今年、中曽根元首相や緒方貞子さん、堺屋太一さん、金田正一さんなどが亡くなりました。いずれも話をしたことのある人たちでした。
10年ほど前のこと。JICA理事長であった緒方さんと自民党の二階・大島両氏と懇談をしました。懇談が終わって別れ際に、緒方さんがポツリと「いろいろな国を訪ねました。難民キャンプも日常生活自体が大変な国も。でも子供たちや若者の目は輝いていましたよ。日本よりも。太田さん、もう少し日本を勢いのある国にしてくれませんかね」とつぶやきました。それが緒方さんと交した最後の言葉となりました。その言葉が強く心に残った私は、それ以後、「安全・安心の勢いのある国づくり」を掲げて政治活動をするようになりました。「勢いのある国」は私にとって緒方さんの遺言です。
「太陽の党・公明党」「庶民の党・公明党」「政治は結果。仕事をするのが政治家の役割り」を胸に「安全・安心の勢いのある国づくり」めざし、2020年代に進みます。
今年の「私の3冊」が23日付の公明新聞に掲載されました。
私は以下の3冊をあげました。意を尽くすため若干加えて掲載します。
●「レオナルド・ダ・ヴィンチ(上・下)」
ウォルター・アイザックソン 著 土方奈美 訳 文芸春秋 各2200円
●「日本史に学ぶマネーの論理」
飯田泰之 著 PHP研究所 1600円
●「八本目の槍」
今村翔吾 著 新潮社 1800円
今年はレオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年――。遺された「記録魔ダ・ヴィンチ」の全7200枚の自筆ノートを基にして、ウォルター・アイザックソンが挑んだ力作が「レオナルド・ダ・ヴィンチ」だ。レオナルドが画家としてだけでなく、建築、数学、解剖学、動植物学、光学、天文学、物理学、水力工学等々に、とてつもない業績を残したことは名高い。しかし、「レオナルドを安易に天才と呼ぶべきではない」という。旺盛な好奇心を原動力に、果てしない驚きと向き合い、全方位・全分野を論理的・実証的に探究し続けた創造的人間であったことを描く。哲学不在、人間としての深さが欠落する現代。森羅万象、宇宙と人間の本質に迫り続けたレオナルドの人物に接する意味は大きい。
いよいよ人口減少・少子高齢化の大きな坂にさしかかる。人生100年時代、社会保障を考えるにしても、「経済」「財政」を考えなければならない。加えて「金融」「電子・暗号通貨の流通」「キャッシュレス化」が話題となる新時代。飯田泰之氏の「日本史に学ぶマネーの論理」は、あらためて経済・財政の基となる「貨幣とは何か」を問い直す。しかもそれを歴史から経済的な知見を導き検証する。政府発行の貨幣の強みは「納税に使えること」であり、政府発行益を手にできるのだが、「政府負債、名目貨幣、循環論法」の3つを重要な要素として示す。現在の「経済」「金融・財政政策」「仮想通貨」の本質を突いている。
「八本目の槍」(今村翔吾)は、「石田三成の魅力と凄さ」「関ケ原で秀吉の小姓衆はなぜ敵味方に分かれたか」の謎を解き明かす。本能寺の変の後の天正11年(1583年)4月、羽柴秀吉が柴田勝家と雌雄を決した賤ヶ岳の戦い。華々しい活躍をした秀吉の小姓衆の殊勲者7人は、「賤ヶ岳7本槍」と呼ばれるようになった。加藤虎之助、福島市松、脇坂甚内らであり、もう一人、同年代の小姓衆の仲間に桁違いの知力をもち、秀吉の信を得た男がいた。石田佐吉である。1600年の関ケ原、賤ヶ岳7本槍は東軍・西軍に分かれて戦う。しかしこの7人の胸中には「豊臣家」があり、「厳しいことも言い争うことができた8人の仲間」があり、とりわけ「佐吉の言っていたことの深さと情、眩しいほどの生き方を曲げない姿勢」が心の芯にあったのだった。
ついに国立競技場が竣工――。東京オリンピックまで222日となった15日(日)、国立競技場の竣工式が行われました。
国立競技場は、2020年東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアム。当初の案が変更されるなど、様々な苦労のあった末の完成です。
2015年に再建を期して行われた関係閣僚会議には、当時、国土交通大臣であった私も加わり、スポーツ関係者からのヒアリングなど検討を行い、整備計画を決定。工事期間3年をかけてついに完成したものです。建築面積は旧競技場の約2倍の約69000㎡、地上5階、地下2階。屋根などに47都道府県すべての木材が使われており、木と緑にあふれた感動的な「杜(もり)のスタジアム」となりました。
祝賀会が行われた部屋も紙の障子が大きく扱われ圧巻でした。グラウンドは大変美しく、観客席はあたかも人が座っているように様々な色が施されており、人間味が感じられるものとなっていました。
関係した方々と祝賀会で懇談をしました。来年の東京オリ・パラは興奮と感動の舞台となることが期待されます。