yoshinori.jpg「あなたは、なぜ大阪城から、独り逃げたのか」――。鳥羽伏見の戦いで壮絶・過酷な目にあった元旗本で彰義隊にも加わった土肥庄次郎は、静岡で蟄居する慶喜に怒りをもち、暗殺を企てる。時は版籍奉還前後の明治初頭。政情は定まらず、静岡には江戸から流入する武士や食い扶持を探す人、ひと儲けをもくろむ商人・・・・・・、いずれも時代の激動にさらされ翻弄されて混乱の極みにあった。鳥羽伏見の戦いで生死不明になった友・白戸利一郎と妻の奈緒、慶喜を守ろうとする剣豪・榊原鍵吉、暗殺された坂本竜馬の仇を討とうとする者たちが交差する。また大谷内龍五郎、桐野利秋、西郷隆盛、勝海舟、松浦武四郎、唐人お吉、清水の次郎長、渋沢栄一、榎本武揚などが現われ、接触・交流する。「武士道を貫く」「人は何のために生きるのか」「恨みを晴らすとは何のためなのか」と、急変した日本社会の中で葛藤し、翻弄される姿が浮き彫りにされる。ダイナミックにそれぞれの人の生き様を描いていく。

「だが、口から出たのは、己にさえ信じられぬ言葉だった。『上様』・・・・・・一体なんだ、これは――」「あなたは、なぜ大阪城から、独り逃げたのか」「そういうものである。慶喜は小さく明確に言った」・・・・・・。「君、君たらずとも、臣、臣たるべし」と武士道を貫こうとした者もいるなかでの慶喜の言葉。それに対峙した庄次郎の反骨精神が、幇間の松廼家露八となっていく。凄まじい世界を垣間見る。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

太田あきひろホームページへ

カテゴリ一覧

最新記事一覧

月別アーカイブ

上へ