27日、2020年度第二次補正予算案が決定。このなかで、飲食店の休業や学校給食、各種イベントの中止などで販路が絶たれ、収入が減少した農林漁業者を支援する「持続化補助金」(経営継続補助金)を新しくつくることを決めました。感染防止対策を行いつつ、野菜や花卉などの都市農家をはじめ、農業全般の販路回復や幅広い事業継続等のための助成です。最大150万円の補助で、農林漁業への大きな支援になります。


空気を読む脳  中野信子著.jpg「サイコパス」「脳内麻薬」「シャーデンフロイデ」など、中野信子さんの本を読んできた。「良心というブレーキがない脳」「倫理・道徳というルールを学習できない脳」というサイコパスの脳が「扁桃体と眼窩前頭皮質および内側前頭前皮質とのコネクティビティ」がカギとなっていることを「脳科学」で明らかにした。「快楽とは"頑張っている自分へのご褒美"」として「人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体」を「脳内麻薬」として紹介した。依存と社会的報酬の関わりだ。「シャーデンフロイデ――誰かが失敗した時に、思わず湧き起こってしまう喜びの感情」が、"愛情ホルモン""幸せホルモン"などと呼ばれる「オキシトシン(安らぎと癒し、愛と絆の働き)」と深い関わりのあることを示した。「私から離れないで」「私たちの共同体を壊さないで」「絆を断ち切ろうとすることは許さない」「集団を支配する倫理、正義バブルの正体」を詳述した。本書は日本の心性、日本人の脳の特性について、脳科学を中心にした科学的エビデンスをもとに論じ、その特性を知れば現代社会の息苦しさを突き破れるという。

まず、「不安が高く、社会的排除を起こしやすく、同調圧力を感じやすいと思われる日本人の脳」だ。神経伝達物質セロトニンは、「精神の安定や安心感の源」「適切に分泌されるとストレスに対する抵抗力が増す(精神安定剤のよう)」「個人より集団をつくろうとする本能に関係する」で、その量の調節を再取り込みという形で担うたんぱく質がセロトニントランスポーターだ。その量が日本人の脳は世界でも最も少ない部類に入るという。それは、「利他的に振る舞おう」「ルールを逸脱した人はバッシングを受ける」「不正をした相手に制裁を加える(不倫も)」「義経、孔明のように悲劇性を持った人物が人気を集める」「醜く勝つより美しく負ける」「賭けでも堅実で慎重な日本人」「新奇探索性が低い日本人」「集団の結束が優先の日本(オキシトシン)」に関係する。

「容姿や性へのペナルティ」「女という『呪われた』性で『婚活』に苦しむ日本人女性」「レールを敷く親――子どもを蝕む『毒親』とは」「愛と憎しみのホルモン・オキシトシン」「同性愛の科学と"生産性"」――。じつは「種の保存のために自然に残した仕組みが同性愛の遺伝子」という驚くべき研究成果が示される。マイノリティを排除する特性のなかで、こうした同性愛の遺伝子が組み込まれているのは興味深い。

「『褒める』は危険」「褒めて育てると"失敗を恐れる脳"が形成され、『挑戦』を避ける」という衝撃的事実が示される。それが進んでしまい「"優秀な人"による"捏造""改竄"まで起きる」「頭がいいねと褒められた子どもは、必要な努力をしなくなる」のだ。「努力のかいがあったね」といえば、難しい問題に挑戦し、面白がるという。また「報酬がいいとやる気や創造力が減退する」「"ごほうび"をいうと"嫌なこと"をさせるときだと脳が反応する」――つまり創造性をあげるには、報酬ではなく、「やりがい」を与えることだという。また「女性は男性に比べて、セロトニンの合成能力が低い」ので、女性の方が不安になりやすい。女性脳は不安になりやすく、楽観的な男性脳は「メールもすぐに返信しない」ことになりがちのようだ。「ステレオタイプ脅威」――人はこうである、男(女)はこうであると決めると、そうなってしまうことに用心。

「幸福度が低い」にはわけがある――。「幸福の感じ方(幸福度)」を調査・研究すると、収入額、配偶者の有無、職業、宗教の影響を受ける等の環境要因の部分は少なく、感じ方や考え方は遺伝的影響が大きいという。「幸福度の高さは、どれくらい陽気で楽観的な性質かと言い換えてもよく、セロトニンの動態と深く関係している」「セロトニントランスポーターが少ないという日本人はやや特異的な性質を持った集団である」「真面目で、慎重、悲観的になりやすく、粘り強い日本人の幸福度の低さは性格遺伝子で特色づけられる」というのだ。その性格は長寿に共通する性格で、「幸福度を高めてやることがその人の寿命を縮めることになりかねない」とのパラドキシカルな考え方に論及する。面白いものだ。「"弱み"は人間の生存戦略上なくてはならない」とし、「"弱み"を生き延びる強さに変える生き方を」という。


27日、2020年度第二次補正予算案が閣議決定されました。国の歳出総額は31兆9114億円、事業規模は117.1兆円です。「企業・事業主への支援」「家計支援(困窮学生を含む)」「医療・介護支援」等とともに、「長期戦を見据えた備え」に力を注ぐ予算案となっています。

企業・事業主への支援では、「資金繰り対応の強化」として融資や資本性資金の活用などで、11.5兆円(事業規模67兆円)、店舗の家賃負担軽減のため半年で最大600万円の給付金2兆円を創設しています。 大規模です。 また休業者への雇用調整助成金は、1日当たりの上限を1万5000円に引き上げ、医療従事者に対して最大20万円の応援給付を行います。文化芸術活動の継続や再開に向け、総額560億円の支援策、農漁業の販路回復や事業継続への「経営継続補助金(最大150万円、総額200億円)」を決定しました。地方自治体から要望の強い地方創生臨時交付金の拡充については、2兆円を増額し、うち1兆円については、家賃支援を含む事業継続や雇用維持等への対応に充当します。

未曽有の大規模な補正予算案で、何としても100年に1度といわれる危機から、家計・雇用・経済、医療・介護、生命・生活を守り抜いていきます。


感染症対人類の世界史  池上彰・増田ユリヤ著  ポプラ新書.jpg新型コロナウイルス感染症が世界を覆っている。しかし、人類の世界史を見ると、感染症との戦いの歴史であったことがわかる。戦乱の歴史に見えてもその裏では、感染症の蔓延が戦争終結をもたらしたことも明らかだ。日本においても、感染症や地震・風水害・大火災などで歴史が動いたことはいくつもある。感染症の発生は、「家畜との共生や動物との接触などから始まる」「自然破壊は感染症を掘り起こし」「コロンブス交換など、グローバル化は感染症の拡大となった」等々・・・・・・。人類は今、文明の進展が逆襲され、「人類と文明」を根本的に問いかけられているといえるのだ。池上・増田両氏が「感染症対人類の世界史」を語る緊急出版。

「シルクロードが運んだ病原菌(昔も今も)」「アテネがスパルタに負けたペロポネソス戦争(BC431年~404年)でアテネに疫病が蔓延し、指導者ペリクレスも疫病で死亡」「スペインがアステカ王国、インカ帝国を破ったのは天然痘が原因(ピサロの軍勢はわずか200人足らずだった)」「コロンブス交換で米大陸に天然痘などの感染症、馬・牛・羊などが持ち込まれ、梅毒は中米から欧州へ」「東ローマ帝国の衰退をもたらしたペスト」「"ロミオとジュリエット"の悲劇の陰にペストが」「ペスト流行まで教会の権威は絶大だった(宗教の力が及ばないと権威失墜からルネサンス)(活版印刷も始まり、宗教改革)」・・・・・・。世界を震撼させたペストは14世紀、17世紀、19世紀の三波に及んだ。

日本では、「天平の大疫病、聖武天皇は大仏を建立する(天然痘といわれる)」「聖武天皇は大仏や全国に国分寺等を造ったが、復興経済のため墾田永年私財法などをつくる」・・・・・・。

「第一次世界大戦の終結を早めたスペイン風邪」「スペイン風邪は1918年の第一波、第二波、1919年の第三波。第二波が致死率も高かった」「世界人口の25~30%、死亡者数は全世界で4000万人。日本では230万人の患者と約38万人の死者(45万人の説も)」・・・・・・。

コッホ、パスツール、ナイチンゲール、北里柴三郎、野口英世ら、人類の反撃もあり、現在に至るが、「感染症のリスクは高まっている」と真剣に警告する。


すでに20日の「つれづれ所感」でお知らせしましたが、バイト等がなくなり、困窮している学生さんへの支援が、第一次補正の予備費を使って決定しました。わかりやすい動画がありますのでご覧ください。

※下記URLにて、ご視聴いただけます。
https://youtu.be/ivekeEAItmM

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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