「リーダー篇」「国家と歴史篇」に続く第三弾、民主党政権の始まりから安倍政権誕生までの期間の42本。日本の"決められない政治"、3.11東日本大震災、そしてユーロ危機、モンティ内閣・・・・・・。イタリア(文明と文化の欧州)と日本と古代ローマを踏まえた深き思索とゆるぎなき視点が開示される。
「明治維新が成功したのは、維新の志士たちも反対側にいた勝海舟もイデオロギー不在であったからだと、私は思っている。・・・・・・彼らを動かしたのは、危機意識であった。・・・・・・イデオロギーは人々を分裂させるが、危機意識は団結させる」「(永井陽之助のアメリカでのジョーク『世界に絶対ないものが4つある。アメリカ人の哲学者、イギリス人のクラシック作曲家、ドイツ人のコメディアン、日本人のプレイボーイ』を引いて)日本人は、馬鹿正直でお人よしで世間知らずで、それでも日本人同士ならば充分にやっていけるので、悪知恵を働かせる必要に目覚めないのだろう(他国人となると通用しにくくなる)」「(日本人は)入社試験に限らず、拒絶されるということへの反応が過剰すぎると思える(政治家も、就職も、安定志向の社会も)。・・・・・・どうにかなりますよ」「人間は、不幸なときこそ真価が問われるのだし、予期していなかった事態にどう対処するかに、その人の気概が表われるのだ」「指導者に求められる資質は次の5つである。知力。説得力。肉体上の耐久力。自己制御の能力。持続する意志。ユリウス・カエサルだけが、このすべてを持っていた」「寄って立つ支柱がなければ生きてこられなかった人は、その支柱が倒されても必ず別の支柱を求めるようになる」「権力自体は悪ではないのだ。リーダーを自覚できない人間が権力者であった場合にのみ、権力は悪に変わる(そうしたリーダーを選ぶな)」「衆愚政にだけは向かわないように。一人一人が愚かになった訳ではなく、一人一人が以前より声をあげ始めた結果ではないか。加えて、これら多種多様になること必定の民意を整理し、最優先事項を見きわめ、何ゆえにこれが最優先かを有権者たちへ説得した後に実行するという、冷徹で勇気ある指導者を欠いていたのではないか」・・・・・・。考えること大であった。