20120629震える牛.jpg迷宮入りの「中野駅前居酒屋強盗殺人事件」を、継続捜査班田川警部補が、解決する。「地どり」「鑑取り」捜査の鬼。細かい聞き込み、小さなことを見逃さず、どんどん追い詰めていく。

背後には「震える牛(BSE)」「郊外型SCによる地域の崩壊」「消費者を欺く企業」「命の安全よりも経済効率に走りがちな社会」「安価な加工食品」「権力の弾圧」、そして「一代でたたきあげた企業を後継する重圧」――。

法治国家・日本のなかで人間の行動を抑止する力とは何か、を考えさせる作品。


20120625極北ラプソディ.jpg極北市が財政破綻し、世良が極北市民病院医院長に就任。赤字建て直しのためには、悪評が立とうが、鬼にも、冷たくもならなければならない。救急もやらない。医療への甘え、病んだ社会にメスを入れようと役所やメディアと徹底して戦う世良。

そして一方、極北市からの救急も全て受け、ドクターヘリも駆使して徹底して一人を救い上げることにかける速水。一見、対極に立つように見えるが、二人に共通する激しい絶望、不器用をよしとする孤独、正義感と喧嘩と使命の自覚のなかに潜む驕り。

さすが海堂尊氏。財政破綻、医療の崩壊、ドクターヘリ、救急医療の修羅場、過疎地医療などを担う人々の使命や気概(気負いも)をダイナミックに描いている。

とにかくギリギリの社会と医療と救命の最前線を緊迫感のなかで描くリアリズムと、世良、速水、孤島の診療所で巌として働く久世医師の3人の屹立した姿勢が、迫ってくる。


20120622日本と世界の「流れ」を読む経済学.jpg昨年から今年初めにかけての連載から55の視点としてまとめたもの。題名にあるように「流れ」を語っているのが特徴といえる。

「素人は為替レートを名目で見る。プロは実質レートで見る」「円高のときこそ、海外投資など円高時代にしかできないことをやっておくべきだ」「LCCによって日本の空の活性化を」「成田は仁川に勝るハブ空港になれる」「中所得国の罠」「チリの鉱山で働く日本人から学んだこと  海外投資の中身が変わりつつある」「貿易収支が赤字 より意識すべきは経常収支」――。

日本に必要なこととして、大胆な社会保障改革、消費税上げ、TPP参加、専業農家に支援を集中する農業政策、若者の雇用を確保する雇用制度改革、技術革新を促す研究開発投資などを繰り返し語っているが、要は「政治家が実行できるかどうかだ」という。


「盲導犬を待っている人のため、被災された視覚に障がいのある人のために――決して歩みを止めない」――各団体の総会が行われている今、日本盲導犬協会の会合が20日、都内で行われ、顧問として私も参加しました。

視覚障がい者の歩行などを助ける盲導犬、肢体不自由者を手助けする介助犬、聴覚障がい者を助ける聴導犬は、補助犬といわれます。この補助犬を法的に位置づけ、障がい者の自立や社会参加を促し、交通機関や多くの人が出入りする飲食店などで補助犬を受け入れるよう義務付けた「身体障害者補助犬法」が成立して10年。私が公明党代表であった2007年11月には、補助犬を民間職場に同伴できるようにした法改正も行われてきました。

ずっとこのことをリードしてきたのは公明党です。障がい者には大きな力になるものですが、補助犬の飼育及び訓練の現場の努力は大変なものがあります。補助犬に対する全国一律の助成制度の確立や、一段と理解を広げる啓発活動が不可欠です。

頑張らなければと、強く思っています。


20120619地震の予知はできますか.jpg東日本大震災のような大きな地殻変動の発生を、なぜとらえられなかったのか。前兆がなぜとらえられなかったのか。震災の予知に対して、国をあげての取り組みを強化すべきではないか。

木村さんはずっと、この地震予知に独自の方法で迫り、主張してきた。木村メソッドの地震予知だ。

「地震空白域」「地震の目」「地震の発生メカニズム」だ。そして「地震と火山の噴火は密接に関係している」と言っている。本書でも「最も警戒すべきは首都圏北東部、つまり千葉県北東部とその沖合いで、2012±3年(M6.7)」と指摘する。そして「地震の目がないから東海地震はこない」「東海地震がこなければこないほど、プレートのプレッシャーがマグマ溜まりにかかるから、富士山が噴火する可能性は高い」という。

地震の観測にとどまる地震調査研究ではなく、予知・予測に挑戦せよ。地震学も火山学も地質学も、全てを総動員して地震の予知に挑戦せよという木村さんの叫びは大事だ。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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