060526 2005年体制の誕生.jpg昨年の9・11総選挙に現れたものは何か。郵政民営化は「口利き政治」に終止符をうち、55年体制の終わりを告げる次代の幕開けだと田中直毅さんはいう。
「一気通貫となった政策・政党・首相候補」「既得権益の擁護を国益の名を借りて語る政治家の胡散臭さ」「小泉の政府赤字はへらし、政府保証の傘をすぼれる断固たる姿勢」「55年体制の崩れは(1)国際関係と国内関係の切り分け(2)「やさしい保守政治」の政策体系(3)先送り構造――の3つの耐久年限が切れたことによる」「次世代に厳しい負担先送りの仕組みと少子化」

「既得権益の擁護(弱者保護も含む)は改革ではない」「人口減少社会での持続性確保こそ現在の主要命題」「プライマリー・バランス回復の為には非効率は公共部門の骨組みにメス」「首尾一貫性のある社会保障システムづくり」――まさに、これらは55年体制の設計がきわめて不都合となり、改革を迫られているということになる。

そして、日韓、日中を論じて、世界を支えるシステムを日米同盟でいかにしてつくりあげるかは、金融も経済も安保も再位置付けが行われようとしていると指摘されている。有意義な著である。


060519「悪魔の種子」.jpg内田康夫さんの浅見光彦99番目の作品。幻冬舎創立11周年記念特別作品。
秋田県西馬音内盆踊りの最中、茨城県農業研究所に勤務する男がヨロヨロとした足取りで踊りの列へ入り死亡する。また霞ヶ浦で長岡農業研究所勤務の男の溺死体が発見される。「花粉症緩和米」開発とその実験田にからむ連続殺人事件に、浅見光彦がしなやかな思考で挑む。

神でさえしなかった新種作り(神の領域)に、「自然の摂理に逆らわない方がいい」と思いつつ挑む人間の業が、事件を生む。


「日本経済の構造変動」.jpg「90年代においては、デフレ、不良債権、構造調整の3つが負の相互補完性を持って影響しあっていた」が、今、3つの課題の相互関係がプラス方向に作用し始めていると小峰さんはいう。
日本の経済・社会の構造変動を直視して、時代が要請する構造改革をやる。今よくいわれる貧富の格差が発生した、その為の政策は別途用意する。


日本型システムといっても雇用も企業経営も、金融もいろいろあるが、それがまさに相互補完性をもって成り立って今日まできており、それが、グローバリゼーション、少子高齢化をはじめとする構造変化に対して、結合しているがゆえにドミノ倒し的になる、ということをよく示してくれている。
政治における「構造改革」について、「社会や経済がどんどん構造変化している。それをとらえよ」といい続けてきた私としては、本書の冷静な分析はきわめて有意義であった。


060508「良心の自由と子どもたち」.gif教育の独立・中立性。思想・良心の自由(憲法19条)。きわめて重要な問題を現実に即して丁寧に分析してくれている。
「北九州市国歌斉唱処分取消訴訟」「良心的兵役拒否はなぜ保障されるか」「米国の義務教育事件」「神戸高専事件(剣道実技拒否)」「"不当な支配"と国家はどこまで教育にかかわれるか」「旭川学力テスト事件」「道徳・思想の中立性(宗教に対する国家の中立性)」「福岡市の愛国心通知表と評価基準の一元化」「規範意識の形成と"親と学校"」「伝習館高校事件と広島県教育委員会」など、論議は基本的かつデリケートだ。


060506「市場には心がない」.gif「改革なくして成長なし」ではなく、「成長なくして改革なし」というのはある話だが、都留さんは「成長なくて改革をこそ」という。

対米一辺倒からの脱却と、成長を前提としない改革を提言する。非核や安保廃棄で平和条約、シュマッハー「スモール イズ ビューティフル」、「市場化は市場の領域を拡大することにより、自己決定権を少なくする。

ところが、福祉のために非市場の領域を拡大しなければならないとすると、自己決定権の拡大を必要とする」「社会保障は、権利なのか恩恵なのか(シビル・ミニマムとしての社会保障)」「不良債権処理がなぜ構造改革か。産業の再配置という構造改革」「消費税の引き上げではない。資本所得に対する課税を強化して得られる"フローの社会化"の中から社会保障給付の財源を確保できる」「豊かさの貧困とスローライフ」などの指摘が、どうしても「なつかしい」思いがする。

経済を専門的に掘り下げてほしいという思いが残るが、遺稿となった。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任、公明党前代表。前国土交通大臣、前水循環担当大臣。

現在、衆議院議員、党全国議員団会議議長、東京第12総支部長、首都直下地震対策本部総合本部長、現代中国研究会顧問など。

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