無音漆黒の世界にたった一人、地球からひきはがされ、果てしない真空の宇宙に放り出されたような、心の芯が凍りつくような魂の孤独と不安のなかで、福島さんは生き抜いている。「不便なことと不幸は違う。障がいの有無と幸、不幸とは本来関係ない」「フランクルの愛、かけがえのない愛について」「能力は本質でなく属性だ。否定すべきは、能力の差とその人の存在の価値を連動させることだ」「私たち障がい者がなすべき"最も重要な仕事"は、生きることだ。そしてよりよく生きることだ。そして支え合うことだ」「セーフティ・ネットは安全網ではなく、落下しないようにネットを架け橋として張ることだ」「応益負担は益だから利用料を払えということだ。益を求めているのではない。人間らしく生きる最低限の支援がほしいだけだ」
愛と痛み 死刑をめぐって 辺見庸著 毎日新聞社
辺見さんが倒れたのは2004年3月。「紀元前(闘病前)は外界を見ていたが、今は内宇宙を見る目の動きが出てきている。書くというのは全部、遺書みたいなもの」という。「議論は避けるようになりました。残された時間を意識するので」「言葉が、言葉として人の体の芯に届かなくなった。これほど言葉が届かない時代は、歴史上初めてだ」と読売新聞(5/5)で語っている。
「死刑をめぐって」と副題があるが、それはあらゆる意味で死が究極であるだけでなく、それを法律で、日常のきまりとして他者が、他者たちが"人を殺す"という、より究極なものであるからだ。
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