言葉を失うほどだ。笹原さんは映画「おくりびと」でも知られる納棺師。故人がどんな状態であったとしても、生前と同じ表情、できるだけ微笑をたたえる顔にする「復元納棺師」。3.11東日本大震災のあとは、それこそ不眠不休で復元ボランティアで安置所を回って頑張り抜いた。想像を絶する世界、想像を絶する戦いだったと思う。
死は人に悲しみをもたらすだけでなく、人をやさしくする。受け容れ難い死を受容してはじめて泣くことができる。そして「ありがとう」という言葉や「こっちも頑張るからね」という言葉、笑いまで出るところまで、笹原さんは心を込め、故人と対話し、家族の思いを引き出す。本当に「有難う」「ご苦労さま」としか言葉が出ない。