日本孤立.JPG週刊朝日の連載「船橋洋一の世界ブリーフィング」の最終本。その時々の論評、分析を5年後に本にすることは大変なことだ。よほど確かな眼をもっていること、そしてしっかり人に会って取材し、考えを総合化して自らの主張をもつことなしにはできるものではない。

世界の動きは速い。日本は遅れ、孤立する。とくに中国、そしてインド、ロシア。この間まさに9・11以後の世界の変化と激動のなかであった。そして特徴ある小泉、ブッシュ。私は西部劇政治と呼んだが、別のプレーヤーは、イラク、アフガニスタン、そしてイスラムの世界(中東だけでなく欧州への移動)とイスラム原理主義、さらに北朝鮮だ。

当然、国と国でなく、民族と宗教による抗争がそこにあり、船橋さんは、そのメガトレンドを如実知見しつつ日本の孤立を懸念する。日本は自ら外へ向かい戦略性をもってソフトパワー戦略を見直し、再構築することだ。福田訪米の日米同盟強化策のなかにその視点があることが、知られていないのは残念だが、大いに後押しし進めたいと思っている。


雨宮処凛の「オールニートニッポン」.JPGインターネットラジオ「オールニートニッポン」。

企業は若い人を使い捨てて、空前の好業績。派遣、請負。自由に働く、それはそれでよい。しかし、はい上がれない、超低賃金。正社員の環境も劣悪化。今の社会はそうしたフリーター層が欠かせない。こうしたことを生の言葉で語っている。

ヴォルテールの「希望は絶望の後にある」の言葉は、残る。


火の闇.jpg四つの短編小説。沖縄という因習というか、庶民の原型というか、呪術というか、宗教の原風景がある。ここまで村全体が1つの家族のように一体となっていると、息苦しく、何でもウワサが一瞬のうちに流布してしまうなかで、主張性をもった人間は極端に走らざるを得ないのかもしれない。

人が共同体を形成して生きていくなかで、宗教は不可欠のようだが、それゆえに伝統を打ち破るには狂人のごとき相当の覚悟がいる。

光と闇と祈りと火をテーマにして日常を書くことは、卓越した粘りの力だ。


私の後藤田正晴.JPG57人のつづった後藤田正晴への感謝ともいえる言葉。まさに戦後史そのものだ。日本が国難ともいうべき時、判断の難しい時、即座の判断が求められる時、後藤田さんがいた。後藤田さんという座標軸をもっていたこと、鍛え抜かれた判断力と、それを実行する存在感をもつ人が権力の中枢にいたことは幸せだった。

日中友好会館、日中を中心にお話をさせていただいたが、もっとじっくり話したかったと今も思っている。

「政治は目的実現のために権力を使いこなす。しかし同時に大事なのは国家権力の怖さを知り、権力を細心にして丁寧に慎重に扱うことだ」

「権力者は謙虚であらねばならない。職権は行使するより話し合いを第一に考えることだ」

「国家の基本をゆるがせにするな」――後藤田さんの魅力を次々と本書は示しているが、その魅力を感じる57人もおやっと思う感性を見せてくれている。

昨今の日本の政治家に「政策通はいても政治通がいない」ことが問題だと指摘する人がいたが、「政治家とは」ということを考えさせる一書でもある。


靖国戦後秘史.JPG「A級戦犯を合祀した男」という副題があるとおり、元宮司松平永芳氏を描いている。松平春獄直系の孫で、その尊皇精神の志と、師である皇国史観の平泉澄東京帝大教授とB級戦犯として処刑された岳父醍醐忠重海軍中尉の影響。松永氏自ら自負できるものは「A級戦犯合祀である」とし、「現行憲法の否定と極東軍事裁判の根源をたたく意図のため」といっている。

その前、じつに32年間の宮司・筑波藤磨氏のこと。さらには、「千鳥ヶ淵の攻防」「国家護持法」「祭神に祀り上げられた二人の皇族」など、戦後史のなかでのあまりに生々しい現実が描かれている。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任、公明党前代表。前国土交通大臣、前水循環担当大臣。

現在、衆議院議員、党全国議員団会議議長、東京第12総支部長、首都直下地震対策本部総合本部長、現代中国研究会顧問など。

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