政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.101 「パリ協定」受け省エネ・再エネを推進/石炭の高効率化、水力は有力

2017年1月27日

2016年11月4日、「パリ協定」が発効された。1997年に採択された京都議定書に代わり、全ての国が温室効果ガス削減に取り組む国際的な枠組みだ。批准国が2020年以降の温室効果ガスの自主的削減目標を示し、世界全体で産業革命前からの世界平均気温の上昇幅を2度未満に抑えることをめざす。また、各国に自主的な温室効果ガス削減目標の提出と5年ごとの見直しを義務付け、さらに5年ごとに世界全体の取り組みを検証する仕組みも設けている。「パリ協定」上の目標として、日本は2030年度までに温室効果ガス排出を2013年度比で26%削減することを目標としている。さらに、5月に閣議決定された「地球温暖化対策計画」において、わが国として2050年度に80%削減との高い目標もかかげている。きわめて高いハードルだ。

新エネルギー②.jpg公明党はこれまでも、省エネ・再エネの最大限の導入、石炭火力の高効率化、原発に依存しない社会を目指す環境・エネルギー戦略を強く進めてきた。その大きな柱は3つだ。

第一に省エネだ。1979年の省エネ法制定当時から積極的に取り組んできたが、2013年の改定時にもよりきめ細かな対策となるよう力を注いできた。

第二は、石炭火力発電の高効率化だ。大事なベースロード電源として、世界最新鋭の技術の導入を促進し、発電効率の超高効率化を進めることだ。

第三は再エネの積極的導入だ。再エネ導入の際の課題を精査した結果、固定価格買取制度(FIT)の認定申請が太陽光に偏っていることや、国民負担が増大していること、電力システムの改革が必要なことなどが分かった。公明党としてFITの新認定制度を作るなどし、再エネの最大限の導入と国民負担抑制の両方が成り立つように制度全体を見直し、昨年4月に施行した。

日本のエネルギー計画は、2014年に政府は「第4次エネルギー基本計画」としてエネルギーミックス(長期エネルギー需給見通し)を策定した。エネルギーミックスにより、電力供給の電源構成は2013年度から2030年度に、LNG43%→27%、石油15%→3%、石炭30%→26%、原子力2%(原発事故前の2010年は25%あった)→20~22%、再エネ11%→22~24%とすることを目標としている。この中で、①省エネの推進によりエネルギー消費量を17%削減する②石炭火力発電の発電効率の向上を図る③再生エネルギーの発電量を2倍にする――の3点を挙げている。公明党の主張と同趣旨である。

まず、第一に大事なのは省エネの取り組みだ。製造業などの産業部門、流通・サービスなどの業務部門、自動車や交通の運輸部門、そして家庭部門の4部門に分け、それぞれの部門ごとにきめ細かな省エネ対策を行うとした。これにより、2030年度に2013年度比で17%の電力需要の削減をめざす。この目標を達成するには、オイルショック後並みの省エネ努力が必要となる。我が国としては、「省エネ先進国」として、さらにもう一段取り組みを進化させていかなければならない。

二つあるが、一つは、これまで製造業を中心に成果を上げてきた省エネ取り組みを、サービス業や流通業などに展開していくことだ。省エネ取り組みが停滞している事業者には、よりきめ細やかな指導をしていく。もう一つは、個々の事業者の取り組みだけではなく、複数の事業者の共同による省エネを積極的に支援する。例えば中小事業者の省エネポテンシャルを引き出していく。更には、家電の販売店、ハウスメーカーや地域の工務店などを通じた消費者への働きかけなど、幅広い関係者を巻き込んだ省エネの動きを作っていく必要がある。運輸部門では、荷主であるメーカーや小売業者が、運送事業者と協力・連携しながら省エネを進めていく仕組み作りをしていく。

第二に、ベースロード電源として重要な石炭火力発電の高効率化だ。日本のベースロード電源は石炭火力発電と原子力発電だったが、震災後、原子力発電は25%から2%程度になっている。ベースロード電源として石炭火力発電の重要度は増大している。

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