又吉直樹と絵本作家のヨシタケシンスケによる、世にも不思議な本の物語。童話のようでもあり、中身は辛辣な比喩の物語でもあり、泣き笑いも、それぞれにオチがついて、こんな発想があるのかと「本を探す旅」に連れていかれる。本の大好きな王様がいて、もう年寄りで目が見えなくなってきている。「目が悪くなり、もう本を読むことができない。でもわしは本が好きだ。お前たち、世界中をまわって『めずらしい本』について知っている者を探し出し、その本についての話を聞いてきて、わしに教えてほしいのだ」・・・・・・。旅に出たニ人の男はたくさんの本を持ち帰る。
そして王様に毎夜にわたって世にも不思議な物語を語るのだ。よくもこんなに不思議な話が作れるものだと感心する。「第7夜」は、他に比べて長いが、絵本作家になりたいと願う少年・少女のやりとりが、なんとも切なく、また爽やかに心に迫ってくる。全体を通じて「本っていいな」と思わせる。