おひとりさまの老後.jpg長寿の時代。誰でも皆、最後はひとりになる。「家族にみとられないと孤独死でこわい」というが、違うのではないか。今の社会"家族"する期間の方が短くなっており、とくに女性はひとりになる。そのためには、ひとり暮らしのノウハウを準備しておこうと上野さんはいう。
「不安とは、おそれの対象がなにか、よくわからないときに起きる感情だ」「ニーチェは"見捨てられていることと、孤独とは別のことだ"というが、"孤独死"のほとんどは、孤独とは無関係の短時間の死。

むしろ孤独死か自分の理想の死と、東京監察医の小島原将直さんが講演している」など、ひとりの側、死にゆく側からものをながめ、智慧をはぐくむことを示している。

「後家楽を楽しむ」「"いっしょに暮らそう"は悪魔のささやき」「"ひとりでおさびしいでしょう"は大きなお世話」「家で暮らしたいと家族で暮らしたいは違う」「都会に住むか、地方で暮らすか」「いっしょにごはんを食べる相手はいる?」「老後とカネ、老にガネを生かす」「家族に頼らない・頼れない老後のためにできた介護保険」「ピン・ピン・コロリ主義や予防重視は、いかに介護を受ける状態を避けるか、規格はずれの異物を排除しようとする人間の品質管理思想」「介護される側の心得」など、母のことを思いながら読んだ。


欲望する脳.jpg「七十にして心の欲する所に従って矩(のり)を踰(こ)えず」――論語の中の孔子の言葉である。
人は皆、欲望に突き動かされて生きている。欲望には正(善)のものも、怒りや憎しみといった負の感情もある。
欲望のままに生きて規範を破らない、というのはどういうことであろうか――これを脳科学から述べている。
孔子に負の感情がなかったはずはない。年とともに正・負の感情が萎えてしまったわけでもないだろう。


むしろ凡人と同じように、立ち上がってくる心の中のさまざまな負の感情を、ポジティブに転換していく?魂の錬金術?のようなものを獲得したということではないか。そう茂木さんはいう。
脳の中で負や正は相対的という。好きキライも倒錯する。子供の時のビールは苦くてキライでも大人になると好きになる、といったのがそれだ。そういう負から正へのダイナミクスが脳の中にあるという。人生、ポジティブに生きよう、などといわれる。しかしポジティブにばかりなっていられないのが人生でもある。

ポジティブかネガティブかと、対立して捉えるのが正しいのではない。「肯定的な感情は、否定的な感情があるからこそ健全に育まれる」というのが茂木さんの考え方だ。それが脳だという。

泥の栄養をたっぷり吸って咲く蓮の花が美しいように、孔子の「七十従心」とは、怒りや哀しみもすべて引き受ける、あまりにも人間的な生の中から生まれた境地なのかもしれない。


3年で辞めた若者はどこへ行ったのか.jpg昭和的価値観が20項目列記されている。その昭和的価値観に、皆とらわているが、時代は変わっており、若者に平成的価値観をもって生きよと呼びかけている。そのキーワードは多様化。
人の生き方は違う。競争してバリバリ働くことを望む人もおり、かたやボチボチ働いて、そこそこの暮らしを楽しむ人もよし。しかし、少なくとも、現在の日本社会が、若者にとって苦しいものとなっている(それは前著の「若者はなぜ3年で辞めるのか?」で明らか)ことは事実だ。

その雇用の最大の問題は、非正規雇用などが、既得権益をもつ先行世代によって、企業の生き残りということから若者などにシワ寄せされるということにある。しかもそれは野党などのうらみ節、単純な切り文ではなく、新たな成長を生むシステムへどう切り替えていくかという視点に立てと城さんはいう。

学歴偏重、大企業、終身雇用の一本線の昭和的価値から多様な生き方の平成的価値観へと社会が変わっていることをしっかり見すえ、21世紀の新しい日本の成長と成熟と改革を成しとげることをスタートせよと城さんは指摘している。

現状維持では日本の、そして若者の、未来はない。


貧困大国アメリカ.jpg新自由主義政策、経済重視型の民主主義、市場原理主義。
こうした米国の政策が、中流を急速度に貧困層へ転落させ、貧困層を最貧困層へ突き落としていく。
それらを、「貧困が肥満国民を生む」「民営化の極端な進展が、FEMAまでもつぶし(格下げ)、ハリケーン・カトリーナのニューオリンズの悲劇を生む」

「学校の民営化(チャータースクール)は立派な先進モデルではない」「病気になれば、たちまち貧困層に転落する世界一高い医療費、そして日帰り出産妊婦や医療過誤の多発」「戦争が派遣ビジネスとなっており、日本人も米州兵となっていること」「その徴兵自体が貧困層や貧困高校生、カード地獄に陥った学生たちをターゲットにしていること」などのルポを通じて明らかにしている。

読む時にずっと、日本のことを考えながら読んだ。


政治と秋刀魚.jpg日本と暮らして45年、この本には日本を愛し、日本を心配してくれているカーティス先生の温かい心があふれている。ごく自然に、そして良識をもって、現場から、そして、日本を米や世界から客観視しているカーティス先生は、95年から2015年までが日本を変える最重要の「20年のデケード」であり、今の日本は自信を失いすぎている。日本文化には粘り強さと日本人の順応性と対応能力があり、ダイナミズムがあるんだから、良い方向にもっていけるとエールを送ってくれている。

そのためには「有権者を説得する『説得する政治』が大事」「非タテ社会の様相が強まり、自慢したり、カネを重視したりする人が多くなり、謙虚な美徳がこわれ始めている」「平等社会から競争社会、実力主義社会となる大きな変化があり、公平の価値が重要となる」「しかし、日本はまだ勤勉であり、前向きという強さがある」「日本社会は今も美しい」「今、日本政治のなかにあった政治家と官僚、官邸と自民党、自民党と野党の間の"非公式な調整メカニズム"がこわれてきた。

働かなくなっている」「マナーからルールへ」「政策通より政治通に」――公明党についても、そうしたことをチェックし、バランスをとり、政策をうながす役割を期待していると感じた。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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