政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.164 「日本再建」にかけた安倍元総理の意思/デフレ脱却、持続的な経済成長へ

2022年8月 3日

この7月は大変な月となった。安倍元総理銃撃事件が起き、参院選があり、コロナの感染者数は激増した。参院選は、自公が過半数をはるかに超えて勝利した。コロナ、物価高、ウクライナへのロシアの蛮行など、激変する世界の政治・経済のなかで、安定した自公による政治、「日本を前へ」とのしっかりした政治を求めている声だと受け止めたい。耳ざわりのよいポピュリズムの政治ではなく、直面する難題に腰を据えて積極的に取り組む「未来に責任」「安全・安心の勢いのある日本」にもっと働けという国民の意思だと思う。

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コロナについても局面は大きく変わった。BA5オミクロン株が猛威を振るい、721日には東京で初めて感染者数3万人を超え、23日には全国で過去最高の20万人を超えた。新たに起きたのは、検査・診察を求めて病院・クリニックの発熱外来に多くの人が並び、病院側ではその対応に忙殺され、コロナ「検査難民」続出の事態が生じた。これまで課題となっていた病院・ホテルなどの入院の体制をとる医療体制の確保とは全く異なる新事態だ。政府は22日、抗原検査キットの無料配布体制の確立や濃厚接触者の自宅などの待機期間を原則7日間から5日間に短縮することを決めた。不安を除去しつつ社会経済活動を回すためだ。根本的なことは「ワクチン+治療薬」を進めることであり、懸命に行っている抗ウイルス薬の開発・強化を一日も早く実現することだ。とともに、多くの専門家が声を上げている全ての医療機関で診療・治療が行える体制の本格的検討に入ることだ。重要な局面だ。

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安倍元総理銃撃事件は、私にとって命の底が崩落するような衝撃であり、悔しい事件となった。安倍元総理は2006年の第一次安倍内閣の時には私が公明党代表、2012年の第二次安倍内閣の時には国土交通大臣を務め、大事な局面では常に連携をとる関係にあった。内政・外交に強い指導力をもって臨むリーダーであるとともに、"強権的"とは対極で、人の話を真摯に聞いて決断する現実主義者、リアリストであったと常に感じてきた。「全世代型社会保障」が安倍内閣の大きな柱となり、大きく進んだのは、公明党の主張を真正面から捉えてくれた安倍元総理の決断でもあった。内政・外交にわたって非常に本当に多くの仕事をされ、功績は大きい。外交面で80か国以上を訪問し、これだけの存在感を示した方は歴代総理を見てきたが、他にはない。傑出していると思う。心より感謝し、ご冥福をお祈りするものです。

「安倍元総理の遺志を継いで」と、多くの政治家が決意を述べている。201212月、第二次安倍内閣が発足した。その時、安倍元総理と私は、共に「日本再建」を掲げて直前の衆院選挙を戦った。不本意な退陣をした第一次安倍政権の後、地獄を見た日々だったと思う。私も落選をして歯を食いしばっての33か月であった。そして日本は民主党政権で政策は揺れて、八方ふさがりになり、経済は落ち込み、そこに東日本大震災が襲った。日本はこんなものではないと「日本再建」を安倍元総理も私も同じ気持ちであり、もし政治的チャンスを与えて頂ければ、捨て身で戦い、恩返しをしたい。経済も、外交・安全保障も「日本再建」の意思をもって進む――それが安倍政治だと思う。

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経済において、その意思はアベノミクス、三本の矢(大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略)だ。それによってデフレを脱却する。それが株価の上昇、有効求人倍率の増加、地方自治体も含めての税収増、それによって社会保障・子育て支援の拡充等々をもたらしたことは間違いない。残念なことは、念願であったデフレ脱却が、完全に実現する寸前、2019年の消費税上げとこの2年間のコロナ禍によってダメージを受けたことだ。コロナ後の経済に注力した欧米はインフレ抑制に動いているのに、日本は「長期」で「緩やかなデフレ」から完全には脱し得ない。そのために景気・経済に目配りをして、金融を引き締められない状況だ。急激な円安はその金融政策の違いに起因する。安倍元総理の遺志は、経済的には「デフレ脱却」「持続的な経済成長」が大きな柱だと思っている。需要・供給両面にわたる「新しい資本主義」をより具体的に強く進めることだ。更に「デジタル」「グリーン」「イノベーション」への投資を進めるとともに、デフレが需要不足に起因していることを凝視し、積極的に財政政策を拡充・強化する。「物価高騰」と「総需要不足」という難問打開を考えれば、文化・芸術・スポーツ・観光など豊かさをより感じる分野や安全・安心に寄与する健康・医療・介護等の創造的消費や、環境や防災・減災への投資が重要だ。保育・教育などの人への投資も大切だ。

「日本再建」「持続的な経済成長」を語り合った、私の安倍元総理の「遺志」の経済面の決意はそこにある。

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