私の読書録

銀の夜  角田光代著  光文社
2021/02/22
     

ダウンロード.jpg女子高時代に少女バンドを組んでメジャーデビューをした三人の女性。厳しい校則の学校で放校処分になるが、短くとも輝いた時代を忘れられない。それから約20年――。イラストレーターの井出ちづるは、夫は若い女性と浮気をし、夜遅くまで帰ってこない。放っておかれて、「ほとんど一人暮らし」の状態。しかし、「嫉妬を感じない、そのことにちづるは戸惑っている」のだ。帰国子女で独身の草部伊都子は、著名な翻訳家で"ヤリ手"で美人、輝く母・芙巳子をもつ。母との確執、愛憎のアンビバレントのなかで、各地で撮った写真集を出そうとするが、なかなかうまくいかない。早々と結婚して母となった岡野麻友美。自分のできなかったことを娘のルナに託そうとタレントをめざそうとしても、娘の性格、志向は違うようで思うようにいかない。

三人とも「日々の雑事に追われるだけで時間がどんどんたっていく」「ふりかえっても自分の足跡が見つけられないように思う」「40歳になるまで、充実感や達成感というか、そういう心底実感できることがないかしら」「何がしたいか。自分は何がしたいのか」「浮き輪にのって漂っているような気がする」と思い、漠たる不安のなかで悩むのだ。そして、ふと現れた男性に心を奪われたり、感情が爆発して顰蹙を買ったりしてしまうのだ。そこには間違いなく"執着"があるのだろう。あの高校時代の"満足感"への執着、娘への執着、浮気する夫を見返したいと思う執着、愛憎を乗り越えたいと常に母親に敵対心をもつ執着・・・・・・。それは"業"というべきものだろう。そして伊都子にとって倒そうとしても倒れない、不死身のような母・芙巳子が末期癌を宣告される・・・・・・。何よりも強いつながりを持つ三人は結集して、驚くべき行動に出る。死直前の母に海を見せようとするのだ。

最後に大きなテーマとして出てくるのが海・・・・・・。「あなたはひとりでも大丈夫だから」と芙巳子は言っていた。「自分としてやり切ることはやり切る」という命からの決断を生老病死の砌で三人は実行・体験するのだ。「自己自身に生きよ」「海よりも空よりも広い宇宙に抱かれた生命を止観する」ことに通ずるのだろう。角田さんがこの小説を書いたのは直木賞受賞の頃で、14年間埋もれていたのを今回出版したのだという。ぜひ、この三人が50歳の今、どう人生に向きあってきたかを書いてほしいと思う。


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