minasumasu.jpg「なぜそうなるのか」を意識して、YouTubeに数学動画を連日投稿して人気の著者。「私が数学動画を投稿するようになったのは、40歳を過ぎてからオイラーの公式が理解できたのが嬉しくて・・・・・・」と語る。私も「因数分解すると」「微分すれば」「積分量で言えば」など日常的に使用するが、本書は、「なるほど、そういうことだったのか」とのめり込むほど面白い。

「なぜ三角形の面積は、(底辺) × (高さ) ÷ 2で求められるのか?」「なぜ錐の体積は3分の1をかけるのか?」から始まる。「細かく分ける」という考え方だ。「なぜ球の面積は(4/3)πr³なのか」「なぜ円の面積はπ²なのか?」・・・・・・。微分も積分も薄く切って並べる、積み重ねる考え方が示される。

「なぜ分数の割り算はひっくり返してかけるのか」・・・・・・。「0乗するとなぜ1になるのか? 」は「a³ = a×a×a a² = a×a a¹ = a そこでa⁰ = a÷a = 1」となるわけだ。それでは「0!はなぜ1なのか」・・・・・・

「マイナス×マイナスはなぜプラスになるのか?」――「複素数の掛け算は、それぞれの複素数の絶対値をかけた値。それぞれの偏角は足しているということになる」・・・・・・

「なぜ二進法が使われるのか?」・・・・・・。そもそも十進法が使われているのは、人間の指が10本だからという生物学的なもので、数学的な合理性はないと言う。つまり「十進法というのは言わばローカル言語のようなもの。コンピュータの世界のニ進法は数学的に最も合理的だから」と言い、ニ進法が合理的な理由を説明している(ONOFFだけでいいので便利)(桁数が多いのが不便となるが、コンピュータはいくら多くても問題ない)

「ふしぎな数[e](ネイピア数)」――。不思議な数「72の法則」は本当に便利な近似値。72を年利で割れば2倍になるまでの年数。年数で割れば2倍になるのが必要な年利がパッと出てくる。年利5%なら、72 ÷ 5 = 14.4年で2倍。GDPが年3%増なら72 ÷ 3 = 24年で2倍になるわけだ。

「直感に反する確率」――。「平均を平均してはいけない」。2地点を往復するのに行きは時速4キロ、帰りは時速6キロなら平均は「時速5キロ」ではない。速さは、距離/時間で、分母が違う。「直感は裏切られる」のだ。「ギャンブラーの誤謬」もそうで、パチンコでも「そろそろ当たるだろう」とはならない。常に初期状況からスタートだ。

「素数の神秘」――。素数とは「1と自分自身でしか割り切ることができない2以上の自然数(1を含めないのは素因数分解の一意性を担保するため)」。素数は無限にあることは証明されているが、現時点で人類が知っている素数は有限。「連続する3つの奇数が全て素数となるのは357だけであることを証明せよ(早稲田大学入試)」「9991を素因数分解せよ(慶應義塾女子高校入試問題)」など面白いし、よく入試に出るようだ。ちなみに動画再生回数では「伝説の東大入試問題 π3.05を証明せよ」の240万回が1位だと言う。

見ているのは女性より圧倒的に男性、年齢で言うと若者より高齢者、65歳以上が51.8%だと言う。なぜだろう? 「公式を使い、この解き方をすれば答えが出るという『やり方』だけを説明する動画は高校生に喜ばれる」のもわかるが・・・・・・。「テクニック」では必ず行き詰まるし、何よりも面白くないはずだが・・・・・・

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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