20121030サイバー・テロ  日米VS.中国.jpgアメリカのワシントンDCに国際スパイ博物館があり、オバマ大統領の演説が引用されている。「テロ行為は、自殺ベストを着たほんの少しの過激派からだけではなく、コンピュータのボードをほんの数回叩くことからもやってくる。これは大量破壊兵器だ」――。

アメリカの「四年毎の国防計画の見直し(QDR)」は、陸、海、空、宇宙に続いて、サイバースペースは第五の戦闘空間になっているとし、宇宙とサイバースペースは「グローバル・コモンズ」であり、それを守らなくてはならないと提言されているという。

しかし、土屋さんは陸などの4つは「自然空間」だが、サイバースペースは「人工空間」であり、情報通信端末、情報通信ネットワーク、記憶装置が相互に接続されているに過ぎず、それぞれには所有者がおり、実はきわめて脆弱な基盤に立脚していると指摘している。

2007年のエストニアへのサイバー攻撃、同年、イスラエルがシリアの防空網を電子的に不能にした後に砂漠の中の秘密設備を爆撃したと思われる事件、2007年7月の米韓への攻撃、2011年にイランが米最新鋭ステルス無人機を撃墜(不時着)させたといわれる事件、そして日本の昨年の衆議院のサーバーに不正侵入が行われてパスワードが盗まれた事件。今年の7月、財務省のコンピュータ約120台が長期にウイルスに感染したことや、昨今の「犯行予告メール」事件・・・・・・。不安を煽ることは良いことではないが、さまざまな規模で"サイバー戦争"が行われる潜在的な脅威を看過することができない。

サイバーセキュリティ(情報セキュリティ)は国際的重要課題となっているし、重要インフラの情報セキュリティ対策の加速、司令塔NISCとインテリジェンス機関の役割拡大は急務だ。


20121026盛衰.jpg世界から賞賛と羨望を集めた「ジャパンシステム」が、その後進化せず、逆にいまや日本の桎梏となっている。世界がこの半世紀、情報化、グローバル化、環境制約の激化、人口爆発などのメガトレンド、さらには世界経済の大変動、不安定化にさらされるなか、日本では少子高齢化、人口収縮、デフレ、財政難が加速している。島田さんは「これだけの巨大潮流変化のなかで、自らのシステムを進化させなければ、衰退するのは当たり前だ」という。そして「覚悟を決めて、新たな仕組みに変革していけば、日本にはまだまだ大きな可能性と潜在力はある」と具体的提言をしている。

「安心の基本は年金」「雇用慣行と労働政策の大転換を」「新しいエネルギーミックスの考え方」「新時代の国際立国と対日投資を促進させよ」「戦略農業への大転換」「医療を強力な成長産業に」「求められる新たな住宅思想と住宅政策」「日本観光の問題点と可能性」――。時の政府の真ん中で日本の閉塞を打ち破り未来を切り拓く推進役となってきた島田さんだけに、未来性ある具体策が提示されている。進める政治の力こそ本当に大切。


20121023おもかげ復元師.jpg言葉を失うほどだ。笹原さんは映画「おくりびと」でも知られる納棺師。故人がどんな状態であったとしても、生前と同じ表情、できるだけ微笑をたたえる顔にする「復元納棺師」。3.11東日本大震災のあとは、それこそ不眠不休で復元ボランティアで安置所を回って頑張り抜いた。想像を絶する世界、想像を絶する戦いだったと思う。

死は人に悲しみをもたらすだけでなく、人をやさしくする。受け容れ難い死を受容してはじめて泣くことができる。そして「ありがとう」という言葉や「こっちも頑張るからね」という言葉、笑いまで出るところまで、笹原さんは心を込め、故人と対話し、家族の思いを引き出す。本当に「有難う」「ご苦労さま」としか言葉が出ない。


20121023おもかげ絵日記.jpg東日本大震災で300人以上のご遺体をボランティアで復元した笹原さんが描いた絵と言葉。身元不明......3才。法律があって復元できない。そこからこの戦いは始まっている。悲しみを、苦しみを少しでも少なくし、生きる希望へと復元していく、ギリギリの心と戦いが、シンプルな言葉と絵ににじみ、あふれる。

実際のスケッチブックが、本書。


20121019ことばと文字と文章と.jpg「文字がはいってきたころ」「呉音と漢音」「医術用語などは呉音」「なぜ同音の字が多いのか」「万葉仮名」「かなもじの発生」「ことばと文字と文章」――意識にのぼってこなかった「ことばと文字と文章」を解いてくれる。唸ってしまうほどだ。

「女の学校」では、若い娘が島を出る、家を出ての長い旅の習慣が出てくる。宮本常一の「忘れられた日本人」にも描かれる世界だが、背景として渡辺京二の「逝きし世の面影」にふれている。

「平田篤胤と片山松斎」では平田の「霊の真柱」について「この本は実にばかばかしいものである」「日本尊しの狂信」とし戦時教育において行われた「日本は神の国である」などの源流を解き明かしてくれる。

「ラバウルの戦犯裁判」では、戦後裁判がアジア各地で行われ、いかに戦後が苦しみのなかにあったか、丁寧に調べて、息苦しいほどだ。

「閔妃殺害」は1895年、まさに日清戦争の時だが「日本・朝鮮・清・ロシア」の支配の背景を抉りだしている。

「昭和十年代外地の日本語教育」も侵略と統治を考えさせられた。日本(人)は、どうもイデオロギー、思い込み、思考停止、に走ってしまう。一つ一つ現場を、文献等を、そして聞き、歩いて、積み上げて、物事を全体的に、また内から把握することがいかに大事かを思い知らされる。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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