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世界に誇れる観光立国を目指して――外国人旅客2千万人への挑戦

 「観光は日本の成長の柱。地域の振興にとっても欠かせない」−−。太田はその信念の下で、観光立国・日本に向けて政治活動を続けてきた。「沖縄をはじめ、どこの地方にも観光客を惹きつけるための資源が豊富にあるのが日本だ。これを磨き上げ、世界に発信することができれば世界中から観光客を呼ぶことができる」――太田はそう考え、行動してきた。

 政府も観光立国を目指し、2003年にビジットジャパンキャンペーンを開始。訪日外国人旅客1千万人をめざしてきたが、いっこうに達成できない状況が続いた。安倍内閣誕生前までは2010年の861万人が最高であった。安倍内閣誕生後、観光を所管する国土交通大臣に就任した太田は直ちに動いた。就任翌月の昨年1月29日には副大臣、政務官、全局長からなる「国土交通省観光立国推進本部」を立ち上げ、また、3月26日には、総理が主宰し、全閣僚により構成される「観光立国推進閣僚会議」を立ち上げた。会議では太田を中心には具体策の検討や閣僚間の調整が行われ、6月11日には、「観光立国実現に向けたアクションプログラム」がとりまとめられた。アクションプログラムは年間1千万人の達成と、2020年までに2千万人の高みをを目指した意欲的なもので、ビザ要件の大幅緩和、Wi-Fiネットワークの充実などが盛り込まれた。特に昨年7月1日より実施されたビザの緩和はタイ、マレーシアのビザ免除、フィリピン、ベトナムの数次化など、従来にない画期的な内容であり、その後の東南アジア諸国からの訪日外客数の驚異的な伸びをもたらした。
 「元気なところに人が集まる」――太田はかねてよりそう考えている。アベノミクスによる日本経済の回復や円安効果もあり、安部自公政権になって、訪日旅客が急増した。昨年6月22日の富士山の世界遺産登録や9月7日の東京オリンピック・パラリンピックの開催決定も更に大きな推進力となり、年も押し迫った12月20日にはついに1千万人が達成された。太田はセレモニーに参加するため、成田空港に向かい、1千万人目となったご夫婦に記念品を手渡した。そのご夫婦は奇しくもビザ緩和により急増しているタイのご夫婦であった。観光業界をはじめとして関係者はこの朗報に沸き立ち、次なる目標である2千万人に向けて決意を新たにした。

 太田は次なる目標に向け、次々と手を打っている。今年6月18日には観光立国推進閣僚会議でフィリピン、ベトナムの実質ビザ免除など更なるビザ緩和などを定めた「観光立国実現に向けたアクションプログラム2014」をとりまとめた。外国人の受け入れ環境整備として重要なWi-Fiネットワークの整備にも取り組んだ。地元経済界などの要望も踏まえ、新千歳空港でのWi-Fiネットワークの整備を実現させ、視察もした。8月には、観光庁と総務省が連携し、通信事業者や観光関係事業者、自治体による協議会も立ち上げた。
 「観光には、見るもの、食べもの、買いもの、この3つが大切だ」――太田の主張だ。各地域ごとに「見るもの」「食べもの」「買いもの」の観光資源の掘り起こしやブランド化の取り組みを支援するため、北海道や沖縄、岡山などで地域が立ち上げた会議に、観光庁の幹部を派遣した。また、太田は、点から線、線から面への観光エリア作りも重要だと考えている。中部と北陸の財界、自治体が取り組んでいる「昇龍道プロジェクト」。伊勢から名古屋、高山を抜け能登半島に至る観光エリアを龍(能登半島が龍の頭)に見立て、財界と自治体が一体となって観光客の誘致などを行う取り組みだが、太田はこのプロジェクトに目をつけた。中部財界からの要請を受け、今年7月26日には「昇龍道の世界への発信に向けた意見交換会」を立ち上げ、副大臣と観光庁長官を派遣。国としてプロジェクトの支援を明確に打ち出した。
 さらに、太田は電化製品や装飾品といった高級品だけでなく、包丁や医薬品、化粧品などの日用品や食料品も外国人旅客に非常に人気が高いことにも着目し、関係省庁と連携し、今年の10月1日からは外国人旅行者の免税制度を日用品や食料品にも拡大した。
 太田は中国、韓国との関係改善や諸外国との連携の強化にも積極的に取り組んだ。昨年来、東南アジア各国を訪れて働きかけをした。東南アジアのほとんど全ての国の観光大臣と会談を積み重ねた。今年5月にソウル、そして6月には安倍内閣の閣僚として初めて北京を訪問し、副総理や関係閣僚と会談するなど観光交流や関係改善に努めてきた。また、11月10日の日中首脳会談のわずか6日後には、上海で、中国の観光担当閣僚である李金早中国国家旅游局長と首脳会談後初となる閣僚会談を実施した。

 こうした取り組みにより、訪日外客は10月までに1,101万人と早くも昨年を大幅に上回り、最終的には1,300万人前後となる見込みだ。日本経済への効果も大きくなっている。国際旅行収支は過去3兆円を超える赤字となっていたが、なんと本年4月には大阪万博以来単月ベースでは44年ぶりの黒字となった。訪日外国人旅客による旅行消費額も一昨年の1.1兆円から昨年は1.4兆円に増加。今年は9月までに昨年を超える1.5兆円となっており、最終的には2兆円になると見込まれている。

 世界に誇れる観光立国を創り上げる。太田の挑戦は続く。

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