
老人性うつは、気の弱い人がかかる病気などではなく、セレトニンという神経伝達物質が減ることによって起きる「生物的な病気」だ。放っておけば悪化するが、早期に治療すれば短期間で治る。
注目されている認知療法――。
何でも悲観的にとらえてしまう「認知のゆがみ」の修正が必要となる。何でも白か黒か、善か悪かの「オール・オア・ナッシング思考」でなく、何にでもグレーゾーンがあることを認められるように働きかけ、思考を変えてゆく。
年を取ればとるほど、脳の前頭葉が縮んでくる。前頭葉は微妙な感情や感情に基づく高度な判断をするが、それが衰えてきた特徴の一つに、ものごとの「決めつけ」が激しくなることがあるという。
放射能論争、経済論争、人間関係の善悪や裏切り・・・・・・。白と黒との間にグレーゾーンがあるのを認められるようになることを専門的に「認知的に成熟している」と呼ぶ。思考の老化、頭が固くならないように、思考の幅を増すように、我慢しないで自分の欲望に正直であれ、セレトニンを増やす生活習慣(日光を浴びる、リズムある軽い運動)を意識的に取り入れよ――こうしたことを専門的だがわかりやすく語ってくれる。