政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.142 「コロナ」「防災・減災」対策で安全・安心社会!/河川全体を捉える「流域治水」を

2020年8月10日

一昨年の西日本での「平成30年7月豪雨」、昨年の「令和元年東日本台風」に続いて、今年7月の九州を中心とする「令和2年7月豪雨」は、熊本県を中心に死者82名、行方不明4名(8月7日現在)、人吉市をはじめ球磨川の沿川の市町村では、多くの家屋が倒壊する等甚大な被害となった。この豪雨は九州だけではなく、島根県の江の川、岐阜県の飛騨川流域でも被害をもたらしたことも特徴である。同時の激甚化・広域化、ある意味で凶暴化だ。

「注意報、警報では弱い。逃げないと危ないと思わせる警報が必要」という問題意識で、私が国交大臣であった2013年8月「特別警報」をつくった。当時は年に1回、1県に出るか出ないかを想定していた。しかし、これも3年前から明確に変わった。「平成30年7月豪雨」では実に11府県、「令和元年東日本台風」では13都県に一度に発令された。今年も既に7県に発令されている。特別警報が発令されるような豪雨では、本川の水かさが著しく上昇し、支川からの水が本川に入れない、いわゆるバックウオーター現象が発生し、近年多くの被害が起きている。本川の水位を低下させて、支川を流入しやすくすること、合流部の堤防を強化することが求められる。

970467.jpgこれまで、「堤防を整備する」、「川底を掘る」、「川幅を広げる」、「放水路をつくる」、「ダム・調節池・遊水地をつくる」という手法を、流域の特徴にあわせ、最適に組み合わせて整備を行ってきた。最近の豪雨の凶暴化や今後の温暖化に対応するために、まちづくり、流域からの流出抑制、避難等のソフト対策まで組み合わせたものが「流域治水」である。治水の先人達が進めてきたように、川を強引に抑え込むのではなく、「川をなだめる」、「川をいなす」という手法である。昨年の「令和元年東日本台風」を契機として、この「流域治水」をコンセプトに、事業費約5,500億円からなる「7水系緊急治水対策プロジェクト」を策定し、現在整備を進めている。この7月6日には7水系だけでなく全国の109の国管理の一級水系で「流域治水プロジェクト」を策定することを打ち出した。流域での中長期的取り組みの意義は大きい。

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