29日、実験線の延伸工事により中断されていた「リニア」の走行試験が再開されました。私も、再開に先立ち、山梨県都留市で開催された出発式に参加し、リニアの試乗も体験してきました。
リニアは 時速500kmを超える速度で走行し、東京・名古屋間を40分程度、東京・大阪間を1時間強で結ぶ夢の超特急。
走行試験では、42.8kmの実験線をわずか9分で駆け抜けました。最高速度は505km、秒速にすると140m。試乗後の会見で、「スピード感は感じるが不快ではない。音が静かになったということだが会話も普通にできた。通常の新幹線に乗っている感覚とそれほど変わりなく、振動も若干感じる程度だった」「世界最高水準の技術が出せることは誇るべきこと」と感想を述べました。
リニアの開発は、今を遡ること約50年前、昭和37年より開始されました。以来、多くの関係者のご努力と情熱が注ぎ込まれ、実用化まであと一歩のところまで来ています。まさに、世界に類を見ない、我が国独自の高速鉄道技術です。実用化すれば、我が国の鉄道技術水準の高さを、改めて世界に示すことになります。かつての東海道新幹線がそうだったように、多くの国民の方々に「技術大国日本」の象徴として、誇りと将来への大きな希望を与えることができると思います。
また、これができれば(2027年の完成目標)、三大都市圏間の人の流れを劇的に変え、国民生活や経済活動にも非常に大きなインパクトをもたらすことになります。さらに、リダンダンシーの強化が図られ、防災面でも重要です。
リニアは次代に向け、安全と安心と夢と希望を乗せ走行します。乗り越えるべき課題はまだまだありますが、一日でも早い実用化を期待します。
頑張ります。
8月26日、東京都の三宅島と新島を視察しました。南海トラフ巨大地震が発生した場合、静岡県から高知県に至る各地域に30mにも及ぶ津波が襲来するため、その対応を急いでいますが、反対の海側にある離島の津波対策も重要です。その観点に立って、両島で村長さんをはじめ関係者と打ち合わせをしました。
火山島である三宅島は、数十年に一度の割合で大規模な噴火を繰り返しています。2000年の大噴火の際、私は現地へ行って対応。全島避難の方々と同じ船で帰ってきた経験があります。今年に入って何回か地震があり、心配していましたが、現在は落ち着いています。櫻田昭正村長から、「多くの砂防堰堤が建設されたことが、最も島民の安心につながっています」とのお話がありました。津波(三宅島では最大17m)への対応という視点も加えて打ち合わせを行いました。
その後、新島に移動。新島は、南海トラフ巨大地震が起これば最大約30mの津波に襲われると想定されている島。しかも、人口約2300人のほとんどが低地部に住んでいる上に、夏のシーズンにはサーフィンや海水浴に多くの観光客が訪れるため、いかに避難を的確に行うかが課題です。出川長芳村長からは、標高と避難ルートを記した「津波避難マップ」を各戸や
民宿に配布している取り組みの紹介がありました。また、高齢者の避難や津波情報の迅速な伝達などの課題が提起されました。
また、三宅島でも新島でも、発電所が海岸沿いにあるため、高台への移転や発電車の配備も課題です。
南海トラフ巨大地震対策に万全を期すために、有意義な視察ができました。さらに頑張ります。
この夏は、集中豪雨による水害の一方で、渇水が深刻になっています。7月後半から渇水対策に取り組んできましたが、8月22日、国土交通省の渇水対策本部会議を開催しました。
特に関東の利根川水系や四国の吉野川水系では雨が少ない状況が続いており、全国の9水系で取水制限が行われるなど厳しい状況です。21日には東京でもゲリラ豪雨があり、利根川上流や四国の山間部でも局地的に雨が降りましたが、ダムの貯水率は回復どころか減少傾向が続いています。
22日現在、利根川上流の8ダムの貯水率は46.1%で平年の約6割、吉野川水系の早明浦(さめうら)ダムに至っては貯水率は26.9%と平年の約3割。今後まとまった雨が降らなければ、早明浦ダムでは水道用水、農業・工業用水のための利水貯水率がゼロになる可能性もあり、発電用水などの緊急的な活用も考えなければならない事態です。
水は国民生活や農業・工業などの産業になくてはならない貴重な資源。国民生活への影響が最小限となるよう、全国の渇水状況を注視しながら迅速な対策に万全を期すように指示をしました。
また、22日には、南海トラフ巨大地震への対策計画について中間とりまとめも行いました。地震と津波による被害に対し、あくまで現場に基づいた具体的なリスクを共有し、時系列での行動計画を整理しました。国土交通省は国土の安全保障を担う組織。徹底した現場主義に立って、総力を挙げて対策を充実していくようにします。
9月1日は防災の日。また、これから台風シーズンを迎えます。万全の備えができるよう、引き続き緊張感をもって取り組みます。
8月10日からミャンマー、シンガポールを訪問し、昨日14日早朝に帰国しました。
世界の投資が殺到するミャンマー。この2年間の激変のミャンマー。そして民主化と経済改革を掲げて突き進むミャンマーで、テイン・セイン大統領をはじめ各閣僚と連続して会談を行いました。また、東京23区と同じ位の国土面積に、金融・経済・流通の世界のハブとしての地位を確立し、更なる発展をめざすシンガポールを訪問。閣僚との会談、大規模な港湾建設や統合型リゾートのマリーナベイサンズの視察を行いました。
強行軍でしたが、日本が両国としっかり連携して共に発展していけるよう、中身の濃い訪問ができたと思います。
ミャンマーでは、まず現場の状況把握が大切だと思い、大規模開発が進むティラワ港や日本では想像もできないような古い環状鉄道やフェリー、橋梁などを視察し、会談に臨みました。テイン・セイン大統領のほか、タン・テー鉄道運輸大臣、ニャン・トゥン・アウン運輸大臣、チョウ・ルイン建設大臣、テー・アウン ホテル観光大臣と連続的に会談しました。また、2008年のサイクロン・ナルギスで約14万人もの死者・行方不明者を出したミャンマーは、防災に真剣です。そこで、ニャン・トゥン・アウン運輸大臣、ミャッ・ミャッ・オン・キン社会福祉救済復興大臣、キン・ゾー農業灌漑副大臣との間で防災担当大臣会議を開催しました。とくに気象予報体制が遅れており、日本の支援に対する期待を強く感じました。
会談では、①鉄道近代化への支援表明②ティラワ港の整備・運営へのわが国企業参加に関する協議③航空分野における協力に関する協議――などを行い、ミャンマーとの協力関係の強化を図りました。また、防災協働対話の枠組み構築に向けた共同声明を防災担当大臣連名で出しました。
テイン・セイン大統領とは、これらの事項を含め幅広い両国間の協力について意見を交換しました。大統領は、わが国の支援にとても感謝しており、とくにインフラ整備や防災システムの構築への協力を求められました。
8月7日、8日の二日間、「子ども霞が関見学デー」が行われ、夏休み中の多くの子どもたちが国土交通省を訪れました。さまざまな展示・紹介のコーナーを設け、そのなかで「国土交通大臣とお話ししよう」という場を開催。8日の昼、国土交通省の大臣室に18人の小中学生とその保護者の方をお招きして懇談しました。
大臣室の窓から見える国会議事堂、最高裁判所、総理官邸などを説明し、陸海空に幅広く関わる国土交通省の仕事内容を子どもたちに説明。「質問がありますか」と聞くと、子どもたちから次々と手が挙がりました。
「子どもの頃に好きだった本は何ですか」「好きなスポーツは何ですか」といったことから、「災害が起こったときに国土交通省はどう対応するのですか」「東北の復興のために必要なことは何ですか」「国土交通大臣になってよかったことは何ですか」「鉄道が好きですが、今後鉄道は増えていきますか」「鉄道貨物は将来どうなりますか」まで、質問は多岐にわたりました。
鉄道や航空、道路、災害など国土交通省の仕事は子どもたちにも身近な分野のようです。純粋で何でも興味をもつ年代。社会や行政について関心を深めてもらういい機会になったと思います。
明るく元気な子どもたちとの楽しいふれあいができました。