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対談「勢いある日本」再建に全力!

"経済の現場"の元気を取り戻せ 飯田
まず景気回復、そして財政再建を 太田

 ギリシャ発の欧州経済危機や歴史的な円高も重なり、国内の景気・経済は、いまだ低迷を続けています。「勢いのある日本」再建への方途を探るべく、経済政策が専門で、若手経済学者としても注目を集める駒澤大学経済学部の飯田泰之准教授と太田あきひろが語り合いました(公明新聞より転載)。

増税先行で財政再建を達成した国はない

 太田 社会保障と税の一体改革が大きなテーマとなっていますが、社会保障は国民に安心を与えるための制度です。
 民主党は本年(2012年)2月10日、新年金制度の財源試算を迷走の末に公表しましたが、依然として曖昧。しかも、大幅な消費税率アップと大多数の人の年金減額が明らかになり、国民には不安だけが残りました。
 このままでは「ズルズルと増税が進み」「ズルズルと社会保障が縮小」されるのではないか。ここを一番、懸念しています。

 飯田 増大した社会保障費が、日本の財政に大きな影を落としているのは間違いありません。だからこそ、将来どういう社会保障構造にするのかを示すことが大事で、増税の議論だけ先行させても国民が納得しないのは当然です。
 人間だれしも、不安な時には少しでもお金を手元に置いておきたくなるじゃないですか。それと同じ感覚で慌てて増税を主張しているだけで、何の原理・原則もない。

 太田 もちろん財政再建は大事ですが、それには景気回復を真っ先に進めなければなりません。消費税率の引き上げは、景気の好転や行政改革の推進、確たる社会保障の全体像を示すことなどが前提条件です。

 飯田 政府の方針は、財政破綻したギリシャのやり方と同じです。ギリシャの消費税率は当初12%で軽減品目も多かった。その後、財政再建を理由に税率を23%まで引き上げ、軽減品目も縮小しましたが、財政は好転しませんでした。「ギリシャ化を防げ」と言いながら、猪突猛進、ギリシャになろうとしているのです。

 太田 日本経済を人間にたとえたら、今は風邪をひいている状態です。そんな状態で水風呂に入れて、どうするのか。生きている経済、金融、産業を支援して伸ばすことに最優先で取り組まなければなりませんね。  首都直下地震や東海・東南海・南海の3連動地震も指摘されるなか、「防災ニューディール」として国民の安全を守る分野への集中投資も必要です。

 飯田 確かに日本経済の体力は弱っています。だから、少なくとも今は"手術"するべきではないのです。どの国も、財政再建は景気回復のなかで達成しており、増税先行で達成したという話は聞いたことがない。皮肉を込めて言えば"世界初の試み"です。

景気浮揚の手打たない民主党政権

太田

 太田 2008年9月のリーマン・ショックの時、公明党は与党として「全治3年」をめざし、中小企業支援やエコポイントをはじめ、思い切った景気・経済対策に取り組みました。  09年4月のロンドンサミットでは、各国が思い切った財政出動を行うことを確認し、私たちは、ただちに15兆円に及ぶ補正予算を組みました。

 飯田 その年の夏に政権交代がありましたが、民主党政権は経済対策に無関心だったと言わざるをえません。彼らの発言は、まるで他人事、評論家のようです。

 太田 やっと景気が上向き始めたあの時、民主党政権は「あれも、これも」と、どんどん財政を削減、縮小。世界の動きに対して、日本だけが"逆噴射"政策をとり、一気に景気が落ち込んだ。その後も子ども手当や農家戸別所得補償、高速道路の無料化など、成長を犠牲にして手当や分配ばかり。
 自公政権の時より、はるかに多い90数兆円という当初予算を組みながら、この2年半、景気を浮揚させる手を、まったく打ってきませんでした。

 飯田 リーマン・ショック後、インフレ論を唱えるFRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長は、資産買入額を2.5倍に伸ばしました。さらに、インフレターゲット(物価目標)を宣言し、追加緩和も辞さない姿勢を鮮明にしたことで、市場も信頼しました。ところが日本銀行は、政治の圧力に屈したという体で「やるふり」だけなので、政策効果は期待できません。政策は、ある方針に則り、かつ継続するから民間がついてきます。これが、日によって違う状態が続けば、民間はついてきません。

 太田 私は以前から「安全・安心で勢いのある国」ということを訴えています。勢いある日本の再建へ必要な視点は何でしょう。

 飯田 さまざま課題はありますが、まずは雇用対策に力を入れなければなりません。労働力人口が減るなかで、移民政策に力を入れるという考え方もありますが、これは時期尚早でしょう。
 70歳まで働ける社会を構築し、若者の雇用改善はもちろん、結婚・出産で一度家庭に入った女性の労働参加も重要です。

 太田 「M字カーブ」と言われる女性、不安定雇用の若者、そして60代以上。この3者に雇用の場があることで、需要になりますね。
 福祉国家というのは本来、完全雇用、社会保障、公的扶助の三つで成立するものですが、雇用が、まず大事です。

 飯田 歴史的な円高やデフレで、日本企業は価格が2~3割も高いハンディキャップを背負って国際競争に臨んでいます。大変な苦労をしていますが、ここまで善戦できるのは日本企業が優秀であることの証明だと思います。

ブレずにやり抜く公明の改革に期待

 太田 先日、ある企業のトップと会った際、「中小企業にとっては円高と消費増税が一番困る。デフレと闘わない政府などいらない」との訴えがありました。中小企業を守り抜かなければ、勢いある日本再建はできませんね。

 飯田 どこかで金を稼がないと世の中には回りません。では、誰を元気にすればいいか。金を稼ぐ現場、"経済の現場"である中小企業を活性化する必要があります。さらに労働者が暮らしやすい社会、つまり失業率の低い社会にしなければなりません。

 太田 その通りです。私は、今後の日本に強い危機感を抱いています。民主党政権は、この2年半、景気・経済対策に力を入れませんでした。このままでは本当に日本経済が、ぺしゃんこになってしまう。  現場を回ると「円高、デフレ、電力不足、政治の混乱を何とかしてほしい」という悲鳴ばかり。こうした課題を解決する政治のリーダーシップを打ち立てなければなりません。

 飯田 私は他党の会合にも呼ばれますが、公明党には常に現場的な視点がありますよね。それに、理念がはっきりしていて、党内抗争で分裂する心配もない。この安定感は高く評価できます。特定の得意分野を絞り込むことで官僚の力を排除し、ブレずに改革を進められる党だと思います。
 私が論壇にデビューした03年当時、日本の財政破綻は、まだ先という認識でしたが、増税で税収が減るという破綻へのシナリオが、リアリティをもって迫っています。この1、2年は本当に勝負の年です。頑張ってください。

 太田 ありがとうございます。「安全・安心で勢いのある国」をめざし、一生懸命、頑張ります。

いいだ・やすゆき 駒澤大学准教授。経済学者、エコノミスト。東京都生まれ。若手論客としてメディアにもたびたび出演。著書に「世界一シンプルな経済入門 経済は損得で理解しろ!」(エンターブレイン)ほか多数。東京大学経済学部卒。37歳

(2012年3月5日)

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