西郷隆盛_命もいらず名もいらず.JPG「人の器の大きさは一体何で測るものだろう。指導力や構想力など、さまざまな要素が挙げられようが、"赦す力"の中にこそ、西郷隆盛という人間の器の大きさを見ることができるのではないだろうか」「優れた政治家は人間学に通暁しているものだ。それは相手の立場に立ってものを考えることのできる能力を人一倍持っているということだ。西郷には、勝の置かれた立場が手に取るようにわかった」「命もいらず名もいらず 官位も金もいらぬ人は仕末に困るもの也 この仕末に困る人ならでは 艱難を共にして国家の大業は成し得られぬ也」「事大小となく 正道を踏み至誠を推し 一事の詐謀を用うべからず」――。

西郷は民主的な徳治国家を追い続け、大久保の国権的な中央集権国家との間に亀裂を生じる。西欧流国家への志向と、そのなかで新政府の果実を奪い合う人間の発する腐臭に西郷は耐えられなかった。日本人は欧米列強に比して、断じて劣るものではない。欧米の金と物欲の邪神に毒されず、日本人が持つ高い倫理性と精神性を純粋に練り上げよ。そう感じた内村鑑三は、西郷を「代表的日本人」の巻頭に置く。

勝海舟、大久保利通、坂本龍馬、木戸孝允、高杉晋作、大村益次郎、山岡鉄舟......。これら人物を、北康利さんは見事に描き、西郷が行き着いた境地を静かに、堂々と、鮮やかに示してくれている。


国交委員会1.JPG昨年12月、新たな自公政権の発足からちょうど半年が経った6月26日は、通常国会の閉会日となりました。

この半年、予算委員会や国土交通委員会での国会論戦、被災地の復興を進めるための5度にわたる被災地訪問、港湾や津波対策など各地の現場の視察、領海警備を担う海上保安庁の激励と体制整備、バッテリー不具合を起こしたボーイング787の安全確保対策、観光立国実現に向けたビザ要件の緩和、建設業者に対する労務単価の引き上げ、マタニティマークの普及促進、首都高速や虎ノ門ヒルズなど都市再生の視察・・・。陸海空にわたる幅広い国土交通分野を駆け回る日々でした。

「被災地の復興」「防災・減災ニューディール」「国民の命を守る公共事業」「今年をメンテナンス元年に」――国土交通省が関わる公共事業予算は、24年度補正予算で1.8兆円、25年度予算で4.5兆円となり、その大部分は、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化などに充てる(24年度補正予算のうち63%、25年度本予算のうち47%)ためのものです。従来型の公共事業ではなく、新たなステージに入る大きな転換点にすることができました。

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名文どろぼう.JPG名文、心にしみる言葉、人生の真実、社会の欺瞞......。こんな言葉に出会い、そんな言葉を吐いた人の境地と境智にふれることは、至福である。

「呑気と見える人々も、心の底を叩いて見ると、どこか悲しい音がする(漱石)」「才能も智恵も努力も業績も身持ちも忠誠も、すべて引っくるめたところで、ただ可愛気があるという奴には叶わない(谷沢永一)」「お金がすべてじゃないわ。持っている人はそう言うんです。(ジャイアンツのエリザベス・テイラーとジェームス・ディーンの会話)」「そら原作者の眼から見たら、ずいぶん不満もあるやろ、せやけど天狗ワテがつくった。これをいうたらあかん、しかし小説が売れた理由の一つはワテや、ワテの立ちまわりや(竹中労が書いた嵐寛寿郎の言葉)」「修学旅行を見送る私に『ごめんな』とうつむいた母さん、あの時、僕平気だったんだよ(日本一短い手紙)」「僕が母のことを考えている時間よりも、母が僕のことを考えている時間の方がきっと長いと思う(NTT)」「うますぎると評判ですが 私もそう思います(井伏鱒二が車谷弘の句集に対する葉書)」「『いいお酒ですな』と人に感心されるようなのみかたが、あんがい静かな絶望の表現であったりする(高橋和巳)」「美空ひばりには神様がついているけど、加藤和枝には神様がついていない(ひばり)」「東大出には、赤門とバカモンがある(山藤章二)」「私が田中角栄だ。小学校高等科卒である(中略)。できることはやる。できないことはやらない。しかしすべての責任は、この田中角栄が負う。以上。(田中蔵相就任の大蔵省演説)」――全てに生身のその人が出ている。


世界を動かす海賊.JPGアデン湾を荒らし回っていたソマリア海賊はその範囲を広げている。インド洋西部の東経78度以西、南緯10度以北で区切られる海域がハイリスク・エリアとして指定され、各国は協力して安全保障のネットワークをつくり、緊密に情報交換をしている。

本書は海賊の実態、手口、装備の全貌を明らかにしつつ、海賊対策について詳説している。情報収集・インテリジェンスの強化とともに、現在、国会で法案審議となっている民間武装ガードについても語っている。資源開発で活況を呈しているアフリカと、資源の輸入が生命線である日本の戦略について、丁寧に論述してくれている。先日も、前線で本当に、頑張ってくれた海上保安庁職員から帰国報告を聞いた。


12日、虎ノ門ヒルズの建設現場と首都高速都心環状線の築地川区間(新富町)を視察しました。いずれも今、都市再生で注目を集めているところです。

虎ノ門ヒルズ.JPG
虎ノ門ヒルズは、新橋から虎ノ門に至るいわゆるマッカーサー道路(環状2号線)の整備に合わせ、道路の真上に52階建てのビルを一体的に建設しています。この道路は、昭和21年の都市計画決定以来なかなか事業化が進まない状況でしたが、これで道路もまちも一変します。最新の機能と耐震性を兼ね備えたオフィス、ホテル、住宅、そして道路ができれば、東京の国際競争力の向上に大きく寄与します。

まちが変わる。東京都心に躍動感が生まれます。

築地川.JPG
また、首都高速道路は老朽化が進み、大規模修繕・大規模更新が課題となっており、7900億円~9100億円かかると試算されています。特に、築地川区間は、東京オリンピックに開通を間に合わせる必要があったため、用地買収がいらない川を干上がらせて建設されました。このため、元の川の形が残って急カーブが多い、道路の真ん中に橋脚が残っている、アップダウンもあるなど、老朽化に加えて安全性の観点からも更新が必要です。

この半地下部分にフタをしてその上部を「空中権」として周辺のビルに売却すれば、首都高速の老朽化対策、更新費用に充てることができます。周辺のビルも建て替えが容易になり、まちの景色が変わります。

このように、首都高速の老朽化対策と空中権を使った都市再生を一緒に行うのは、非常に有効な仕組みです。できるだけ早く具体化できるよう、頑張ります。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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