政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN
NO.141 「コロナ」で変わる生活と社会/文明の弱点と逸脱の克服を!
新型コロナウイルス感染症の第一波はひとまず回避したが、まだ油断はできない。100年前、世界を襲ったスペイン風邪は、1918年から三波にわたったが、最も甚大だったのは第二波だ。若干、収まりをみせた今こそ、「ウィズ・コロナ」「ポスト・コロナ」の布陣をガッチリと敷くことだ。2020年度第1次補正予算に続き、先ほど第2次補正予算を成立させた。第1次補正予算は、国の歳出25.6兆円、事業総額117兆円。第2次補正予算は、国の歳出31.9兆円、事業総額117兆円とかつてない規模のものとなり、「企業・事業主への支援」「家計支援」「医療・介護支援」を中心としているが、長期にわたる劣後ローンなど資本性資金を入れた資金繰り対策に力を入れている。この長期的視野をもって「ウィズ・コロナ」「ポスト・コロナ」への対策を打っているのが、第2次補正予算の特徴だ。
今も「コロナの収束こそ最大の経済対策」であることは言うまでもない。しかし、そのためにも「ウィズ・コロナ」「ポスト・コロナ」をどう生き抜くか、これが最大の戦略的テーマだ。世界的に第一波の大波を越えようとしており、生活スタイル、企業の活動、スポーツ・文化・芸術の展開は変化し、大いなる模索の時期を迎えている。100年に一度という災禍を受け、国民意識が大きく変化していることを見逃してはならない。東大教授で中国にも詳しい小原雅博氏は最近の著作でコロナの震源地ともなった中国の友人100人以上から取材し、「生活様式の変化(オンライン化の加速や健康と衛生の重視)」「価値観の変化(安全や自由といった基本的価値の大切さの認識)」「世界の構図の変化(米中関係悪化による衝突への危惧)」という3つの変化が伺えるという。濃淡はあるにしろ世界共通といえるのではないか。
NO.140 企業・家計・医療・災害へ全力支援!/感染症が突きつける文明的課題
新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が5月25日、全国で解除された。「新型コロナの感染拡大阻止」が、全ての最重要課題であっただけに、節目であり、新たなステージへのスタートである。しかし、「緩み」は禁物だ。とくに東京。第二波・第三波への警戒、そのための行動変容、深刻な打撃を受けている企業・事業主への支援、家計支援、医療支援等に全力を上げる決意だ。
この新型コロナの影響は甚大かつ深刻だ。しかもその根は深く、人間存在そのもの、営々と築いてきた人類、そして文明への逆襲でもある。感染症との戦いは長い。それは人類の歴史そのものでもある。人類が森林を切り拓き、農業を開始する。動物を家畜化する。言葉を使い、人と人とが交流し、集落を作り、都市をつくる。山極寿一京都大総長は、人類は「言葉+身体の接触」で信頼の社会をつくってきたが、そもそも「地球はウイルスの惑星であり、人間が主人公ではない」ともいえると指摘し、「地球環境を壊すと、閉じ込められていたウイルスが飛び出す可能性がある」と警告する。つまり、「三密」を避け「節度ある社会・経済活動」という「行動変容」「新しい生活様式」というのは、人類の築いてきた「人と人とが言葉で結びつく社会」「文明」「グローバルに人や物が移動する社会」に対する根源的な問いかけを含んでいるということだ。しかも、「自然環境の破壊、温暖化」「人と物の動くグローバル化」のなかで、感染症のリスクはつい隣りまで迫り高まっている。21世紀に入ってからも2002年のSARS、2009年の新型インフルエンザ、2014年のエボラ出血熱、2012年と2015年のMERS、デング熱や麻疹(はしか)も記憶に新しいところだ。この新型コロナウイルスとの戦いも山中伸弥京大教授のいうように「長期にわたる戦い」であることを覚悟するとともに、他の感染症が迫っていることへの備えが必要だ。それを迎え撃つ体制を医療だけでなく、社会体制、生活様式など全てにわたって整えなくてはならないことになる。目の前の深刻な現実の課題と、長期の課題を凝視して、体制を整えることが今、世界レベルで重要となっている。
NO.139 新型コロナ拡大阻止に総力!/医療・家計・事業者へ全力支援
新型コロナウィルス感染症の拡大が世界を覆っている。4月7日に緊急事態宣言を発令した日本。オーバーシュートを起こさない、クラスターを抑える、外出を自粛し仕事もテレワーク等の工夫をする、三密とならないよう努力する、そのためにはイベント自粛はもとより営業の休業要請を強く発する――。東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡に発せられた緊急事態宣言の後も全国への拡大傾向が強く、5月6日のゴールデンウィークまで全国への緊急事態宣言となった。人と人との接触を8割減らす目標の達成のため、一層の努力を国民に求める「提言」が4月22日に専門家会議から発せられた。収束のためには今こそが重要な時期であり、踏んばり時だ。
なんといっても大事なのは「行動変容」だ。徹底した三密除去と行動自粛、"危ない"ということは勿論だが、「すぐ間近にどこでもコロナが迫っている」と自分を律し、他人を慮ることが大事だと多くの人が感じていると思う。「潜伏期間が長い」「発病すると一気に重症化する」という厄介なこの新型コロナ拡大阻止に「行動変容」は最も重要であり、「接触8割減」の正念場だ。
NO.138 何としても新型コロナの「収束」/事業継続、雇用・生活支援に全力!
21世紀で人類が経験したことのないパンデミック――。新型コロナ感染症が世界で拡散・拡大している。毎週のように様相が激変している。中国で始まり、韓国、イタリア、イラン等に拡散していたが、いまや全欧州、そして米国、南半球にまで急速に拡大し、国や都市を封鎖するロックダウンが相次いでいる。株価も急落、世界経済は、リーマン・ショックを上回るマグニチュードの新型コロナに覆われている。日本は国をあげて「できることは何でもやる」というスピードと規模をもつ対策に全力をあげなくてはならない。
今、最も大事なことはこの新型コロナの感染拡大を阻止することだ。緊急経済対策が今、急ピッチで検討されているが、「新型コロナの収束こそ最大の経済対策」であることが本質であり、前提である。ノーベル賞の山中伸弥教授は、この新型コロナについて「敵を知る」「現状を知る」「ゴールを知る」――の3点で整理し、政府の専門家会議の尾身茂副座長と対談をしている。この新型コロナという"敵"には特徴がある。まず、これに罹患しても「約80%の人が軽症ですみ、5%ほどの人が重篤化して亡くなる人もいること」「若い人は軽症ですむが、高齢者や基礎疾患を持つ人は重症化しやすいこと」、そして「感染は5人いれば1人しか感染させない(インフルエンザは5人全部に感染)」「インフルエンザは徐々に合併症の肺炎となるが、新型コロナは重症化するまで時間がかかるが、重症化すると一気にウイルス性肺炎に進む」ということだ。だからこそ、「クラスターの連鎖による感染」を阻止するという戦略を日本は立てたのだ。その「クラスター感染」を抑えるために、「密集、密閉、密接の3条件」を避けるという戦略だ。欧米の急ブレーキ(ロックダウン)のやり方とは違って、日本は経済とのバランスをとって抑えようとする"日本方式"をとった。
NO.137 建設業の職人の処遇を改善/設計労務単価を8年連続引き上げ
2月14日、国土交通省は公共工事における職人の賃金である設計労務単価を、全国平均で前年度比2.5%引き上げると発表した。これは、私が国土交通大臣だった2013年度に、それまで15年間下がり続けていたものを約15%と大幅に引き上げてから8年連続の上昇であり、過去最高を更新する初の2万円超え。この8年間で、以前と比べ51.7%増の賃金となった。これが現場の技術者、職人さんに行き届くようさらに努めていきたいと思っている。
建設業は国の礎を築く大変重要な産業だ。社会資本の整備やその維持管理、老朽化対策を実施することは安全を確保するだけでなく、インフラのストック効果を発揮する「成長のエンジン役」でもある。また最近、とくに激甚化・広域化している災害の際に真っ先に駆けつけるのも建設業の方々だし、防災・減災、国土強靱化の取組みを進めていくためにも、建設業の力は大きい。
しかし、建設業の技能者は60歳以上の方が全体の4分の1を占める一方で、29歳以下の若者は10%強にすぎない。日本全体の生産年齢人口が減少し、全産業的な人出不足感の強まりから人材の獲得競争が激化している現在、建設業の将来の担い手の確保は大きな課題となっている。一人前の職人になるまでには5年から10年はかかることを考えると、団塊世代の大量離職という危機を迎える前に若い担い手を確保できなければ建設業の未来はない。このような現状を改善するためには、働きに見合った処遇となるよう賃金を引き上げ、意欲ある若者が誇りと自信を持って働ける環境を整備することが必要だ。労務単価の引き上げの意味は大きい。