20110412-book.JPG  トルストイに初めて会った日本人。ただ一人、その葬儀にも参加した日本人。トルストイと語らい、中国の老子を共訳し、「老子道徳経」を著した小西増太郎 が、トルストイ没後25周年の追悼として1936年に書き上げたのが「トルストイを語る」だ。この著作を昨年2010年、トルストイ没後百年記念出版とし て再編版したのが本書だ。

  実に面白い。トルストイの貫禄、人格、感情、その息づかいが小西増太郎によって生々しく描かれている。美文家トルストイが、哲学・思想・宗教家として前人未到の境地への進み、妥協を許さず生きていく様が巨大な巌となって迫ってくる。すさまじい緊張感が伝わってくる。
 「近 頃、日本がしきりに欧米文化の粕をあさっているのを知って、あまりいい気持ちがしない。古い古い二千年の歴史ある日本の文明をふり棄てて、欧米の文明をと り入れようとするのは、その取捨によほど注意を要します。・・・・・・」「キリスト以前にキリストなくキリスト以後にキリストはない。他の賢人、賢者の教 えには見ることのできない感化力が強く、実現力に富んでいて、私たちを霊的に更生させる」「孔子は中庸主義の政治哲学者であったから、いつも世と共に上下 されたが、老子は純粋な哲学者であったから、政治なんかは眼中になかった」「老子ともあろうものが、『巳むを得ずして・・・・・・』などとはいう道理がな い。考えられない・・・・・・。そうした手ぬるいことでは、目的は達成できない」・・・・・・・。とにかく本書の行間にもトルストイ思想は息づいている。 家出についても、小西の見解が示される。アレキサンドラ嬢もすごい。


20110401-book.JPG 連続TVドラマ第1回を観て、思わず一気に読んだ。「新参者」など東野さんの最近の作品は、人情味や柔らかさがにじみ出ているが、10年程前のこの作品 は、ゴツゴツして力技(ちからわざ)を感じる。若かったからかもしれない。「暗い夜の中にこそ、お互いが本性をさらけだしたはずだ。しかし彼女のほうは誰 にも本当の顔を見せていなかったことになる。俺が彼女と過ごした夜は、全部幻だったのか」――それが幻夜。謎の正体不明の悪女新海美冬と、翻弄される水原 雅也たち。阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件を背景として描かれている。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

太田あきひろホームページへ

カテゴリ一覧

最新記事一覧

月別アーカイブ

上へ