我が国の安全保障には日米安保があり、日米同盟は重要だ。しかし日本には戦略がない。米には戦略がある。そう指摘している。
1990年代から、米国の安全保障戦略は変化し、共和党か、民主党かを越えて一貫した流れにある。中東は重視され、イラン、イラク、北朝鮮は「悪の枢軸」であり、大きな戦略性のなかで、北朝鮮政策も動き、2005年10月29日の「日米同盟:未来のための変革と再編」は、従来の日米安保条約とは違う。
米国の新戦略と日米関係の変化を日本は冷静に見ているのか、戦略がないではないか、それでいいのか、と孫崎さんは問いかける。
オバマ政権のとる姿勢、イラク戦争とは何であったか、アフガニスタンをどうとらえるのか――。じつに丁寧に、じつに丹念に、文書をガッチリ読んで組み立てる力業は驚くほどだが、整理され、思考頭脳を生じさせてくれる。
いよいよ裁判員制度がスタートする。司法制度改革の大改革のなかで実現した裁判員制度は、「司法に国民的支持、国民的基盤の拡充を」「専門家である裁判官と素人である裁判員との協働によって刑事裁判を行うもの」「市民が法(正義)の担い手になる」「日本の民主主義の向上、成熟の試金石」である。
司法制度改革は、専門家に任せてきた裁判に国民が参加するものであり、官主導、「公」のことは国任せ、お上任せという風潮を変えることになる。
国民自らが司法にも、政治にも重い責任を負う、担うという思考への転換だ。あわせて、国民1人1人からみれば、この事件をどう見るか、を冷静に考えることになる。テレビでも「行列のできる法律相談所」をはじめ、そうした思考はかなり学んできているのではないか。
要するに人間学の書である。
監督には4つの敵がいる――選手、オーナー、ファンだ(三原脩さんがいった)という。そして野村さんは(監督も選手も)一番困ったのはメディアだという。
今、監督は、軽く、安っぽくなったと野村さんはいうが、それはどの世界もだろう。信頼、人望、貫禄・威厳、判断力、決断力・・・・・・。そう簡単ではない。
「ピッチャーは監督に向かない」「(北京五輪など)お友だち内閣は失敗する」
「選手を動かす6つのファクター――恐怖で動かす、強制して動かす、理解して動かす、情感で動かす、報酬で動かす、自主的に動かす」
結論として、川上哲治さんは6つとももっていたが、「九連覇を支えたのは川上さんの人間教育――野球人である前にひとりの人間であることを厳しく説いたから」「人を遺してこそ名監督である」――だから川上さんは偉大だと野村さんはいう。