事件の影響力が他に比べて格段に大きく、しかも大きさだけでなくその影響力が歴史のなかに影を落としているという事件を七つ。そしてその核となっている人 物。日本にその都度巻き起こる世論の激高。赤穂浪士に象徴される「動機至純論」。生まれる事件は時代とかけ離れたものではなく、しかも事件によってその空 気がふくれあがり、空気を固め、新たな空気をつくり出す。保阪さんは、昭和の七大事件の因と果を端的に示す。見事だ。
事件と人物を並べると「5・
15事件(橘孝三郎)」「2・26事件(磯部浅一)」「太平洋戦争と"誤謬の東條首相"と閣僚」「占領初期の大事件・日本国憲法制定(天皇の位置づけと9
条における官僚)」「60年安保(樺美智子)」「三島事件」「ロッキード事件(田中角栄)」――いずれも時代を画す影響力を及ぼした事象・人物だ。
政治経済の閉塞感、日本沈没の不安のなかで起きた今回の東日本大震災。人為の事件ではないが、人々の意識は相当変化している。文明自体に、人の生老病死に、哲学的・宗教的に。
政治経済の閉塞感、日本沈没の不安のなかで起きた今回の東日本大震災。人為の事件ではないが、人々の意識は相当変化している。文明自体に、人の生老病死に、哲学的・宗教的に。