
「呑気と見える人々も、心の底を叩いて見ると、どこか悲しい音がする(漱石)」「才能も智恵も努力も業績も身持ちも忠誠も、すべて引っくるめたところで、ただ可愛気があるという奴には叶わない(谷沢永一)」「お金がすべてじゃないわ。持っている人はそう言うんです。(ジャイアンツのエリザベス・テイラーとジェームス・ディーンの会話)」「そら原作者の眼から見たら、ずいぶん不満もあるやろ、せやけど天狗ワテがつくった。これをいうたらあかん、しかし小説が売れた理由の一つはワテや、ワテの立ちまわりや(竹中労が書いた嵐寛寿郎の言葉)」「修学旅行を見送る私に『ごめんな』とうつむいた母さん、あの時、僕平気だったんだよ(日本一短い手紙)」「僕が母のことを考えている時間よりも、母が僕のことを考えている時間の方がきっと長いと思う(NTT)」「うますぎると評判ですが 私もそう思います(井伏鱒二が車谷弘の句集に対する葉書)」「『いいお酒ですな』と人に感心されるようなのみかたが、あんがい静かな絶望の表現であったりする(高橋和巳)」「美空ひばりには神様がついているけど、加藤和枝には神様がついていない(ひばり)」「東大出には、赤門とバカモンがある(山藤章二)」「私が田中角栄だ。小学校高等科卒である(中略)。できることはやる。できないことはやらない。しかしすべての責任は、この田中角栄が負う。以上。(田中蔵相就任の大蔵省演説)」――全てに生身のその人が出ている。