20120615生活保護3兆円の衝撃.jpg生活保護の受給者が昨年11月、205万人に及び、この3年間で40万人増えて、過去最高となった。しかもその支給額3兆3000億円。2009年2月までは、65歳以上の高齢者、病気や精神疾患のある人、母子家庭に限られており、厳しい運用だったが、2009年3月18日の厚労省通達で、「働く世代」を生活保護に受け入れることを実質的に認めた。この通知が転機となったという。働ける世代が、大量に生活保護になだれ込んだ。

転職しようとしても何度も何度もハネられる。就職しても過酷で、自信も喪失する。無気力になる。生活保護を受ける。しかもそこに貧困ビジネスが突け込む。受給者は就労意欲をますますなくす。生活そのものが乱れていく。生活保護から抜け出せない。抜け出そうとしない。

大阪市と貧困ビジネス業の戦いが生々しく語られる。第二のセーフティーネットの柱、「訓練・生活支援給付」が就労に結びつかない。もう一つの柱、「総合支援賃金貸付」は返済できなくなる。回収は進まない。加えてこうしたこと自体が、貧困ビジネス業者の新たな標的になる。

現実には貧困層の3分の1しか受給していない生活保護。自立するインセンティブをより制度の中に抜本的に組み入れなければならない(鈴木旦氏は「保護を打ち切る期限を設ける」「ある種の蓄財を認め凍結預金口座をつくる」「最低賃金の引き下げで職を確保する」などと述べる)。矛盾は誰しも指摘するが、現場の実態を知らなければ、対応はできないことは確かだ。


20120612平蔵の首.jpg池波正太郎没後22年。逢坂剛氏が火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵をよみがえらせる力作。

腕っぷしのめっぽう強い鬼平ではあるが、その度胸・度量の大きさとともに、盗っ人を部下に加え密偵として使う人遣いの妙もすごい。

池波正太郎さんの「長谷川平蔵」を小説として書くなんてことは、普通できない。人前で顔をさらすのを避け、深編笠の平蔵の顔を見た者はいない。そんな「平蔵の顔」「平蔵の首」はとくにいい。


20120608法と経済で読み解く雇用の世界.jpg法学者と経済学者が、それぞれの立場からの論理を交え、その協働を通じて雇用の世界のメカニズムを探究する。しかもさまざまな形態の非正社員がふえ、雇用の流動性が顕著な時代での、雇用に対する論理を模索している。きわめて有意義な本。

提起される問題は「解雇規制と内定取消し」「最低賃金と貧困対策」「労働者とは」「情報の非対称性と労働者保護規制」「解雇と試用期間」「労働条件変更」「労働時間」「男女間の賃金・待遇格差」「職業訓練」「障害者雇用」「高齢者雇用」「服務規律」「労働組合」・・・。

身近な物語が各章の冒頭にあり、きわめて現実的・具体的な問題が提起され、法学と経済学から考え方の論理が詰められる。

動く教科書のようで、これほどわかりやすくまとめるには相当の努力があったと感じられる。


20120605老人性うつ.jpg認知症は多くの人の関心をよび、社会問題化しているが、実はうつ病の人がかなり多い。その高齢者うつ病は全国で140万~150万人もいると思われるという。

老人性うつは、気の弱い人がかかる病気などではなく、セレトニンという神経伝達物質が減ることによって起きる「生物的な病気」だ。放っておけば悪化するが、早期に治療すれば短期間で治る。

注目されている認知療法――。
何でも悲観的にとらえてしまう「認知のゆがみ」の修正が必要となる。何でも白か黒か、善か悪かの「オール・オア・ナッシング思考」でなく、何にでもグレーゾーンがあることを認められるように働きかけ、思考を変えてゆく。

年を取ればとるほど、脳の前頭葉が縮んでくる。前頭葉は微妙な感情や感情に基づく高度な判断をするが、それが衰えてきた特徴の一つに、ものごとの「決めつけ」が激しくなることがあるという。

放射能論争、経済論争、人間関係の善悪や裏切り・・・・・・。白と黒との間にグレーゾーンがあるのを認められるようになることを専門的に「認知的に成熟している」と呼ぶ。思考の老化、頭が固くならないように、思考の幅を増すように、我慢しないで自分の欲望に正直であれ、セレトニンを増やす生活習慣(日光を浴びる、リズムある軽い運動)を意識的に取り入れよ――こうしたことを専門的だがわかりやすく語ってくれる。


20120604つれづれ 運動会.JPGこんにちは、太田あきひろです。

6月はじめの土・日、小中学校の運動会、お祭り、各団体の総会、地域でのチャイルド・フェスティバル、さらには消防団の消防操法大会など、多くの行事が行われました。

とくに晴天にも恵まれた小学校の運動会はいずれも盛会で、元気な声が響きました。徒競走は1番をめざして懸命の戦い、騎馬戦の激しい勝負、組体操も見事で、思わず声援・拍手を送りました。学校は地域の要――教育だけでなく、地域の交流や防災においても重要です。司会進行も児童がやり立派でした。開会式の児童代表の言葉や運営もキビキビと本当に良かったです。関係の方々に心より感謝です。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

太田あきひろホームページへ

カテゴリ一覧

最新記事一覧

月別アーカイブ

上へ