政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.132 時代の激変と政治のリーダーシップ/時間軸をもち先手を打つ政治を!

2019年9月 6日

時代の進展は速い。社会の変化は激しい。だからこそ政治のリーダーシップ、政治家の構想力が不可欠だ。官僚機構に乗っかり、利害の調整に力を注ぐ時代ではない。「時間軸をもった政治」が求められるゆえんだ。

シニアクラブ.jpg「2025年には団塊の世代が75歳以上になり、認知症700万人、全国の空家が1000万戸になる」――大変なことだ。いよいよラグビーワールドカップが始まり、即位の礼が行われると、明年2020年の東京オリンピック・パラリンピックへ一直線となる。勢いをつけることは重要だが、2025年まで6年、2030年までわずか11年しかない。人口減少・少子高齢社会、AI・IoT・ロボットの急進展という構造変化にどうダッシュするか。喫緊の課題といってよい。

宮部みゆきの近著「さよならの儀式」は面白いが恐ろしい。短篇集だが、「被虐待児とその親を保護・育成するために"マザー法"なるものが成立し、親子のつながりに国が介入して遮断する」「汎用作業ロボットが各家庭に行き渡り、家族のようになる。廃棄する時の別れる辛さ、廃棄業者のあり方をどうするか」「いつの間にか街には防犯カメラ等が増え、監視されているが、どうもそのカメラ自体にモノが侵入し、意識的に操作が行われる」「ネット上にフェイクニュースがあふれ、知らないうちに自分が教祖のようになっていたというフェイクの暴走」「人間と人造擬体とが共存する村」・・・・・・。全くのSFとは思えなくなっているから恐ろしいのだ。同じく東野圭吾の新作「希望の糸」も「人工授精、卵子提供の取り違えが、殺人事件にまで発展してしまう"運命に操られる家族"」を描いている。

NO.131 観光立国は新たなステージに!/キーワードは「質」の向上

2019年8月 8日

先日、2019年6月の訪日外国人旅行者数が公表され、上半期(1月~6月)として過去最高の1663.4万人(前年同期比4.6%増)を記録した。特に、韓国・中国・台湾・香港の4市場が6か月ぶりに揃って対前年同月比でプラスとなったことは、注目に値する。

昨今の外交面での不安定要素を乗り越えて訪日外国人旅行者数が伸びていることは、重要な意味を持つ。現場レベルの継続的な交流により、観光が対日感情の改善に果たしてきた役割りはきわめて大きい。私は、実際に日本を訪れた外国人観光客が「日本は素晴らしい」と発信してくれることが、相手国との関係改善に向けた大きな力となると確信している。 

観光1000万人 2013.JPG政府が「観光立国」を掲げてから数年間、当初目標の1000万人になかなか到達できない苦しい時期が続いた。そうしたなかの2012年12月、私は観光庁を所管する国土交通大臣に就任した。就任後、直ちに、安倍総理、菅官房長官とともに、思い切ったビザ緩和を実施するとともに、戦略的な訪日プロモーションを推進した結果、就任からわずか1年で、1036万人に到達できた。その時の喜びは、忘れることができない。

驚くべきことに、その勢いは加速度を増し、わずか5年後の2018年には3119万人を記録した。さらに注目すべきことは、同年の訪日外国人旅行消費額が、民主党政権時代の4倍以上の4.5兆円超となっていることである。地方の活性化という観点からも、観光はきわめて重要な役割りを果たしているのである。

NO.130 温暖化に負けない事前防災を!/急務のマイタイムライン等の整備

2019年7月10日

今年は伊勢湾台風から60年――昭和34年9月26日夕方、強い勢力を維持して、潮岬に上陸した台風は早い速度で紀伊半島を縦断し、広範囲に大雨と高潮をもたらした。伊勢湾周辺の名古屋市をはじめとする低平地の堤防がいたるところで決壊し、一面海と化した。犠牲者の数は5,098名に及び、流出・全壊戸数は、4万戸、半壊戸数は10万戸を超えた。決壊した堤防を締め切り、排水を完了するまでに、3ヶ月以上かかった。私は、当時愛知県豊橋市で中学校に通っていた。伊勢湾周辺だけでなく、私の地元三河地方でも多くの家が倒壊し、学校の体育館には、救援物資が山積みになっていたのをいまでもありありと覚えている。台風による犠牲者では、明治以降最大であり、平成7年の阪神・淡路大震災が発生するまでは、戦後最大の死者を記録した自然災害であった。

Iwabuchi 2017.jpgこの大きな犠牲をだした伊勢湾台風は我が国の防災対策の重要な起点となった。まず、我が国の防災対策の基本的な枠組みを定めた、災害対策基本法の制定である。国や自治体の責務と役割分担が明確になり、国、都道府県、市町村の各レベルに防災会議を設置し、防災体制の確立や防災事業の促進等をあらかじめ計画として策定することとなった。2つめは、治水事業等を強力に推進するための、治山治水緊急措置法の制定である。法律に基づき5か年計画を策定して、計画的に治水事業等を進めることになった。昨年の台風21号では、大阪湾奥で昭和36年の第二室戸台風の潮位を上回ったが、第二室戸台風の被害を踏まえて、計画的に整備をしていた防潮水門が大阪市域への高潮の侵入を防いだ。

NO.129 意欲的に進む都市・街づくり/個性ある対流促進型国土へ

2019年6月13日

各市区町村が街づくりに懸命に取り組んでいる。人口減少・少子高齢社会、AI・IoT・ロボットの急進展する社会、頻発する災害への防災・減災の備え、外国人労働者も外国人観光客も増える。そのなかで、どう戦略を立てて生き残りを図るかという切羽詰まった挑戦だ。

ハレザ池袋.jpg地元でも各区の取り組みは真剣だ。5月24日には、豊島区で「ハレザ(Hareza)池袋」の中心となる豊島区立芸術文化劇場の竣工内覧式が行われた。これはミュージカルや伝統芸能、宝塚や歌舞伎などを公演するホールや、アニメ、サブカルチャーを楽しめる空間など8つの劇場を備える新複合商業施設だ。豊島区庁舎跡地と伝統ある豊島公会堂の跡地に建てられる。街は大きく変わり、汚い・危険のイメージすらあった池袋は、豊島区が掲げる「国際アート・カルチャー都市」へと周辺開発も含め大変貌する。しかも今年は、豊島区・中国の西安市・韓国の仁川広域市が国家プロジェクト「東アジア文化都市」に選ばれ、文化・芸術の多彩な行事を日中韓交流として1年かけて行う。街を変えるエネルギーが満ち溢れることになる。北区では、東京の北の玄関口「赤羽」が庶民の生活や飲食街として賑わいをみせるとともに、東洋大のクラウドベースの教育システムを取り入れた「スマートキャンパス(東洋大学情報連携学部)」がAI・IoTの先端を学ぶ場として2年前にオープン、学生が多く街に見られるようになっている。王子や滝野川の地域も知恵を出し発展させている。足立区でも有名大学が次々と移設され、東京女子医大東医療センターが今年着工となり、北千住はメディアにもよく出る人気スポットに浮上している。板橋区はモノづくりが伝統的に強い工場集積地であり、大学病院をはじめ医療機関も多い。最先端工業と先進の医療機関が連携する街づくりに力を入れている。荒川が東京に入る最前線の地でもあり、全国の先頭に立って「タイムライン」「マイタイムライン」の本格的で幅広い作成にも全力を尽くしてくれている。私の地元の4区は非常に真剣。街を変え、弱点を克服する意欲に満ちている。街をつくるのはまさに各区の熱意と結束力だとつくづく思う。

NO.128 認知症・フレイル予防に注力/人生100年時代へ備え急務!

2019年5月16日

20190426_110050.jpg「2025年、団塊の世代が75歳以上になり、全国で空家が1000万件、認知症が700万人になる」――。「令和の時代」を迎えた今、「人口減少・少子高齢社会への対応」「世界の政治・経済が不安定ななか、日本経済の確実な成長」「ステージの変化した災害への防災・減災対策」の3つの備えは最重要課題だ。AI・IoT・ロボット等の急進展はそれら全てに関わりをもっており、エンジンともブレーキともなる。AI社会はデータの争奪戦ともなり、デリケートな社会を生み出すからだ。

人生100年時代、超高齢社会への備えは、直面している重要課題だ。「100歳まで生きる時代が来る」――それが徐々に実感を伴って感じ始めたのはこの2~3年のことだと思う。年金・医療・介護自体をそうしたスパンで考える必要性を突きつけられているわけだ。なかでもフレイル予防、がん対策、認知症対策は先般の統一地方選で、公明党の地方議員が強く訴えたものだ。大事なのは健康寿命だ。2016年の調査によると、女性の平均寿命87.14歳に対して健康寿命は74.79歳、その差は12.35歳もある。男性は80.98歳に対して72.14歳で8.84歳の差となる。「女性は長生き」と言っていられないのが現状だ。

フレイル予防――。高齢となれば誰でも身体は弱くなり、外出も減り、病気でなくても心と体の働きが弱くなる(フレイル=虚弱)。身体の虚弱、心・認知の虚弱、社会性の虚弱に着目し、「メタボ対策からしっかり食べて栄養状態を保つフレイル予防」「筋肉の衰えを遅らせる」「早めの気付き」が重要となる。健康長寿に向けて「栄養(食と口腔機能)」「運動」「社会参加」の柱立てをし、各市区で公明党議員はその取り組みを訴えていた。

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