政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.107 働きながら子どもを産み育てる社会!/「待機児童」「保活」の厳しさ解消へ

2017年6月 7日

保育ママ.jpg待機児童解消はきわめて重要な問題だが、保育所を探す「保活」の深刻さがとくに問題となっている。妊娠中から保育所に入れるかどうかに一喜一憂、「保育所に入れるか」「働き続けられるか」という不安を抱え、親たちは疲弊してしまう。0歳か1歳の4月に入所させるために必死に取り組むわけだが、育児休業後の1歳からでは入れない不安があって、勢い0歳からの入所をめざす。会社の書類、申請の書類を整え、見学も不可欠だが、併願になるからその労力は数倍となる。「なぜそこまで働こうとするのか」「子どもは親の下で育てるのがいいのでは」など、追い詰められてしまうことも多いようだ。待機児童解消、保活のつらさからの解放は喫緊の課題だ。このところ、私自身、保育所を何度も訪れ、また保育ママの現状調査と問題解決に努めているが、さらに力を注ぎたいと思っている。

2012年12月、第2次安倍内閣が発足し、ただちに13年には待機児童解消加速度プランを作った。17年度末には待機児童ゼロをめざし、当初40万人分の目標を途中で上積みし、50万人分の受け皿増に取り組むという5か年計画だ。たしかに保育定員は増え続けているが、待機児童はゼロにはなっていない。保育定員は2012年に約224万人であったが、2016年4月には認定こども園も含め約263万人と受け皿は増加。しかし、約2.3万人を超える待機児童がいる。女性の活躍できる社会は、安倍自公政権の重要な柱だが、女性の就業率が上がれば、保育所の入所希望は当然増えていく。こうした状況は続くわけだから、待機児童ゼロは継続的ゼロを志向しなければならない。政府としてこの6月に、新たな「子育て安心プラン」をまとめ、2018、19年度の2年間で22万人分の受け皿を整備し、20年度に待機児童ゼロの目標を示す。さらに力強い推進策が大切だ。

まず、保育サービスの増加を進めることだ。現在、認可保育所213万人、小規模保育や事業所内保育などの地域型保育と企業が行う企業主導型保育で7万人、そして東京都の認証保育所など認可外保育事業20万人。また幼稚園134万人、認定こども園32万人などの体制で、増えてはきている。これをさらに整備する。しかもこれら多様な形態をさらにキメ細かく進める。とくに、大都市部における不足が著しく、その整備には土地の確保が課題になっている。このため、国交省はこの4月、都市緑化法を改正、都市公園内に保育所など社会福祉施設が設置できるようにした。私はその推進役だった。そして、特に育児休業を終わってから、幼稚園・保育園に入るまでの1~2歳児の待機児童数が増えているので、1~2歳児保育を拡充させることが必要となる。自治体のなかには、「保育コンシェルジュ」を配置して、親からの相談に応え、支援の大きな力となっているが、そうした取り組みも重要だ。一人に寄り添う支援だ。

NO.106 日本国憲法施行70年――重厚な論議を/意義大きい公明党の「加憲」

2017年5月10日

憲法審査会.jpg日本国憲法が施行され70年となった。記念式典や集会が行われている。しかし、衆参の憲法審査会や集会等が行われているが、憲法改正への機運は十分盛り上がっているとはいえない状況にある。私は2000年から始まった衆院憲法調査会の5年間、憲法調査会で一貫して委員を務めた数少ない議員の一人だ。党の憲法調査会の座長も長く務めていた。「憲法を論ずることは国の形を論ずることだ」――これが2000年からの憲法調査会の基本的考え方であり、私は常に、「21世紀日本の国の形はどうあるべきか」を考えるなかでの憲法論議を提唱してきた。時代・社会は今、急速に変化をしている。急激な人口減少・少子化、異次元の高齢化の進展、グローバリゼーションや都市間競争の激化、エネルギーと地球環境問題、IoT・ICT・BT(バイオテクノロジー)・AI(人工知能)等の急速度の技術革新、世界の安全保障環境の大変化・・・・・・。21世紀日本の国の形は、きわめて広範かつ深い洞察力を必要としている。だからこそ私は、現在の憲法論議は「ここが不都合」などという次元ではない、「重厚な憲法論議が不可欠」だと主張している。

公明党は「加憲」という立場をとっている。それは、「現憲法はきわめて優れており、国民に定着していることを認識し、憲法3原理を堅持し、時代の進展とともに提起されてきた環境権等を現憲法に付け加えて補強する」という考え方だ。これは、米国のアメンドメント方式と同じ思考法に立つものだ。憲法の論議の対象として、「環境権をどうするか」「私学助成に関係する89条をどうするか」等々を議論してきたし、昨今では「緊急事態条項と憲法」や、「地方自治と憲法」の関連を論議し、衆院の憲法審査会で発言してきている。また9条については、公明党として「9条の1項2項を堅持し、自衛隊や国際貢献について加憲の論議の対象としている」としている。かつて私は「IT、BTの時代が来る」として、生命倫理等の問題についても、憲法調査会での論議を促してきた。技術革新が急速度で進むなか、「技術と人間」「AIと人間社会」「BTと生命倫理」の問題は、今のうちに論議しておかないと大変なことになる。政治が対応に追われ、目先のことばかりやっていると、取り返しのつかないことになる。とくに今の政治には、時間軸と構想力、洞察力が必要だ。それを憲法論議のなかで骨太に行う。それが「憲法を論ずることは国の形を論ずること」「重厚な論議が重要」ということだ。

NO.105 都市農業の振興、都市農地の保全を後押し/食の安全、食育、防災、景観、環境など多くの効果

2017年4月25日

都市農業③.jpg「都市農業はきわめて重要だ」と私は考え、行動してきた。その都市の中で営まれる都市農業を後押しする制度改正が今、進んでいる。

私が国土交通大臣だった平成27年4月、「都市農業振興基本法」が制定された。これは国土交通省と農林水産省が連携して、都市農業の振興策を打っていく枠組みを定めたもの。都市農業に注目した初めての法律だ。昨年5月には、具体策を盛り込んだ「都市農業振興基本計画」も閣議決定された。このような動きに、特に3大都市圏で都市農業を営む人々は、非常に勇気づけられていると思う。

しかし、これまでの経緯をみると、都市農業にとって厳しい状況が続いていた。高度経済成長期以降、3大都市圏へ人口が急激に流入する中で、住宅難解消のために都市農地はどんどん宅地化が進行。地価の上昇で税負担も増えた。

バブル経済による地価高騰を契機に、1991年、都市農地を保全するための生産緑地の制度改正が行われ、固定資産税の農地並み課税や相続税の納税猶予など税の軽減措置も設けられた。しかし、生産緑地では30年間という長期の建築制限が課せられ、相続税についても終身営農し続けなければ免除されないなど、制度の活用には厳しい制限も存在。農家の高齢化や後継者不足もあって、農業をやめてアパート経営を行うなど、農地の宅地化はその後も進んだ。その結果、3大都市圏の都市農地は、約20年間で半分近くにまで減少してしまった。

しかし近年、都市農業・都市農地が持つさまざまな効用、機能が注目されている。

まず、安全・安心な食の供給だ。「食の安全」への意識が高まる中で、身近な畑で採れた新鮮な野菜や果物に対する評価が高まっている。生産者の顔が見えるということも大事だ。最近では、農地のすぐ傍に"農家レストラン"を開業する取組みも始まっている。

NO.104 バリアフリー先進都市東京へ/2050年、さらにその先を見据えた街づくりを!

2017年4月12日

2020年東京オリンピック・パラリンピックまで3年余り。世の中をバリアフリー化し、誰でも様々な活動に参加できるような社会を作ろうという機運がかつてないほど高まっている。

2月20日、政府は関係閣僚会議において「ユニバーサルデザイン2020行動計画」を決定した。これは、東京大会を契機として、ユニバーサルデザインの街づくり・心のバリアフリーを推進し、大会以降のレガシーとして残していくための施策を実行すべく、とりまとめられたものだ。

これに関し、都議会公明党は、「東京改革へ3つの挑戦」の柱の一つに「2020年東京五輪に向け人にやさしい街づくり」を掲げる。具体的には、①都道の段差解消等に取り組むことにより、高齢者や障害者など、誰もが安心して生活・移動できる「世界一のバリアフリー都市」を目指す②駅ホームでの転落事故を防ぐため、ホームドアの設置を加速する③訪日外国人の「おもてなし都市」の基盤整備の一環として無料Wi-Fiを充実する――としている。

車椅子タクシー.jpg東京大会、特にパラリンピックには、国内外から多くの障害者が訪れることが期待される。彼らを受け入れるためには、東京を空港から競技会場に至る経路を連続的・面的にバリアフリー化することが不可欠だ。そのためには、訪日外国人が到着する成田、羽田両空港の更なるバリアフリー化や、空港と都心を結ぶアクセスバスやタクシーのバリアフリー化が必要となる。東京では、一般の路線バスの91%が超低床型である一方で、車椅子対応の高速バスやタクシーはほぼないといってよい状況にある。政府は、2020年までに東京のタクシーの25%を車椅子対応化させる目標を立てているが、バスやタクシーのバリアフリー化に真剣に取り組む必要がある。

また、主要鉄道駅等のバリアフリー化にも取り組まなければならない。東京大会開催時には、多くの観客が鉄道を利用することが想定される。昨年6月にはJR千駄ヶ谷駅等の改良計画が発表されたが、競技会場の最寄駅、乗換駅等におけるエレベーターやホームドアの整備は急務である。

さらに、鉄道駅から競技会場までのアクセス道路のバリアフリー化も必要だ。車椅子の方がスムーズに移動できるよう歩道の段差解消を進めるとともに、視覚障害者の方が安全・安心に移動できるよう誘導用ブロックを整備する。重点的な整備を急ぐべきである。

こうした「線」のバリアフリー化に加え、街そのもの、「面」のバリアフリー化にも取り組まなければならない。現在、新宿、渋谷等の主要ターミナルでは、都市再開発が進められている。このなかでバリアフリー化され、誰もが訪れやすく、楽しむことのできる街づくりが進められる必要がある。

NO.103 世界に広がる"ポピュリズム"/現状打開への意欲もつ政治へ

2017年3月19日

世界の政治は激震のなかにある。英国のEU離脱、トランプ大統領の誕生・・・・。そこには移民・難民等に対する不満と怒り、格差の拡大、貧困の固定化など、欧米社会の共通した変化があり、中間層等の怒りがある。これまで築いてきた世界秩序や経済システムにほころびが出ていることを直視し、新たな秩序の地平を拓くという覚悟が問われている。振り回されることなく、歴史的時間と世界的広がりを踏まえた自らの戦略を前に進めることだと思う。

本会議答弁①.jpg政治について、民主主義について考えると、これら現象のなかで顕著なのは「ポピュリズム」ということだ。このところ寺島実郎氏が「反知性的ポピュリズムが跋扈しており、民主主義への失望に拍車をかけている」(「シルバー・デモクラシー」)といい、水島治郎氏が「ポピュリズムは民主主義の敵か、改革の希望か」(「ポピュリズムとは何か」)と、世界を揺さぶる"熱狂"の正体を解説しているように、社会の変化と民主政治のあり方を冷静に捉えることが不可欠だ。

水島氏が「ポピュリズムは、デモクラシーの後を影のようについてくる」(マーガレット・カノヴァン)を紹介しているように、波打つデモクラシーの波形が、時を経て世界的にある水準に至ったがゆえに、今日のポピュリズムが生起しているのだと感じる。

「大衆迎合主義」とも訳されるポピュリズムだが、世界的に「反エリート・反エスタブリッシュメント」「既得権益への反発と断罪」「代議制民主主義の機能不全傾向と草の根の直接民主主義への意思」「置き去りにされた人々への共感と標的への攻撃」「反移民・反難民・反イスラム、外国人流入への強い警戒感と排外主義」「メディア・ネットの活用と人民への直接の働きかけ」など、共通項目は多い。

背景はさまざまある。まず、グローバル化と格差の拡大がある。また、民主政治が成熟してくるなかで、既成政党の求心力の弱まりと、政党間での政策距離の狭まり、無党派層の増大がある。さらにもっとストレートかつ鋭角的に我々の声を聞けという民衆の不満や怒りが噴出していることは間違いない。そこに既成政党ではない"ポピュリズム勢力"台頭の舞台がある。しかし、その"熱狂"が危うさを内包し、民主主義の軽さをより助長し、国家主義等への誘惑に引っ張られるという懸念は、歴史的にも常に指摘されてきたところだ。

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