政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.203 首都直下地震は「火災」「パニック」の対策重要/「自分ごと」としての備えと行動を!

2026年3月25日

東日本大震災①.JPG東日本大震災から15年、阪神大震災から31年、能登半島地震から2年になる。昨年も8月の日向灘の地震、12月の青森県東方沖の地震などが発生、被害が出た。「安全・安心の勢いのある国づくり」を私はずっと掲げて政治活動をしてきたが、「安全」は全ての政治・経済活動の基礎であり、「防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化」は、私が国交大臣の時に中心課題とした取り組みだ。防災庁も今年、立ち上がる予定となっている。

昨年12月、政府の中央防災会議の首都直下地震対策検討ワーキンググループが報告書を取りまとめた。10年ぶりの被害想定の見直しだ。最悪のケースとして、死者数が約1.8万人(10年前より約0.5万人減)、全壊・焼失棟数が約40万棟(同約21万棟減)、避難者数約480万人(同約240万人減)、経済的被害約83兆円(同13兆円減)などとなっている。都心南部直下地震(M7.3)で、冬の夕方、風速8m/sという悪条件下のシミュレーションだ。建物の耐震化等の諸対策によって被害は減少しているが、死者半減の目標には届いていない。影響を受ける東京圏で生活しているのは約3700万人いるが、政府はこの報告書に基づき、首都直下地震発生時に「自らの周りで何が起きるかを知り、備えるべきことを確認し、『自分ごと』として捉え、自ら進んで行動しよう」と呼びかけている。まさに自分も企業・団体も地域も「自分ごと」として今こそ行動することが大事だ。

首都直下地震は「火災」と「パニック」の対策が特に重要だと思う。とくに「火災」――。死者数と全壊・焼失棟数の約7割は火災によるものだ。火災を発生させないためには、住家の耐震化や感震ブレーカーの設置と、初期消火の成功率向上が特に重要となる。国の試算によると、仮に家庭に感震ブレーカーが設置されると、焼失棟数が7割以上減少するという。特に木造住宅密集市街地への普及が急務であり、その認知度向上のための普及啓発が必要だ。初期消火については、地域の消防団や自主防災組織の体制維持・向上や住民による訓練の実施などが不可欠で、地域コミュニティーの役割は大きい。自助、公助、共助の再構築に加えて、私は近所(近助)が大事だと訴えている。

NO.202 「物価を上回る賃金上昇」を今こそ!/防災・減災、人口減少対策に全力を

2026年3月 5日

衆院選の圧倒的勝利を受けて第二次高市政権がスタートした。「強い日本」「強い経済」を掲げ、「責任ある積極財政」を前面に出す。また安全保障の強化もその特徴だ。施政方針演説でも、「成長」と「安全保障」を繰り返し強調し、「強い経済」に向けて17分野での成長を後押しする。難しいカジ取りになるが、熟議に心懸け、結果を出すことを望みたい。あくまで「政治は結果」である。

「強い経済」「成長」戦略は大事だが、それは「賃上げをもたらす成長戦略」に結実することが重要だ。日本は世界に類例のない長期にわたるゆるやかなデフレに沈んできた。しかし今、「賃金は上がらないものだ」「物価は上がらないものだ」「金利は上がらないものだ」という3つのノルムを脱し、円安等も影響して物価高騰に苦しんでいるものの、賃金は3年連続で上がるようになった。このインフレが、供給不足のコストプッシュであることを考えれば、AI、半導体、健康医療、造船などの各分野への成長投資、人への投資が重要だ。そして、最も庶民が苦しむ物価高騰に対し、円安が物価高となり、その物価高が経済成長の重しとなっていることを考えれば、今こそ、過度な円安を是正し、「物価を上回る賃上げ」の実現をめざすことが「強い経済」の為には必要だ。そのためにも人手不足に悩み、大企業のようには賃金が上げられない中小企業支援に力を入れてほしい。「物価を上回る賃金上昇」への成長戦略を総動員することを求めたい。

笹子トンネル視察.jpg

私は「安全・安心の勢いのある国づくり」をめざしてきた。先日の施政方針演説では、「安全」と「安心」の比重が低いのは大変気がかりだ。まず「安全な日本」「防災・減災・国土強靭化」だ。今年は、あの東日本大震災から15年になる。首都直下地震、南海トラフ地震ばかりでなく、熊本や能登半島を見ても地震への備えは急務だ。また気象変動のなか、雨の降り方は激甚化・集中化・広域化している。「流域治水」として流域全体の安全への備えを行うこと、洪水の「タイムライン」「マイタイムライン」を作り備えることなど、着実に進めてきてはいるが、その予測を超える気象変動が大変懸念される。防災・減災とともに、昨年の埼玉県八潮市の県道路陥没事故を見ても、道路・橋梁・上下水道等は50年経過をしたものも多く、老朽化対策が不可欠だ。建設関係の現場の人手不足がますます深刻化することを考えると、今こそインフラ整備への前倒し積極財政が必要であるし、現場の職人さん等の賃上げが不可欠だ。これは建設に止まらず、医療・介護など全てのエッセンシャルワーカーの処遇改善、賃上げが求められている。現場の力が日本の力だ。

NO.201 小中不登校35万人と過去最高/いじめも含め早期発見、早期対応を

2025年12月 5日

不登校児童生徒数.jpg「小中学生の不登校35万人、いじめ76万人でいずれも過去最高」――。文部科学省が、1029日に発表した「問題行動・不登校調査」の結果だ。不登校は、病気や経済的理由を除いて、年30日以上登校していない状況を指す。いじめは当事者が「心身の苦痛」を感じればいじめと定義される件数で、数も多くなっている。一方、生命や心身への被害などを含む「重大事態」は、1405件となっており、これも過去最多だ。少子化が急速に進んでいるなかで、不登校やいじめが増加していることに注視しなければならない。家庭・地域・友人との人間関係が希薄化する今の社会、さらにデジタル化が進み情報洪水、バーチャルが加速化する今の社会――。それは「教育」という観点から見れば、なかなか人間教育が難しい環境だといえる。その教育の中心拠点となっている学校教育に、国民あげての支援が不可欠となっている。

2024年度の小中学生の不登校は353970人で過去最多となった。内訳は小学生137700(前年度比5.6%増)、中学生は216266(0.1%増)となっており、小中学生全体の3.9%を占めている。クラスで1人いることになり、憂慮すべき事態と言える。12年連続の増加で、この10年で急増、コロナ禍もあって、5年前から2倍近くなっている。ただ2024年度で注目すべきは、急増の度合が減ったというデータとなっている点だ。 2022年度が前年度比22.1%増、2023年度が15.9%増であったのが、2024年度は2.2%となり、前年度から低下した。新規不登校児童生徒数も不登校継続率も前年度から低下している。国が進めてきた「相談体制の拡充」「居場所づくり」など防止の取り組みが奏功していると見るならば、その対策の手の更なる拡充・強化が求められる。

いじめの認知件数.jpg

なぜ不登校になるのか。調査によると「学校生活にやる気が出ない30.1%」「生活リズムの不調25%」「不安・抑うつ24.3%」「学業の不信や頻繁な宿題15.6%」「友人関係の問題(いじめを除く)13.2%」「親子関係の問題12.6%」などが上げられている。かつては「やる気が出ない」「生活リズムの不調」などは学校に行かない理由にならないと思われがちだが、コロナ禍等を経た社会・教育の意識変化がある。それは「無理に学校に行かなくてもよい」という考え方が広がっていることだという。 2017年施行の「教育機会確保法」で、フリースクールなど学校以外での学びの場が社会全体に浸透したことや、コロナ禍での一斉休校などで保護者や児童生徒の登校に対する意識の変化が加速されたようだ。

NO.200 「未来に責任」「信頼の政治」の確立を/「中道」は解決への知恵のダイナミズム

2025年11月 5日

「決断と前進」を掲げる高市政権がスタートした。「強い経済」「責任ある積極財政」「社会保障改革」「安保3文書の前倒し改定」「外国人との秩序ある共生社会」など多くの柱を示している。物価高騰対策など目前の課題に取り組むのは当然だが、ウクライナ戦争やトランプ関税等に顕著な世界の構造変化、人口減少・少子高齢社会、AI・デジタル社会の急進展、気象変動・災害の激甚化、さらに「デフレからインフレへ」「人手余りから人手不足」などの構造変化を直視した中長期的視野に立った政策実現が今の日本には重要だ。ポピュリズムにSNSが加わる「デジタル・ポピュリズム」が席捲する社会であるだけに、威勢の良さではない、「未来に責任」「熟議の政治」を肝に銘じてほしい。

「信なくば立たず」――。いかなる政策を実現しようとしても、国民の「政治への信頼」「政党・政治家への信頼」が欠かせない。自民党の「政治とカネ」の問題は、政治資金規正法などの個別的問題だけではなく、「政治への信頼」をどう回復するのかの問題だ。199910月、自公政権が誕生した。「政治の安定と改革のリーダーシップ」「右傾化・金権へのブレーキ、改革へのアクセル」を公明党は掲げて、直面する政治課題に取り組んできた。連立の維持が「政治の安定」につながると確信し、「責任の共有」「信頼関係の構築」に日々努めてきた。

自公連立政権といっても、党が違う以上、その主張も違う面がある。自民党は伝統的に経済政策も安全保障も全体から見る「マクロの目線」を重視する。一方、公明党は「大衆とともに」との党是の下で、国民一人一人の生活に対する「現場の目線」を重視してきた。この目線の違い、政策的な距離があったからこそ、政権の幅が広がり、状況の変化に柔軟に対応する力となった。日本の政治が「安定」してきたのは、自公両党に違いがあるからこそ、激しい討議が行われ、信頼のなか解を見出してきたからだと思う。

昨年からの衆院選と参院選で衆参ともに自公過半数割れという結果を真摯に受け止め、公明党は「人間主義に立脚した良識ある中道改革の党」として、「国民の政治に対する信頼回復、対立を超えた責任ある政治への役割を果たす」として再出発した。「クリーンな政治」「平和、教育、福祉、環境の党」を磨いていく。「庶民の側に立つ政治」「弱者にやさしい政治」「現場を走る政治」が今こそ大切だと思う。

結党大会③.jpg

NO.199 多文化共生社会への態勢強化せよ/外国人の就労、受入れ環境の改善を!

2025年10月 7日

日本語学校.jpg

日本における在留外国人数が増加している。訪日外国人旅行者数は、今年、ついに4000万人、経済効果も9兆円を超える見込みとなっている。一方、オーバーツーリズム、違法民泊での問題が顕在化している。外国人労働者も日本の急激な「人手不足」「エッセンシャルワーカー不足」を反映して、コロナ禍後は復調、増加している。技能実習生が毎年約7,0008,000人も失踪しているという深刻な問題も、新しく始まる「育成就労制度」などによって受入れ体制の充実が図られようとしている。今夏の参議院選を通じて「外国人は出ていけ」「外国人の絡む事件や事故、犯罪が多い」という声が噴出したが、総合的に現実を見すえた「多文化共生社会」を築いていく態勢を整える重要な時を迎えている。

こうした観点に立って、7月15日、政府は「外国人との秩序ある共生社会推進室」を内閣官房に設置した。出入国在留管理庁、重要土地を守る内閣府、外国人労働者を取り扱う国土交通省、厚生労働省、農水省など、更に観光庁や外務省など全ての官庁を集めた外国人施策の司令塔となる事務局組織だ。次の時代に向けてしっかりした態勢となることを期待したい。

在留外国人構成比.jpg在留外国人は2024年末現在376.8万人(特別永住者27.4万人を含む)となっている。国籍・地域別では中国87.3万人、ベトナム63.4万人、韓国40.9万人、フィリピン34.1万人、ネパール23.3万人、ブラジル21.1万人、インドネシア19.9万人、ミャンマー13.4万人、台湾7.0万人、米国6. 6万人となっている。在留資格別に見ると、永住者(永住許可者)91.8万人技能実習45.6万人技術・人文知識・国際業務(大学卒で来日、働いている人)が41.8万人④留学生40.2万人、⑤家族滞在(③の家族) 30.5万人⑥特定技能28.4万人⑦定住者22.3万人⑧日本人の配偶者等15万人――などとなっている。

推移を見ると、コロナ前の2019年末は293.3万人、2023年末は341.0万人。昨年1年で35.8万人増えている。今年は400万人を超えることが想定される。欧米で移民と格差が重大問題となり、右派ポピュリズムの台頭、トランプ現象の根源と指摘されていることを考えれば、政府が「外国人との秩序ある共生社会推進室」を立ち上げた意味は大きい。インバウンドや外国人労働者問題に最も取り組んできた公明党も新たな取り組みを開始している。対応型の対症療法ではダメなのだ。

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