政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.77 重要な2020年東京五輪までの5年/実感と未来へ――景気・経済、防災・減災

2014年11月26日

自公連立政権の安倍内閣がスタートして間もなく2年。「景気・経済の再生」「被災地の復興加速」「防災・減災をはじめとする危機管理」を三本柱として、これまで改革を進めてきた。その成果は間違いなく上がっている。円高は是正され、株価も上がり、"心のデフレ"は打ち破った。被災地の復興も確実に進んでいる。さらに防災・減災、老朽化対策もこの2年で大きく前進した。私は昨年を「メンテナンス元年」としたのをはじめ、「防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化」を初めて公共事業のメインストリームに位置付け、大きく流れを変えた。

しかし私は、この2年間はマイナスをゼロ+αにした段階だと思う。これからは、さらに本格的プラスへの歩みを始めなければならない。率直に言って、これからの10年は「日本の命運を決する10年」だとつくづく思う。2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでの5年、ポスト五輪の5年――この10年で未来への礎を確固として固められるかどうかが最も重要だ。

その中間点の2020年までには、経済のデフレ脱却を実現し、成長軌道に乗せなければならない。被災地の復興は、実感が得られる「復興宣言」までもっていかなければならない。財政面では、プライマリーバランスの黒字化を達成する目標が2020年。防災面でも、災害が頻発する脆弱国土日本だが、安全・安心が確実に得られるところまでもっていかなければならない。もちろん、オリンピック・パラリンピックの成功、外国人旅行者2000万人達成という目標も明確だ。

そしてポスト五輪――。前回の東京オリンピック後の昭和40年は不況に陥った。しかし、今回は持続的成長をなんとしても図らなければならない。そして団塊の世代が75歳を迎えるのが2025年。いわゆる"2025年問題"を克服し、高齢者の社会保障と雇用等があるバージョンアップした日本をつくりあげなければならない。そして人口減少社会を凝視し、少子化対策への歩みを確実に始めることだ。地方創生、個性ある都市と都市の対流が起き、まち・ひと・しごとが動き出す。それが2025年だ。

これまでは対応に追われた政治だが、やっと未来を指向する時を迎えた。その意味で私は、現段階の政治のキーワードを「実感」と「未来」だと考えている。

まず「実感」――政策実行による前進が現場で見え、成果が実感できるようにしていかなければならない。

その第一は景気・経済の回復だ。これまでのアベノミクスによる経済政策により、日本経済が着実に活力を取り戻していることは間違いない。昨年12月に史上初 めて達成した外国人旅行者1000万人も、今年は1300万人に近づく驚異的勢いだ。「元気なところに人は集まる」というように、日本に活力が溢れ、賑わ いがあるからこそ外国の人々を惹きつけている。勿論、ビザの緩和や免税店拡大、世界文化遺産の登録等もある。これからは、このような景気・経済再生の歩み を全国津々浦々で、中小企業や庶民の生活も含めた全体で、実感できるようにしなければならない。

そしてもう一つは被災地の復興加速だ。私はこれまで何度も被災地に行き、地元の知事、市町村長や関係業界団体の代表者と打ち合わせながら対策を打ってきた。その結果、当初言われた生コン不足は解 消し、入札不調も今年度に入って改善している。技能労働者の不足には、労務単価の16年ぶりの引き上げも功を奏している。道路や鉄道などの基幹インフラの 整備は順調に進んでいる。来年ゴールデンウィーク前という常磐道の全線開通は前倒しできる勢いだし、三陸鉄道も全線開通した。遅れがちであった住宅や高台 移転などのまちづくりも間違いなく動き出した。難航していた用地確保にも目処がつき、来年3月には1万戸を超える災害公営住宅が完成する見込みだ。1日で も早い入居を実現させて、被災地の方々に復興を実感してもらえるようにしたい。

そして「未来」――社会の激しい変化に対し、目の前の状況に囚われた対応型の政策ではなく、長期を見据えた構想力、グランドデザインを持って取り組んでいかなければならない。

広島そのベースとなるのが、国土交通省として7月4日に発表した「国土のグランドデザイン2050(対流促進型国土の形成)」だ。これは2050年という長期を見据えて、我が国が直面する課題に正面から取り組んでいく国土づくりのビジョンを示したものだ。

我が国はこれから多くの課題に直面する。①急激な人口減少、少子化(2050年には63%の地域で人口が半分以下。約2割の地域でゼロに) ②超高齢化 ③グローバリゼーションのなか都市間競争の激化 ④首都直下地震や南海トラフ巨大地震など巨大災害の切迫、集中豪雨の頻発 ⑤ICTの劇的な進歩など技術革新の進 展――このような課題を国民が共有した上で、未来を切り拓いていかなければならない。

インフラ整備は、国の構えを堅固にし、国民の幸福、活動の基盤であり、国づくりそのものだ。その国土づくり、地域づくりのキーワードが「コンパクト+ネットワーク」、そして高次地方都市連合だ。その上で多 様な地域が連携し、人・モノ・情報が対流する国土をつくっていく。対流が起こるためには温度差が必要となる。各都市、各地域がそれぞれ個性を発揮して、違 いが生まれるからこそ対流が起き、他との連携が始まるのだ。そのためには「我がまちはどう生き抜いていくか」を真剣に考え、戦略を持って個性を磨きあげて いかなければならない。その知恵と工夫がこれから問われることになる。「地方の創生」「まち・ひと・しごとの創生」はこの「国土のグランドデザイン 2050」を踏まえて構造的に行われる創生運動だ。

そして、これからの日本の未来を展望する上で重要なのが、2020年の東京オリンピッ ク・パラリンピックだ。私がいつも主張しているのは、2020年をゴールとするのではなく、2050年という先の未来を見据えたマイルストーンとして捉え るということだ。そのためには、バリアフリー化を進めて高齢者や障がい者が移動しやすくする。今の倍の2000万人の外国人旅行者が来るが、ICT技術で 「センチメートル測位社会」を私は目指している。2018年には準天頂衛星が4機活用できる。高精度測位技術を実用化し、外国人や高齢者でもスマホがあれ ばスムーズな移動・案内(多言語対応)を可能にする。さらに防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化を進め、「脆弱国土でも、よくぞここまで」と言 われるような安全性を確保する。このような取り組みを進めて、だれもが安全・安心・快適に活動できる都市の姿、世界最先端の技術革新を世界に示したい。 2027年にはリニアも開通する。首都圏三環状道路(圏央道、外環道、中央環状)は2025年には概ね完成する。

さらにもう一点、若者や 女性が未来に夢を持って活躍できる社会づくりも大事だ。これまで建設業などの現場では、就職する若者が減少し、専門技術を持つ技能人材の不足や高齢化が深 刻になっている。この2年、私は人づくり、現場の強さに力を入れてきた。若者が誇りと自信、やりがいを持って現場で働いていける処遇改善や環境整備を進め た。

けんせつ小町また、"ドボジョ""けんせつ小町"(写真)"トラガール"など男の職場のイメージが強い建設業やトラック運転手の職場でも、女性の 一層の活躍を目指す動きが広がってきた。これまでも、高速道路のサービスエリアや電車でのマタニティマークの普及、ベビーカーマークの統一などを先頭に 立って実現してきたが、子育てしやすい社会環境づくりは女性の就業支援につながる。女性がもっと活躍できる社会の実現に向けて、これからも手を打っていか なければならない。

「実感」と「未来」――そのためには構想力と実現力を持った政治が必要となる。そして政治は結果だ。これからも徹底して現場第一主義、行動第一で、安全・安心の勢いのある国づくり、地域づくりのために働き、さらに結果を出していきたい。

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