私の読書録

廃市  福永武彦著  ポプラ社百年文庫
2021/11/26
     

haiiti.jpg「草の花」「廃市」「海市」「北の島」など、「死」「河」「海」などを孕み、心層の暗部を描き出した福永武彦の1959年の作品。10年も昔の夏、大学生の「僕」は「卒業論文を書くためにその町の旧家で過ごした」。そして今、その水の町、運河の町が火事になって町並があらかた焼失したことを新聞記事で知る。「あの町もとうとう廃市となって荒れ果ててしまったのだろうか」と、もともと廃墟のような寂しさのある、ひっそりとした田舎町を想い、下宿先の旧家のこと、美しき姉妹(郁代さん、安子さん)のこと、そして姉の夫・直之さんの心中・自殺という衝撃的事件の記憶が蘇える。

「安ちゃん、あなたは馬鹿よ。秀なんかにあの人を取られて・・・・・・直之はあなたが好きだったのよ」「お姉さんは間違っているのよ。兄さんが好きだったのはあなたで、わたしじゃないのよ」「あなたが、好きだったのは、一体誰だったのです?」・・・・・・。「この滅びたような田舎町」「運河がはりめぐらされた美しい水の町、しかし閉ざされた死んだような町」で起きた愛、誤解、邪推、その増幅・・・・・・。ゆったりとした時間のなか、厚みのある静寂と、人心の揺らぎを、自然の悠久さのなかに融け込む生命体のように描き出していく。中江有里さんの「万葉と沙羅」に突き動かされて読んだ。


プロフィール
プロフィール
太田ものがたり
活動地域
政策
太田がめざす政治
政策・ビジョン
政治コラム太田の政界ぶちかまし
実績
ピックアップレポート
国を動かした実績 1
国を動かした実績 2
北区の実績
足立区の実績 豊島区・板橋区の実績
活動記録
活動ニュース
ブログ
動画
太田チャンネル
太田へのご意見・ご要望
サイトマップ
サイトのご利用について
プライバシーポリシー
ホーム
Twitter
facebook
ページ上部へ戻る