悪いのは私じゃない症候群.JPG必要以上に「悪いのは私のせい」と自罰的、自責的であった日本が、いつの頃からか、「悪いのは私じゃない」と攻撃的、他罰的に変わってしまった。

モンスターペアレント、モンスターペイシェント、クレーマー、新型うつ、「前世が悪い」のスピリチュアル・ブーム。

先生と呼ばれる者は萎縮し、組織は保身に走る。どうやって経験を積み上げたり、鍛えたり、人間自身を強くするかわからない。

訴訟もふえる。うつ病なのに自責感に乏しく、他罰的で、何かと会社とトラブルを起こす社員。メール、ネット社会はそれに輪をかける。犯人探し、責任転嫁。社会が厳しく、閉塞感が漂い、点数・成果主義が浸透している今、「他罰的でシンプルで、歯切れよくて威勢がいい」がウケる時代となってしまっている。

それが○○バッシングとして噴出し、しかもそれが不平等感、不本意感にもとづく「いびつな小さな正義感」として発散される。他人にだけ道徳的であることを求める人々が激増する。


新参者.jpg日本橋署に来た「新参者」・加賀恭一郎が日本橋・人形町を歩きながら、事件を丁寧に丁寧に、コツコツとコツコツと、粘りに粘りで解決していく。

江戸文化の残る町・人形町は、浅草橋、小伝馬町、浜町をはじめ私が住み、お世話になった人情の町だ。甘酒横町、水天宮、そして人形焼や鯛焼き・・・・・・。

家族、思いやり、優しさ、縁する人の心の通いあいともどかしさ、すれ違い、人情――東野さんの小説はこういうものであったかなあと思った。じつに面白い。


21世紀の歴史.jpg何たるスケール、何たる力業。21世紀の政治・経済を大胆に、世界的規模で予測した書。

市場経済の歴史、中心都市の条件、ブルージュに始まり、ロスアンジェルスに至る1200年から2025年までの9代にわたる中心都市の変遷。そこには東から西へ西へ、そしてニューヨークからロスに行って、次の10代は東京といっていいのに、ジャック・アタリは、東京といわない。

エネルギーの変遷、戦争が自国内でないこと、労働者が(雇用が)不安定でないこと。世界の人材を吸収する力、後背地、周辺地が備わることの必要性などを指摘する。


跡無き工夫.JPG八党連立の細川政権で走り回り、私の50歳の誕生日には時間をとって下さったり、街頭に共に立ったり、政策提言をまとめたりしたことを思い出しながら読んだ。

「離俗の人、離俗の思想」
「心身永閑」
「諸縁放下」
「リーダーは退を好む者であれ」
「無私ゆえの気高さ」
「欲無ければ一切足り、求むる有れば万事窮す」
「知る者は言わず、言う者は知らず(老子)」
「至誠の域はまず慎独」
「教育とは感化なり、濃密な師弟にあり」
「暫時不在 如同死人(白隠)」
「操り人形の吊り糸」
「没蹤跡(もっしょうせき)」――。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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