太田あきひろです。
長い冷たい冬が終わり、春本番となります。

今、街を歩き、企業とも懇談して、必ず問題として出るのは「ガソリンの高騰」「電気料金の値上げ(東電)」――です。「円高・デフレ」「電力不足」「政治の混乱」がこれまでの悲鳴の3点でしたが、今、急速に「ガソリンの高騰」「電気料金の値上げ」が加わっています。

介護施設を訪れると、「介護報酬が4月から事実上、引き下げられる。それに電気料金が上がる。送迎があるので油の高騰も痛い。弱小の施設は、深刻で、閉鎖も考えざるを得ないところも出るぐらい厳しい」と悲鳴をあげています。鍍金や鋳物業界、クリーニング業界......。不安と悲鳴です。

ガソリン・油――。「景気の下落要因になる」「中小企業の目配りを」「業種ごとの詳細な緊急調査と対応を」「東日本大震災の被災地の生活弱者や漁業や建設業への支援を」――26日、私が資源エネルギー庁長官に強く要請したことです。

2007年、福田政権の時も異常な原油高騰がありました。私も随分現場を回り、「福祉灯油」や漁業の燃油の特別支援、中小企業への支援を行ないました。今の民主党政権は、何もやらない。動きすらない。緊急対策の集中討議も見えない。討議といえば"消費税上げ"のガタガタ論議。"民の憂い"に対する急所がはずれています。

電気料金の値上げ――。大口の企業といってもかなり関係しています。民主党政権は困っている中小企業にも、ましてや介護施設などに心は及んでいない。一昨日、関東地方知事会が東電と交渉。企業向け電気料金引き上げの中止を求める要望書を、首相、経産相、東電に提出しました。出席した知事に直接聞くと、「具体的に一寸聞くとシドロ、モドロ」「あきれたが、4月1日までにあと3日しかない」と怒りと焦りを語っていました。3カ月後には一般家庭の10%値上げがスケジュールに入っています。現場は本当に不安のなかにあります。

政府は何をしているか、分からない。東電に対して公的資金を入れるというのに、直面している問題に取り組んでいるような姿勢もない。中小企業には、丁寧に具体的に説明をしないといけない――これまでの経験からとくにそう思います。現場の悩み、不安を放置する"鈍感政治"を変えないと、政治は国民から見放されます。


20120327困ってるひと_HP.jpgのサムネイル画像のサムネイル画像上智大学大学院に進学した2008年、自己免疫疾患系の難病を発病した優秀で行動的・活発な大野さん。免疫のシステムが暴走、全身に炎症を起こす。24時間、途切れることなく、痛み、発病、倦怠感、生き検査地獄1年、9か月の入院治療、絶叫、瀕死、死にたい、死ねない。いや生きたいかも......。

今、どうしているだろうと思う。ブログなどを見るが、作家&大学院生とあり、連載などもかかえている。しかし、この本にあるような生の声は伝わってこない。

「なにがあっても、悲観も、楽観もしない。ただ、絶望は、しない」
「生涯崖っぷちの難病患者は"制度の谷間"に落ち込む。福祉から見捨てられた存在だった」
「人間とは、きわめて経験的な生き物だ。......それぞれには、それぞれの苦労と言い分というものがある」
「医学については、スペシャリストでも、今日の複雑かつ急展開な人類の生態系については疎いのではないか。......ひとは誰しも、自分が"主人公"だ」

とにかく痛みが少しでも軽い大野さんの今日をと祈る。


20120327国土と日本人.jpgのサムネイル画像「福祉は天から降ってくるものではなく、外国から与えられるものでもない。日本人自身が、自らのバイタリティーをもって経済を発展させ、その経済力によって築きあげるほかに必要な資金の出所はない」「我々はこの日本の国土を、祖先から受けて、子孫に伝える。鴎外が生まれたままの顔をもって死ぬのは恥だ、といったと同じように、吾々もこの国土を吾々が受け取ったままのものとして子孫に遺すのは、恥じなければならぬ」――。先人の厳たる言葉だ。

本書は、日本が世界に類をみない脆弱国土であることを示す。そして明治以来(いや有史以来も)から戦後復興、経済成長時代に至るまでの国土造りを、具体的に「全総」に携わった経験も含めて俯瞰する。

そして今後のことだ。公共事業のあり方、経済との関連、インフラ・社会資本整備とは何かを説きつつこれからの国土造りに論及する。資料も豊富。世界の中でわが国土を見る眼には哲学があってゆるぎない。心持よいほど明快だ。

政治への怒りやあきれるほどの"公共事業悪玉論"、このまま荒廃させて、わが国はわが世代はいいのかという責任感が一本の筋として通っているが、時には抑制的に表現されていることを、同じ感覚をもっている私には感じられる。国土と日本人――この重大なテーマの第一人者の言に、耳を傾けるべきだ。とくに政治にかかわる者は。


20120323日本を創った男たち.jpgのサムネイル画像はじめにまず"志"ありき、と副題にある。

渋沢栄一、前島密、岩崎弥太郎、安田善次郎、浅野総一郎、大倉喜八郎、田中久重、早矢仕有的、鮎川義介、小林一三、早川徳次、松下幸之助の12人。いずれも、明治、大正、昭和と、まさに日本を創ってきた人々だ。

浅野セメントの浅野総一郎の"九転び十起き"、シャープの早川徳次の悲惨に現れているように艱難辛苦を乗り越え、けっして挫けることなく、新しい挑戦をし続けた人々が、日本を創った。共通するのは人並みはずれた"忍耐力"、そして私欲でなく国の為、社会の為という理念・目的が厳としていること、そしてその真摯な姿勢に共感して助ける力ある仲間のいることだ。

短編であるがゆえに、人物像が鮮明だ。また、ビジネスにモラルを求め、企業に社会性を求める日本の伝統が浮き彫りにされる。北さんが注ぐ眼も温かい。人物にも、この国難に直面している日本という国にも。


20120319森田実の言わねばならぬ名言123選.jpg政治家の劣化がいわれ、倫理的資質の低下、哲学の欠如が指摘される。哲学不在は政治家のみではなく、社会そのものの浅さでもある。メディア社会も選挙制度の問題もある。

孔子、孟子、荀子、そしてソクラテス、プラトン、アリストテレス、そして内村鑑三の「代表的日本人」でも紹介されている西郷隆盛、上杉鷹山、日蓮の言葉など。さらにゲーテ、カーライル、セネカ、シラー、ルソーなどの123の政治に関する格言・名言。
森田実さんが、自らの言として心にとどめ、政治評論活動のなかで、指摘してきたものだ。

「一隅を照らす」「政の興る所は民の心に従うに在り」「上善は水の如し」――など、森田実さんの姿勢自体に感動をおぼえる。

政治家必読の著。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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