政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.166 解決の道を提示する中道政治!/問題を整理し、本質に迫る努力を

2022年10月 6日

この7月からの3か月、社会が揺れ、問題は山積しているのに、その問題が整理されていない。本質がつかめず、論議自体が漂流しているような気がしてならない。ロシアのウクライナ侵略、安倍元総理銃撃事件からの旧統一教会と政治家の問題、auNTTなどの通信障害、物価高と円安、コロナの新ワクチン対応・・・・・・。どの報道を見ても目の前の現象を追い続け、それにSNS時代の特徴である攻撃性が追い打ちをかけ、よりいっそう民意は翻弄される。この傾向はこれからの未来でさらに拡大されること必至である。一つ一つの事象をどう捉えるか、整理して本質に迫る気迫が、国家を担う政治家や各界のリーダーには重要だと思う。とくに政治家は「ポピュリズムへの誘惑と権力の魔性、情報洪水にどう耐えうるか」が試されている。それゆえに民衆の現場に常に足を運ぶとともに、常に思考する・学ぶことが、大事になる。

IMG_20220323_0001-2.jpg少なくともウクライナ危機では「世界は自ら助くる者を助く。自分の国は自分で守る気概が不可欠」であることを学ぶし、auNTTなどの通信障害では「AIIoT、デジタル社会は極端な脆弱性、デリケートな社会でもあり、セキュリティがますます重要となる」ことを学ぶ。さらに自然災害も含めて「自らの危機が他人任せになっていて、危機を察知する身体感覚、直視力を失っていること」がAIとデータに支配される社会か、人間の社会なのかの入口で問われていることに気付く。旧統一教会をめぐっては、「政治と宗教の問題ではなく、政治家とトラブルを抱えている団体との関係性の問題」であることを見誤ってはならない。円安の問題は、「インフレの米欧と長期にわたり緩やかなデフレを脱し切れない日本との金融政策の差違」が本質だと思う。フランスの哲学者ベルクソンは「問題は正しく提起された時にそれ自体が解決である」といったが、現前する事象の本質に迫ろうとする気迫の姿勢が、今まさに必要となっていると思う。

気仙沼2.jpgそうした意味から私は今、公明党の掲げる「現場主義」「中道政治」が重要だと思う。今年9月、公明党の立党精神である「大衆とともに語り 大衆とともに戦い 大衆の中に死んでいく」が、党創立者から示されて60年を迎えた。どこまでも「大衆直結・行動第一主義の党」「一人の悩み、苦しみに寄り添う現場主義の党」として、国も地方も素早いネットワークの力で走ってきた。私は常に「政治は空中戦ではない。現場の力だ」「政治はリアリズムだ。現実を直視した臨機応変の自在の知恵だ」「現場に入り、時代と民意の変化を察知するセンサー、動体視力を磨け」「たゆまざる自己研さんを怠るな」と思ってきた。これは、根源的な「中道」の政治姿勢だ。庶民・大衆の中に身を置き、考え、解決のために奔走するのが中道政治なのだ。

広島市20140822.jpg右と左のまん中に中道があり、保守・中道・革新と位置付けがされたりするが、「極端を廃する」という意味では、中道といえるかも知れないが、本来の中道はそうした「足して二で割った真ん中」という中間主義や折衷主義ではない。中道とは、より哲学性を持った「道に中(あた)る」というものだ。道とは人間・社会・自然を貫く法則・根源・本質であり、道義・規範であり、柔道、剣道などの奥義でもある。まさに中道とは「本質・根源に迫る」姿勢だ。それゆえ、あらゆる自然・社会の根源である「生命」「尊厳な生命」を最も重視する。また「中(あた)る」というのは「中毒(毒に中る)」「的中(的に中る)」の「中」であり、真正面からぶつかる現実直視の姿勢である。さらに「『中』というのは面白い語で、それはいろいろな矛盾を克服して無限に進捗していくという意味、論理学で言う弁証法的発展というものです(安岡正篤)」「いろんな意見を真ん中に集めることだけが中道ではない。私の考える中道というのは、問題を提起するだけでよしとしない態度であり、少なくともどこかに解決への道を示唆するのが中道である(山崎正和)」という。中間をとるのでもなく、妥協でもない。対立を高次に引き上げ、刷新することなのだ。中道とは、人間主義、生命尊厳に立脚し、「問題を整理して本質を突き詰める」「全体を偏頗ではなく俯瞰的・調和的に観る」「対立する意見を超えて新たな解決の道を探る」という価値創造の自在の知恵といってよい。

山崎正和氏は生前、「いま面白く思うのは、日本の社会全体が『中道』に近づいている」「今ほど『中道』の時代を実感したことはない」と私にも言われた。しかし今、情報に翻弄され、問題が整理されてない実感の方が強い。透徹したリアリズムに立ち、「現実を直視した臨機応変の自在の知恵」を発揮するダイナミズムを取り戻す時だと思う。 

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