1677466191050.jpg 1677466176520.jpg

統一地方選前半戦の告示(3月31日)まで約1ヵ月と迫るなか、大事な25、26日の土日――。

25日は、東京23区の公明党OB議員が集い、大光会総会を行いました。経験を生かし、地域で活躍している元気な報告があり、4月の地方選勝利への戦いを誓い合いました。

26日、愛知県豊橋市に行き、時局講演会や街頭演説、地域有力者懇談会などを行いました。時局講演会には公明党の伊藤渉衆議院議員、おおくぼ真一県議選予定候補(新人)が出席、大村秀章愛知県知事にも応援に駆けつけていただきました。おおくぼ予定候補は、「私は大阪芸大出身。文化・芸術・スポーツの推進で、豊橋の魅力を全国に発信したい」と力強く訴えました。私は「豊橋は気候にも恵まれ、農業・工業・商業のバランスが良く、三河港もあり、発展のポテンシャルは極めて高い。おおくぼさんは、力強く仕事をする人だ」などと訴えました。街頭演説も行いましたが、風がものすごく強く、演台から吹き飛ばされそうになりましたが、多くの方に聞いていただき、本当にありがたいな、と思いました。感謝です。


kiminokuizu.jpg面白い。全ての人が一気読みだろう。テレビを席巻するクイズ番組全盛の時代。物知り有名人の競い合いや、東大王に選ばれた者の驚嘆すべき知識量の裏に何があるのか――。引き込まれていく。

優勝すれば1,000万円というクイズ番組「Q1グランプリ」の決勝に進出した三島玲央の対戦相手となったのは、東大医学部4年、圧倒的な知識量、データベースから正確な答えを出してくる知的な超人・本庄絆だった。互いが応酬するなか最後の問題、本庄絆はまだ一文字も問題が読まれないうちにボタンを押して正解、優勝をかっさらう。何が起きたのか。「なぜ本庄絆はQ1グランプリの最終問題において、一文字も読まれていないクイズに正当できたのか?」――。三島は彼について徹底的に調べあげ、真相の解明に乗り出す。

クイズプレイヤーは、知識量だけで勝負するのではないという。「早押しボタンを押した瞬間、クイズプレイヤーはまだ正解にたどりついていない。『わかりそう』という直感だけが心の中にある。必死に頭を回転させ答えを探し回って回答する」という。圧倒的な知識量だけではクイズプレイヤーとしては失格だ。どこで早押しボタンを押すか。「クイズプレイヤーの基本的な戦術は、『確定ポイント』でボタンを押して正答を口にする」「問題が読まれるうちに、膨大な知識量から生まれる選択肢が絞り込まれ、これだという確定ポイントの瞬間にボタンを押す」「加えて『読ませ押し』を使う。主催者が問題文を読むのを中断するまでのわずかな時間を使った技術だ。まだ答えが分からない状態でボタンを押し、その後に主催者が勢い余って発音してしまう声を聞いて答えを確定させる」という。0,何秒の間に出題者のかすかな口の動き、息遣いを察知して回答するというのだから凄まじい。「『クイズの強さ』とは、様々な数列の可能性を見つけられる知識と、リスクを計算しながらベストのタイミングで押す技量と、計算の速さと正確さ、それらの総合値だ」と言うのだ。

「やらせなのかどうか」「なぜ1文字も問題が読まれないうちにボタンが押され正答できたのか」――。三島は本庄絆だけでなく、出題者側、総合演出の坂田泰彦をも徹底調査する。

「人生はクイズだ」――。確かに人生は選択と決断の連続であり、しかも世の中のほとんどのクイズには答えがない。そして、クイズプレイヤーにも、「クイズとは何か」の思考と人生観の差異があることを暴き出す。とにかく面白い小説。


shirogane.jpg関ヶ原前後の石見銀山。貧しさのあまり故郷から逃亡した父母と別れ、1人さまよっていた少女ウメは、天才山師・喜兵衛に拾われる。ウメは夜目がきき、間歩と呼ばれる銀山の穴の闇も怖くはなかった。岩肌を削る銀掘、その石を袋に詰める入手、ズリを運び出す柄山負・・・・・・。ウメは女ながら入手となるが、夜目がきき躓くこともないウメに皆驚く。喜兵衛に愛されたウメは銀山の知識と秘められた鉱脈のありかを授けられるまでになる。やがて徳川の支配強化により、喜兵衛は追われるように去る。過酷な銀山の世界で生き抜く女の人生を、じっくり描いている。

「黒い血を吐くものは一人、ニ人と増えていった。ウメは長屋に響くうめき声や咳に耳を塞ぐようにして暮らした」「冷たくなった隼人の指先を擦っても擦っても温まらない時がある。間歩の毒が男たちの躰を蝕んでいくのが恐ろしかった」「田も耕さん、商いもせん。銀の山に生まれて間歩に入らんわけにはいかん。あんたもじゃろう、今更、男に抱かれずに生きる術があるんか」「鬼娘と呼ばれていた孤独なウメと、転んでも泣かずにウメの後をついて歩いていた小さな龍。あの頃はまだ喜兵衛がいた。隼人もいた。おとよも、岩爺も・・・・・・」。ヒューヒューと悲鳴のように響く長屋での咳、そして荒涼たる銀山の風。男は30過ぎには死に、女はまた結婚して子供を産む。凄まじい実態が切々と描かれる。

「易々と生きられる場所などない。ささやかな安寧を見つけて一日一日生き繋いでいくしかない」「足掻きましょう、無為に思えても。どこにも逃げられはしないんです」・・・・・・。時代とはいえ重く苦しい。ちなみに、先日読んだ本によると、マスクはこの石見銀山から始まったという。


2040.jpg2025年は、団塊の世代がすべて75歳以上になる。2040年問題は、高齢者の人口の伸びは落ち着くが、現役世代(担い手)が急減する。2025年から2040年までに「担い手」は約1,000万人減少する。故に社会保障・働き方改革について戦略的に対応しなければならないということだ。本書を読むと、2040年の問題を、社会保障の問題として捉える事は大きな間違いである。社会自体が激変し、「経済成長」「中国、インドの台頭を始めとする世界の激変の中での日本の地位」「デジタル社会の進展」「自動運転やEV」「エネルギー問題」を見据えて、「今やるべきことをやらないと大変なことになる」ことを痛感する。「政治や行政は、23年先の事しか考えていない」と言っているが、どうしても部分的、対応型で、甘い見通しに立っている。現実を直視し、未来を正しく理解し、変化に備えられるかどうか。正念場だと思う。

「甘い予想の2%の実質成長は難しい。労働力人口は減少、マイナス0.71.0%程度。これを女性と高齢者の労働力率の向上で、マイナス0.5%程度に抑えることができるだろう。資本ストックの増加はほぼゼロ。そこで技術進歩、特に労働増大的技術進歩が経済成長を決める。特にデジタル化の進展。これができれば実質1%程度の成長が達成できる(1%成長できるかどうかが日本の未来を決める)(経済成長しないと社会保障は支えられない)」と言う。

「中国やインドと日本の所得格差が縮まる。中国の高額所得者は日本よりずっと多くなる。安売り戦略では日本の経済力は低下するばかり。日本で設計し東南アジアで生産して中国で販売する形態が必要。必要なのは日本の技術水準を高めること」。「増大する医療・介護需要――社会保障の負担を一定にするには給付を4分の1削減するか、4割の負担増の必要がある(全世代型社会保障というより、本当に重要なのは負担の増加や給付の引き下げだ)」「年金支給開始年齢が70歳になれば、生活保護受給者が激増する」「資産所得課税の強化が必要」「医療・福祉が最大の産業となる20年後の姿は異常。医療・介護需要の増大で経済は成長しないし維持できない(医療・福祉分野で必要な執行者は2040年で約1,000万人)」「医療技術は大きく進歩して不治の病も克服できる。医療はメタバースが重要な役割を果たす」と言う。

「メタバースがもたらす巨大な可能性――その中核技術は、テレプレゼンス、デジタルツイン、ブロックチェーンの3つ」「メタバース=VRではない」「自動車の試乗をメタバースで。メタバースを広告、勧誘、商品選択に使う。書店も作るし、『バーチャル大丸・松坂屋』も」「マイナンバーカードの取得・更新など官公庁の窓口業務をメタバースで」「既に稼働しているDAO

「自動運転とEVで生活も社会も大きく変わる(大量失業、物流が変わる、店舗がいらなくなる、車は所有するものではなく利用するものに」。「再生可能エネルギーで脱炭素を実現できるか」「核融合発電、量子コンピューターの未来」「量子コンピュータと量子暗号、インターネットの通信は暗号で守られている、仮想通貨は電子署名のために『公開鍵暗号』を使っている」「量子コンピュータが実用化すれば、現在インターネットで使われている暗号が破られてしまうかもしれない」。「未来に向けて人材育成(デジタル人材)が急務」「大学改革が不可欠」

日本は、先進国の座から滑り落ちようとしている。人口減少・少子高齢社会、AI ・デジタル社会、メタバース、自動運転とEV、エネルギー問題、私はそれに加えて頻発する大災害があると思うが、総合的かつ時間軸をもった戦略に踏み出すダッシュの時だ。野口さんは、「我々はまだ臨界点を越えてはいないと信じている。まだ修復可能な段階にあると思う」「一刻も早く日本の再建に全力を」と言う。


kaminote.jpg神の手をもつ福島孝徳さん。24時間患者さんのために闘い続ける世界一の脳外科医。すごいの一語に尽きる。世界を飛び回り、脳の鍵穴手術を年間600件。この本が出たのは十数年前、その時読んで読書録をそのままにしてきたが、今年の2月に、フジテレビの「アンビリバボー」に紹介されていて驚いた。80歳になった福島さんは、実に全く同じ1年に600件の手術を世界を飛び回って行っているというのだ。志も変わらない。患者さんを救う気迫も変わらない。超難手術に挑み続ける姿勢も変わらない。革新的な手術方法の開発もやり続ける。しかも1人の手術を終えるたびに、1ページの反省点を書いているというのだ。技術だけでなく全人格にわたるスーパードクターだ。

本書では、「脳外科は学問や研究ではなく、目の前の患者さんを救うことです。全力を尽くして患者さんを助けるのが、私の人生であり、ミッション(使命)です」「モットーは、手術一発全治」「私の手術は、赤血球の出ない手術。それぐらいクリーンです」「進歩は現状を否定することから始まる。現状に満足するのではなく、常にもっといい方法がないかを考える」と言う。

そして「すべては患者さんのために」「患者さんに感謝される医者になりなさい。患者さんに尽くしなさい」「患者さんからの感謝の声が、私のエネルギー、原動力」と言っている。

難しい鍵穴手術――とにかく速い、動きがなめらかでムダがない。そして美しい――それは、確実な基礎と膨大な経験の蓄積による。

手術して感謝された米大富豪から得た2億円を、ポンと若手養成の基金に。

医療最前線が戦場なら、大学医学部はペンタゴン。作戦本部の安全な場所にいたのでは、本物の戦いはできないという。現場で体で覚えるしかないわけだ。そして医療費、施設をと政治に叫ぶ。受け止めたい。

  • 1  2  3  4

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

太田あきひろホームページへ

カテゴリ一覧

最新記事一覧

月別アーカイブ

上へ