日本人の人間関係と言葉は独特だ。「暗黙の了解」「以心伝心」「言わぬが花」「沈黙は金」――そうしたなかで培ってきた伝統は、今の時代に生きるのか、すたれているのか。すたれているから人間関係に悩むのか、時代・社会が変化してあわなくなっているから悩むのか。
川北さんは、「人間関係で、言っていい言葉、言わなくていい言葉――日本の伝統をもう一度見なおしたい」「今、若いビジネスマンの間では、ちょっとしたニュアンスの言葉が理解できない」という。
川北さんは62項目を示しているが、マズローの人間の5つの欲求――
(1)生理的欲求
(2)安全の欲求
(3)所属の欲求
(4)自尊の欲求
(5)自己実現欲求
――のうち第4の自尊欲求のレベル、自分が承認されたい、自分の存在価値を認めてほしい(否定されたくない)段階に日本があるという指摘はそのとおりだと思う。