わたしが死について語るなら.JPG「日本人の心の底に流れる"無常観"」「日本には"無常"の風が吹いていた」――。生老病死、四苦八苦、諸行無常、日本人の自然観・無常観・人生観のなかから、"平等と個性の時代""ひとり恐怖の時代"を克服せよ。「ひとり」ですっと立って人生を歩きはじめよう、という。

北原白秋の詩「金魚」、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」「永訣の朝」、金子みすゞの「大漁」「海へ」「光る髪」、そして「源氏物語」「平家物語」など、改めてその境地を示してくれる。


高知 起工式1124.jpgのサムネイル画像  高知視察1124.jpgのサムネイル画像

「南海トラフ巨大地震の津波から命を守ろう」――。11月24日、高知県に行き、国が直轄で工事を行う海岸堤防の起工式(土佐市)に参加。続いて、日本で最も高い最大34mの津波が押し寄せると想定されている黒潮町に行き、対策を協議しました。

まず、海岸堤防の起工式。この事業は、土佐市の仁淀川河口から南国市に至る高知海岸で進めているもので、今回は新居工区約1.7㎞を着工しました。大きな特徴は、堤防の耐震化とともに液状化対策を施していることです。堤防が震度7の揺れで倒れたり、液状化で沈下してしまっては役に立ちません。このため、粘り強い堤防に強化することが不可欠です。起工式では、地元の尾崎正直知事や板原啓文土佐市長から、地域の安全性が高まることに期待と感謝の挨拶がありました。

そして黒潮町。昨年34mの津波想定が発表されたときは、「もう何をやってもムダ」と諦めの声が強かったそうです。しかし、大西勝也町長をはじめとする町の全職員約200人が、各地区を回って少人数で話し合いを実施。世帯ごとにどのように避難すればよいかというカルテを作成しています。その結果今では、「よし、防災・減災に取り組もう」と意識が前向きに変わったそうです。町長からは、「ソフト対策は続けていくが、高台の避難場所や海岸堤防などハード対策が緊急に必要」と要望を受け、高台を「命の山」として整備することなど今後の対策を協議しました。

その後、中山間地の集落活動センターに行き、地域の皆さんの活動を視察しました。

広範囲で甚大な被害が想定される南海トラフ巨大地震。ハード、ソフト両面での対策が各地で進むよう、しっかり取り組みます。

高知視察②1124.jpg  高知 視察 打ち合わせ1124.jpg 


たとえ明日世界が滅びようとも.jpgのサムネイル画像

「日本人のかつての"いつくしみ"の血は、"憎しみ"の血へと変質したのではないか。墓につばをかけるのか。それとも花を盛るのか」という「東京漂流」(昭和58年刊)以来、藤原さんの著作に接してきた。時代風景の思想家・哲人・写真家の藤原さんは常に「人間としての存在」を問いかけてきたと思う。本書はこの3年間ほどの短い著作をまとめたものだ。本当に短いコメントのようなものもあるが、そのブレない原点的視点、感受性は日常に溺れる現代人を突き、鋭い。

「人はみな孤独の中で死ぬのだ。死に捉えられた人間はみな孤独である。・・・・・・孤独死もまたさまざまな死という孤独の中の、ひとつの形なのだと思う。そして人は死ねばやがて腐乱する。世間では腐乱する前に焼くだけの話だ」「人は肩書なしには暮らせない。・・・・・・人は死した時、生涯寄り添ったその宿業は夢泡沫のように儚く消え去る」「言説を振りかざす人間に"体験"というものがすっぽり抜け落ちている。戦争のカケラほどの体験もなく、二次情報、三次情報の積木の上に自らの論理を構築しようとしているわけだ・・・・・・(従軍慰安婦問題)」「昨今、マルかバツかという二者択一的な気分が普通の人の中にも横行し、中庸というものが失われつつある」「私たちの感覚体はメディアの過当競争、過剰表現によって昨今非常に鈍感になっており、大きな声、おおげさな身振りにしか反応しなくなっている傾向がある」――。

「たとえ明日世界が滅びようと私は今日林檎の木を植える」が本書のタイトルだ。日本はいまだ経済成長を至上目的とする高度成長期の記憶に囚われ、命に対する想像力が抜け落ち、無表情で能面のような"仕事人間"が大量に生産され、原発にも放射能にも反応がない。ヨーロッパ各国が経済と人間の融合に向かった"成熟"が日本にはない。藤原さんは「ゆっくり歩く者は遠くに行ける」という言葉を銘記し、はやる気持ちの中で自壊することもなく、自らの土壌に小さな林檎の木を植えるよう、と結ぶ。


黒田官兵衛その生涯.JPG逸早く信長を天下人になるとし、秀吉の下で軍略の才を発揮し、荒木村重の裏切りによって捕われる。有岡城の落城、救出、本能寺の変、水攻めの策と中国大返し、秀吉の天下統一......。まさに官兵衛の面目躍如たるものがある。

しかし、「世に恐ろしいものは徳川家康と黒田官兵衛である」(秀吉)。当初は竹中半兵衛も懸念した溢れんばかりの軍略の才知と野心は、秀吉の警戒心・疑心をより高め、官兵衛もその心を読んで戦慄する。「利を休めよ」との千利休を想起させるが、それが如水円清の名にも現われる。晩年の秀吉の傲慢と狂気への幻滅、石田三成の中傷と野心が家康と官兵衛の接近を生ずることになる。

そして関ヶ原――。主役となるのは官兵衛ではなく黒田長政だ。隠居の形はとっても、官兵衛の戦いの血は騒ぎ、九州平定から天下をもにらむが、関ヶ原によっての天下静謐はその野望を潰えさせる。そして家康もまた官兵衛を危険視した。

智略、人間学を備えた天才軍師は、軍師そのものの生き様として完結したが、それを超える将たる素質を蓄えていたがゆえに、はたして人生として完結したかどうか。すさまじい巨人の生涯だ。


日本人へ危機からの脱出篇.JPG「リーダー篇」「国家と歴史篇」に続く第三弾、民主党政権の始まりから安倍政権誕生までの期間の42本。日本の"決められない政治"、3.11東日本大震災、そしてユーロ危機、モンティ内閣・・・・・・。イタリア(文明と文化の欧州)と日本と古代ローマを踏まえた深き思索とゆるぎなき視点が開示される。

「明治維新が成功したのは、維新の志士たちも反対側にいた勝海舟もイデオロギー不在であったからだと、私は思っている。・・・・・・彼らを動かしたのは、危機意識であった。・・・・・・イデオロギーは人々を分裂させるが、危機意識は団結させる」「(永井陽之助のアメリカでのジョーク『世界に絶対ないものが4つある。アメリカ人の哲学者、イギリス人のクラシック作曲家、ドイツ人のコメディアン、日本人のプレイボーイ』を引いて)日本人は、馬鹿正直でお人よしで世間知らずで、それでも日本人同士ならば充分にやっていけるので、悪知恵を働かせる必要に目覚めないのだろう(他国人となると通用しにくくなる)」「(日本人は)入社試験に限らず、拒絶されるということへの反応が過剰すぎると思える(政治家も、就職も、安定志向の社会も)。・・・・・・どうにかなりますよ」「人間は、不幸なときこそ真価が問われるのだし、予期していなかった事態にどう対処するかに、その人の気概が表われるのだ」「指導者に求められる資質は次の5つである。知力。説得力。肉体上の耐久力。自己制御の能力。持続する意志。ユリウス・カエサルだけが、このすべてを持っていた」「寄って立つ支柱がなければ生きてこられなかった人は、その支柱が倒されても必ず別の支柱を求めるようになる」「権力自体は悪ではないのだ。リーダーを自覚できない人間が権力者であった場合にのみ、権力は悪に変わる(そうしたリーダーを選ぶな)」「衆愚政にだけは向かわないように。一人一人が愚かになった訳ではなく、一人一人が以前より声をあげ始めた結果ではないか。加えて、これら多種多様になること必定の民意を整理し、最優先事項を見きわめ、何ゆえにこれが最優先かを有権者たちへ説得した後に実行するという、冷徹で勇気ある指導者を欠いていたのではないか」・・・・・・。考えること大であった。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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