成功しているリーダーであれば皆、やってしまっていること。その「悪い癖」を直してこそリーダーとして全うできる。できる仕事人間がリーダーとなったときは、「感謝する」「話を聞く」など、チームワークのために、人間関係のために力を相当入れなければならない。
「極度の負けず嫌い」「何かひとこと価値をつけ加えようとする」「善し悪しの判断を下す」「いや、しかし、でも、で文章を始める」「自分がいかに賢いかを話す」「腹を立てているときに話す」「人の話を聞かない」「感謝の気持ちを表さない」――などの20の悪い癖。
「謝罪する」「公表する、宣伝する」「聞くこと」「有難う」というなど、どうすればもっとよくなれるかを示している。
20世紀最高の経営者・ジャック・ウェルチを教えたエグゼクティブ・コーチが教える内容は、いわゆるノウ・ハウ本をはるかに越えた人間学、人間関係学のレベルに達している。教えられるところきわめて大であった。
日本人の人間関係と言葉は独特だ。「暗黙の了解」「以心伝心」「言わぬが花」「沈黙は金」――そうしたなかで培ってきた伝統は、今の時代に生きるのか、すたれているのか。すたれているから人間関係に悩むのか、時代・社会が変化してあわなくなっているから悩むのか。
川北さんは、「人間関係で、言っていい言葉、言わなくていい言葉――日本の伝統をもう一度見なおしたい」「今、若いビジネスマンの間では、ちょっとしたニュアンスの言葉が理解できない」という。
川北さんは62項目を示しているが、マズローの人間の5つの欲求――
(1)生理的欲求
(2)安全の欲求
(3)所属の欲求
(4)自尊の欲求
(5)自己実現欲求
――のうち第4の自尊欲求のレベル、自分が承認されたい、自分の存在価値を認めてほしい(否定されたくない)段階に日本があるという指摘はそのとおりだと思う。
中央集権という後発国的な発展モデルを打破し、新しい「国のかたち」をつくるために、地域主権型道州制を主張する。
前者にある画一的、拘束的、不自由、個性を抑圧して、依存心と甘えを助長するこれまでを打ち破る。そして国、道州、基礎的自治体(15から40万人)の3層でいく。道州で税を徴収して国費分担金として国をまかなう。国民も地域も個人も自らの足で立ち、「自主自立」「自己責任を果たす」「個人の正当な努力が報われる」社会をつくる。地域個性を生み出し、国際社会で生き抜いていく道州拠点をつくる――そういった意欲的主張だ。
たしかに世界は動いている。日本を元気にするために、各車にエンジンのある新幹線型の日本にしないとやっていけない。このまま放置すれば、全国では取り返しのつかない高齢化と元気のない地方ばかりになりかねない。相当の智慧とやる気の人材集団が必要だ。それだけに私は、助走が大事だと思う。
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