060125「自分を生ききる」.jpg現在、日本のガン患者は300万人、年間ガンで死亡する人が30万人を超え、10年後には、2人に1人がガンで死ぬという、もはや、ガンは特殊な病気ではなく普通の病気、身近な病気である。
ガン治療は進歩して、半数以上が治療できているらしいが、残り半数は数年の内に死に至る。
著者がいうには、日本の医療は、この非治癒患者のケアにもっと力を入れるべきという。


体の痛み、心の痛み、社会的な仕事がなくなる、経済的につらい、家族との別れなど、厳しい痛みを和らげる緩和ケアが大切となる。

もう普通の病気なのであるから、治ったら勝ち、治らなかったら負けのような考えでなく、ガンと共存しつついかに人間的に生きるか。まさにガンに立ち向かうことは、「自分を生ききる」ことであり、死に立ち向かう人の生きざまの凝縮だという。
病気を治すことが医療の役割りではあるが、人間は必ず死ぬものである、この認識に立ち、死にゆく者のために何ができるか――緩和ケアは立派な医療の使命である。

告知の是非も含め、人間がどう生きるか、どう死ぬか、こういったことが、根底に問われる。


「病は気からの免疫学」.jpg病気とは、体が間違いを起こしているのではないのだそうだ。 その人が自らの適応力を超えた生き方をしたために引き起こされた"歪み"を自らが治そうとする治癒反応だと言う。
例えば、発熱が自然治癒力を増やすための生体反応であることは良く知られているが、薬物性湿疹やアトピーも皮膚から毒素の排出反応らしい。

 

心ですらも、人間は元気なだけではエネルギーを消費して、身体が消耗してしまうので、落ちついたり、しょんぼりしたりする体調が半分近く訪れるようにできているそうだ。逆らって安易な対症療法は、かえって危険と著者は戒める。

年々増え続ける医療費。一昨年は年金、昨年は介護、今年はいよいよ医療制度改革だ。予防も含めて、つぎはぎの制度改革ではない「総合的な対応」が迫られていると思う。それは、病気とか健康観の根本的な判断が国民に求められている事でもある。

氏の言うように、「何がこの病気を引き起こしているのか。」自らの生き方を問い、その本質に目を向ける事によって、根本的な解決につながればありがたい。


「天皇問題」.jpg権威の不在と権力の暴走。家庭やコミュニティや国家を支えているのが歴史であり、文化であり、宗教もまたその次元にある。本書は「天皇の権威」「文化としての天皇制」そして「ポツダム宣言と日本の戦後処理などの歴史認識」「天皇と神話と文化」などを語り、「女性天皇というみちを残しつつ、臣籍降下した旧皇族の復帰で、男系による万世一系をはかるべきではないか」という。


060105-3「女性天皇論」.jpg女性天皇を論ずることは、私は「パンドラの箱をあけることになる」(著者)とは思わないが、当然「天皇とは、天皇制とは、日本の文化とは、日本の伝統とは、神道とは」という根源的な問いを発することになる。私としては、これらを真摯に直視する諸法実相の姿勢が大事だと思う。
本書は、まさにその根源に迫ろうとして、徹底的に調べあげ、様々な論を開示してくれる。大変な努力に敬服する。「女性天皇論議にささやかなヒントになれば・・・」と中野さんはいう。


「語られなかった皇族たちの真実」.jpg皇室典範改正論議は、皇室の歴史で4回目の"万世一系の危機"を背景に行われているが、旧皇族・竹田家に生まれた著者が、男系継承という変えてはならない伝統の重みをもっと認識すべきだと警告する。そこには日本の伝統、文化、神話、家がある。世襲親王家と側室制度にもふれ、いかにこの「万世一系」が乗り越え、乗り越え、保持されてきたかが述べられる。
あの昭和の戦争、そして終戦、戦後と、いかに皇族が行動したか、まことに歴史を実感する書となっている。


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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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