熱帯  森見登美彦著.jpg「それは私が京都に暮らしていた学生時代、たまたま岡崎近くの古書店で見つけた一冊の小説であった。1982年の出版、作者は佐山尚一という人物だった。『千一夜物語』が謎の本であるとすれば、『熱帯』もまた謎の本なのである」――。この佐山が著した『熱帯』は、「汝のかかわりなきことを語るなかれ しからずんば汝は好まざることを聞くならん」という謎めいた文章で始まるが、不思議なことに読む途中で消えてしまい「この本を最後まで読んだ人間はいない」のだ。その謎の解明に勤しみ巻き込まれていく読書会(「学団」)の池内氏、中津川さん、新城、千夜さん(海野千夜)。そして白石さん。当時、千夜と同じ学生であった佐山は「魔術にまつわる物語、南の島をめぐる不思議な冒険譚を書く」といい、失踪していた。そして、『熱帯』という小説を読み始めた者たちは、いつしか『熱帯』という世界そのものを生き始め、物語の主人公になっていくのだ。

「想像の世界、『熱帯』の世界」が広がっていき、「不可視の群島」での不思議な物語が展開される。「何もないということは何でもあるということなのだ。魔術はそこから始まる」「この海にある森羅万象はすべて贋物なんだ」「『おまえは帰るべきところを忘れ、それを忘れたことさえ忘れている』と魔王は言った。『その失われた思い出こそが魔術の鍵だったというのに――』」「どこに魔女がいるというんだ・・・・・・見ようとしなければ見えないのよ」「<創造の魔術>とは思い出すことだ」・・・・・・。

自在に時空を飛ぶ展開。「千一夜物語」は夢、神話、創造、起源、そして「シンドバッド」「アラジン」などをも17世紀以降に紛れこませた信じられない肺活量の物語だが、この森見登美彦「熱帯」は、その世界と随伴して時空を疾走する。「何もないということは何でもあるということなのだ。魔術はそこから始まる」と言っているように、人間の内奥に込められた過去・現在と未来の想像を限りなく自在に描けるのが小説だというワクワク感が伝わってくる。


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20日、「第10回東京・赤羽ハーフマラソン(主催:北区陸上競技協会)」が荒川河川敷で行われ、大会会長を務める私がスターターを行いました。昨年同様、快晴無風の最高のコンディションとなり、全国から集った約1万人の市民ランナーが快走。男子大学対抗戦や男子高校対抗戦なども行われ、大変盛り上がりました。

またこの日、地域では、赤羽消防団始式や町会・自治会、商店街、団体等の新年会、もちつき大会など多くの行事が行われ、参加し懇談しました。

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白洲次郎 占領を背負った男.jpg白洲次郎が表舞台に登場したのは、日本にとって敗戦後の未曾有の国家的危機の時代。GHQは"従順ならざる唯一の日本人"と報告しているが、「一見破天荒なように見える彼の行動の中に、いつもすっきりと一本、際立った"筋"(白洲次郎のいうプリンシプル)が通っていた」「プリンシプルを持って生きていれば人生に迷うことは無い<プリンシプルに沿って突き進んでいけばいいからだ。そこには後悔もないだろう>という言葉どおりに彼は生きた。人生の最後の瞬間まで格好良かった」と北康利さんは描いている。自我を持ち個性豊か、画一的思考を排除し、行動も速く、情にも厚い。白洲正子は「直情一徹の士」「乱世に生き甲斐を感じるような野人」と評した。

「近衛文麿と吉田茂」「占領された屈辱」「政府とGHQの間の折衝を行う終戦連絡事務局(終連)の参与に抜擢される」「憲法改正におけるGHQとの攻防」「"今に見ていろ"と云う気持抑へ切れず」「ケーディスとの最終決着」「民政局との国家主権をかけた血みどろの争いを戦い抜いた自負」「通商産業省創設」「講和と独立」・・・・・・。激烈な戦いの日々が描かれる。

「今の政治家は交通巡査だ。目の前に来た車をさばいているだけだ。政治家も財界のお偉方も志がない」「ボクは人から、アカデミックな、プリミティブ(素朴)な正義感をふり回されるのは困るとよくいわれる。しかしボクにはそれが貴いものだと思っている。これだけは死ぬまで捨てない」「功を求めずに縁の下の力持ちをもって甘んずる、をよしとする」「あいつらはバスが走り始めてから飛び乗るのがうまいだけだ」――。白洲次郎の言葉は鮮やかで鋭い切れ味をもつ。


昨日がなければ明日もない  宮部みゆき著.jpg杉村三郎シリーズの第5作。「誰か」「名もなき毒」「ペテロの葬列」「希望荘」に次ぐもの。東京・北区で私立探偵事務所を設立した杉村が、"困った女たち"の難題を解決する。ごくありふれた日常のなかに、人を困らせ、難題を突きつける者がおり、ついには事件として暴発する。杉村三郎が淡々と丁寧に取り組んでいく。「絶対零度」「華燭」「昨日がなければ明日もない」の3話。

「絶対零度」――。久し振りの依頼人は50代後半の筥崎静子。2年前に結婚した娘・優美が自殺未遂をして入院したというが、面会も拒否され、メールも1か月以上も繋がらないという。杉村が調べると、あまりにも残酷な事実が明らかになってくる。人間の温もりが消えた「絶対零度」の復讐。

「華燭」――。同じ日に同じホテルの同フロアで華燭の典に臨む二人の花嫁が、片や直前で逃亡、片や花婿側に元カノが駆け込んで大混乱、破談となる。親の代からの確執、因果応報を思わせながら、思いもよらぬ謎が明かされていく。

「昨日がなければ明日もない」――。親兄弟・家族にも周りにも迷惑をかけ続ける今はシングルマザーの朽田美姫。16歳で長女・漣を産み、別の男性との間に6歳の長男・竜聖がいる。竜聖が事故に遭い、杉村は美姫から「子供の命がかかっている」との相談を受けるが・・・・・・。

今の社会の日常――こじれにこじれた人間関係から生ずる事件を描き切る力は見事だ。


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平成最後の成人の日――。全国で125万人が新成人となりました。地元北区、豊島区の成人式に出席。また記念の街頭演説を行いました。

豊島区は来たる2月1日に開催される「東アジア文化都市2019豊島」開幕式典に先駆け、豊島区の魅力の一つである「アニメ」をテーマに「アニメ成人式」が行われました。大変にユニークで意欲的な試みでした。私は「今後、社会は大きく変動する。人口減少・少子高齢社会、AI・IoT・ロボットの急進展などの構造変化がある。人生には山も谷もある。勝つことも負けることもあるが負けない自分を作ることが大事だ」と話しました。

北区の成人の日記念式典では、昨年のサッカーFIFAクラブワールドカップ UAE 2018で大活躍をし、Jリーグベストヤングプレーヤーを受賞した鹿島アントラーズのFW・安部裕葵選手も出席し、懇談しました。

また、町会・自治会、各団体など多くの新年会に出席しました。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任、公明党前代表。前国土交通大臣、前水循環担当大臣。

現在、衆議院議員、党全国議員団会議議長、東京第12総支部長、首都直下地震対策本部総合本部長、現代中国研究会顧問など。

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