20110428-book.JPG  高橋源一郎さんの「さようなら、ギャングたち」は1981年だというから、もう30年。注目していた。内田樹さんは、「下流志向」「街場の教育論」「日本辺境論」から「街場のメディア論」まで、かなり読んできた。

  この対談はその時、その時の政治と日本社会の心象風景を、それこそコロキアルな言語で語っている。右肩上がりの時代を生きて、頑張る我々。
し かし、「縮んでいく日本」「静かな日本」「人口の減る日本」「縮みながらも文化的に暮らせて、自尊感情が維持できて、国際社会の中でできる範囲で立派な役 割を果たせる国になれれば、それで上等じゃない? なのに、相変わらず"右肩上がり"だ」――世界に先駆けて、日本が示せるものを、情理を尽くして熱く語る政治家が望まれている、と言う。


20110426-book.JPG  昨年12月発刊の書。河田さんは復興構想会議のメンバー。活躍が更に期待されるが、京大土木の1学年後輩にあたるようだ。東日本大震災に襲われ、首都直下、東海・東南海・南海地震に備えなければならない今、「津波」を余すところなく語る本書は必読。

  50cmの津波でも0.3トン強の力で人は転倒する。発生の規模・場所(波源域)、受ける地域によっても異なるが、津波は何波も続き、反射もあり、6時間 は要注意。今回のように第二波、第三波が大きいとも限らない。固有周期、共振もある。「津波と高潮と高波は違う」「遠地津波と近地津波がある」「水深が浅 くなると津波が大きくなる浅水変形が起きる」「情報があってなぜ避難行動に結びつかないか」「東京に津波が来たら――地震と津波と液状化と石油タンク破損 による火災・有毒ガスと各流入河川での橋脚等落下」「安全優先の津波防災施設・装置のみでなく、活気ある町・企業活動・経済基盤強化への復興計画を」―― 等々。やさしく解説してくれる。
「減災社会を築く」「避難すれば助かる」「それには津波の知識の絶対量を増やす」という河田さんの思いが伝わってくる。


20110420-book.JPG 「どこに何があり、何をしているのか」と副題にある。そして原発ばかりが原子力施設ではない!と指摘し、原発から加工・再処理施設、研究炉に至るまで、全てを網羅。原子力の歴史、全データ、全貌を示してくれている。

  「事故は"わき"で起きる」とし、どうしても設計者や運転者の関心は、炉心等危険度の高い所に注がれがちだが、"傍流"施設や炉心から遠い二次冷却系と か、JOC東海事業所は施設自体が"わき"といえるもので、警告を発している。また「原子力開発や推進の原子力委員会やエネルギー庁と、安全規制の原子力 安全委員会や原子力安全・保安院の緊張感が外部から見てとれない」などと指摘している。また、一般の人々にも課題があるとして、風評被害を例に上げる。 「原子力のごく一般的な基礎知識があれば、風評被害の大半は無くなる」という。2001年9月の発刊で、今回の福島第一原発事故を受けて出されている


20110419-book.JPG東日本大震災における東電福島第一原発事故――。緊急停止時における3つの命綱。それは(1)制御棒(2)緊急炉心冷却装置(3)非常用ディーゼル発電機 だが、(3)が稼動せず、冷却系統が機能しない。この重大な事態は、文明自体を、エネルギー政策全体を、更には科学技術と哲学、人生とは、生老病死とはと いう実存的な問いかけを発している。

著者は、いたずらに恐怖心を抱くのではなく、基本的な知識を身につけ、情報を冷静に判断せよという。きわめてわかりやすく、具体的に語っている。


20110415-book.JPG  事件の影響力が他に比べて格段に大きく、しかも大きさだけでなくその影響力が歴史のなかに影を落としているという事件を七つ。そしてその核となっている人 物。日本にその都度巻き起こる世論の激高。赤穂浪士に象徴される「動機至純論」。生まれる事件は時代とかけ離れたものではなく、しかも事件によってその空 気がふくれあがり、空気を固め、新たな空気をつくり出す。保阪さんは、昭和の七大事件の因と果を端的に示す。見事だ。

事件と人物を並べると「5・ 15事件(橘孝三郎)」「2・26事件(磯部浅一)」「太平洋戦争と"誤謬の東條首相"と閣僚」「占領初期の大事件・日本国憲法制定(天皇の位置づけと9 条における官僚)」「60年安保(樺美智子)」「三島事件」「ロッキード事件(田中角栄)」――いずれも時代を画す影響力を及ぼした事象・人物だ。
  政治経済の閉塞感、日本沈没の不安のなかで起きた今回の東日本大震災。人為の事件ではないが、人々の意識は相当変化している。文明自体に、人の生老病死に、哲学的・宗教的に。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任、公明党前代表。前国土交通大臣、前水循環担当大臣。

現在、衆議院議員、党全国議員団会議議長、東京第12総支部長、首都直下地震対策本部総合本部長、現代中国研究会顧問など。

太田あきひろホームページへ

カテゴリ一覧

最新記事一覧

私の読書録アーカイブ

上へ