上智大学大学院に進学した2008年、自己免疫疾患系の難病を発病した優秀で行動的・活発な大野さん。免疫のシステムが暴走、全身に炎症を起こす。24時間、途切れることなく、痛み、発病、倦怠感、生き検査地獄1年、9か月の入院治療、絶叫、瀕死、死にたい、死ねない。いや生きたいかも......。
今、どうしているだろうと思う。ブログなどを見るが、作家&大学院生とあり、連載などもかかえている。しかし、この本にあるような生の声は伝わってこない。
「なにがあっても、悲観も、楽観もしない。ただ、絶望は、しない」
「生涯崖っぷちの難病患者は"制度の谷間"に落ち込む。福祉から見捨てられた存在だった」
「人間とは、きわめて経験的な生き物だ。......それぞれには、それぞれの苦労と言い分というものがある」
「医学については、スペシャリストでも、今日の複雑かつ急展開な人類の生態系については疎いのではないか。......ひとは誰しも、自分が"主人公"だ」
とにかく痛みが少しでも軽い大野さんの今日をと祈る。