本書は、じつに200年以上も前から、著名な経済学者・哲学者がベーシック・インカムを主張し、今でもガルブレイスやフリードマンをはじめとして、常に議論されてきたことを示している。エーリッヒ・フロムもだ。つまり、福祉国家の理念は、(1)完全雇用(2)社会保障(3)公的扶助(生活保護など審査が必要)――の3つで構成されている(保険・保護モデル)が、ベーシック・インカムはそれを越えるだけでなく、労働(働かざる者、食うべからずの思考)や、ジェンダー、グローバリゼーション、所有(何が自分の持ち分か)など、根源的問題を考えて提起されてきたものであることが分かる。「労働価値(家事は労働か)」「市民権(生きる価値、権利、生存)」という根源的問題から提起されてきているわけだ。本書はその長い論争をたどってくれている。
私の読書録: 2010年5月アーカイブ
本書は、じつに200年以上も前から、著名な経済学者・哲学者がベーシック・インカムを主張し、今でもガルブレイスやフリードマンをはじめとして、常に議論されてきたことを示している。エーリッヒ・フロムもだ。つまり、福祉国家の理念は、(1)完全雇用(2)社会保障(3)公的扶助(生活保護など審査が必要)――の3つで構成されている(保険・保護モデル)が、ベーシック・インカムはそれを越えるだけでなく、労働(働かざる者、食うべからずの思考)や、ジェンダー、グローバリゼーション、所有(何が自分の持ち分か)など、根源的問題を考えて提起されてきたものであることが分かる。「労働価値(家事は労働か)」「市民権(生きる価値、権利、生存)」という根源的問題から提起されてきているわけだ。本書はその長い論争をたどってくれている。
三河屋の喜作、杉の目利き・伊蔵、下田湊の貸元・保利蔵・・・。命をかけた男が命がけの暁朗を助ける。矜持と侠気。
「海の怖さを知ろうともせずただ命をかけると言っても、それは言葉だけのことだ」「肝の据わった暁朗だが、心細さからは逃れられなかった。そんな心持ちでいただけに、ひとの親切・気配りを示されると、つい甘えた。獣のように研ぎ澄まされた渡世人の本能が鈍くなっていた」「知らないことを正直に言えば、ひとは喜んで教えてくれる。が、一度でもわけ知り顔を見せると、見抜いた相手は二度と正味の付き合いをしなくなった」「積荷を流したまま、知らぬ顔で生き続けるほどには、命根性はいやしくねえ」「渡世人は生きるか死ぬかの境目と常に向き合っている」――映画にしたらどうなるだろう。
JAL、日銀、郵政、道路公団、八ッ場ダム、政策決定プロセス、天下り、公務員制度改革・・・。いずれも民主党政権は迷走・逆走だが、本書のテーマはそれら諸問題と民主党政権、そして財務省、民主党の「過去官僚」との関係だ。当然既得権益ということがある。
現場にいただけに、生々しい話も出てくる。鋭角的で、「ああでもない、こうでもない」のたぐいではなく、結論ははっきり言っている。
命じたのは名君・保科正之。「人が正しき術理をもって、天を知り、天意を知り、もって天下の御政道となす・・・・・・武家の手で、それが叶えられぬものか」「どうかな算哲、そなた、その授時暦を作りし3人の才人に肩を並べ、この国に正しき天理をもたらしてはくれぬか」「この国の老いた暦を・・・・・・斬ってくれぬか」
ちょうど本書にある会津に3日間いた時に読んだことや、明暦の大火や玉川用水、利根川の東遷などを調べていたこともあり、面白かった。2010年の本屋大賞受賞作。
宇宙に字を書け、砂上に字を習え――と副題にある。
北大路魯山人は書家、陶芸家、美食家だが、この書を読んでそのすごさは次元を越えている。「芸術は結局人である」「人物の値打ちだけしか字は書けるものではない」「(梅原龍三郎は)富士をにらみ倒して描く。・・・それでは、にらむたびに、それが邪魔になってますます描けなくなるだろう。・・・(大観は)人間は時々お灸を据えられることが必要だ。灸を据えられない為に、とかく人間はいい気になる。――全体を見て絵を描け、部分を集めてもそれでは絵にならぬ」――。
王義之、顔真卿、池大雅、そして良観に心酔していく歩みは、想像を絶する境地としかいいようがない。
格調高く、敢然として、恰幅があって、穏やかで、雄渾を秘めていて衒いがない、生命力溢れた魯山人の書の代表として山田さんは山代温泉の「白銀屋」の看板をあげる。私も一泊して魯山人の世界に触れたことが思い出される。
魯山人を語り切る山田和さんもすごい。















