大変化 経済学が教える2020年の日本と世界.jpg「決められない政治」「短命内閣」が続いてきたが、安倍内閣の3年は、茨の道が続いてはいるが、「未来を構築する政治」「前に進む政治」が始まったと思う。今、世界は、社会は大きく変化している。「経済学が教える2020年の日本と世界」と副題にあるが、「『どうなる』ではなく『どうする』かだ」「2020年東京五輪は、日本にとって最大かつ最後のチャンス」という。同感だ。

時代の「大きな流れ」が提示されるが、結論は「課題も多いが日本の未来は明るい」ということ。いや「明るくしよう」ということだ。「改革のモメンタムが到来する」「アジアの中間所得層はあと数年で3.5倍に膨張する」「グローバリゼーションは選択ではなく、事実としてある」「"仲間"と"英語"で生き残れ」「2027年、リニア新幹線で世界最大のメガリージョンが生まれる」「"正社員"より"自由な働き方"をめざす時代」「終身雇用・年功序列の強要は時代不適合」「同一労働、同一条件の実現に向けて」「雇用で重要なのは多様性と柔軟性」「2020年の日本の姿」「日本の農業の未来はオランダ式、土地の広さではない」「突破口となる国家戦略特区」「空港のコンセッションで地域活性化」「"日本版DMO"を外国人観光客誘致のテコに」「社会保障の主役を若者に」「やるべきことをやれば財政問題は解決できる」「世界経済、変化する者だけが生き残る」・・・・・・。

「どうするか」を考える「未来予想図」が提示される。


京大式おもろい勉強法.jpg京大総長になっているのが、世界的なゴリラの研究者ということ自体が面白い。これは"勉強法"ではなく、人間学、人間論だ。サル、ゴリラ、人間――。ゴリラを通して人類の由来や人間とはどんな動物であるかが浮き彫りにされる。それに、アフリカの人たちとの付き合い、フィールドワークが付加され、対話や対人関係の術がいかに大事かを学ぶことができる。

「"時間を切断してしまう"文明の利器」「"共にいる"関係を実らせてこそ幸福感」「ニホンザルとゴリラの目の合わせ方」「食事や会話は、対面を持続させる」「ゴシップが道徳をつくった(生の会話、うわさ話、雑談が大事で、文字情報だけで世界を判断しない)」「言葉より"構え"を磨け」「"分かち合って"食べる、飲む」「同調するなら、酒を飲め」「酒は"ケ"から"ハレ"へのスイッチ」「恋と動物」・・・・・・。

きわめてすぐれた人間学、人間論が自身の蓄積のなかで語られる。


在宅介護.jpg団塊の世代が75歳以上となる2025年問題。私はそれが80歳以上となる2030年問題がより深刻だと思うが、介護の問題は切羽詰まった段階に来ている。

副題に「『自分で選ぶ』視点から」とあるように、介護の実態をわかりやすく説明している。「施設介護から在宅介護へ」は政府の大方針だが、施設も在宅介護も困難に直面している。「在宅介護の困難さ」「サ高住」「介護離職者10万人」「パラサイトシングル介護者の増加」「認知症高齢者の急増」「地域包括ケアシステム」「施設あっての在宅介護」「看護と介護(医療と介護の表裏一体)」「介護士不足」「介護保険制度の改正がもたらしているもの」「あるべき在宅介護と財源論」・・・・・・。

「介護」については、たしかにキメ細かく体制をとってきた。しかし、高齢者急増の大波に応える体制が財源的にも整えられない。医療も含めて"担い手"の不足がより深刻化している。さらにそもそも高齢者はどう生きていくか、生活していくか、という根源の問題が重くのしかかっていて厳しさを増している。裕福で人にも恵まれている高齢者は少ない。本書は現場の実態と「介護のあり方」の道筋を冷静に示している。


Yの木.jpg「たそがれ」「首飾り」「シンビン」「Yの木」の4つの短編集。いずれも精緻に人生を深層から描き、円熟を感じさせる。

第一話の「たそがれ」では、和歌山の貧しく素朴な姉弟が、楽しみにしていたユニバーサル・スタジオ・ジャパンで会う。つらい人ほど、純粋な愛情がかわされることや、互いのかすかな変化に、日常が脆くて危なっかしいものであるかが浮き彫りにされる。

その「人生の脆さや危なっかしさ」が、他の小説でも描かれる。「Yの木」では、大瀬東二の「ガラスの壁」、カミュ、カフカの作品が深く心層に根付き、老年の喪失感は死と直結することを描く。それは、老年における"生の意味"を問いかける。


欧州統合、ギリシャに死す.jpgギリシャ問題の解決は難しい「終わらない危機」だ。まずギリシャという国が、歴史的にも地政学的にも重要であるとともに、1820年から今年2015年までの195年間のうち90年以上が「債務不履行期間」に当たる"常習犯"であるということだ。そして今もチプラス政権の迷走、支離滅裂な行動は続いている。そして「ユーロという仕組みは"矛盾"を内包した仕組みです。そこにはドイツとフランスという二つのリーダー国の根本的な思想の違いに起因する"矛盾"が存在する」「欧州統合は、フランスにとっては文化的な"夢"であり、ドイツにとっては経済的な"現実"であり、ユーロ加盟国に厳格なルールを導入しようとしている(欧州統合の夢か、ゲルマン・エリート・クラブか)」という根本矛盾が背景にあると指摘する。

ギリシャは今、極端な緊縮財政がとられ、GDPは2008年から1/4ほど消滅し、失業率は25%と大恐慌時のアメリカ並み、若年者の失業率は50%以上、今後さらに第三次支援策の下でも強引な緊縮策が予定される。

ギリシャの危機は、ギリシャを超えて「ユーロ自体の存続の問題」にまで拡大しているが、竹森さんは一つの解決法としてドイツ、フランスが交わりようのないそれぞれの考えのなかで、「ギリシャは特例だ」という認識をもち、「一番無理のない方法でいずれにしても必要な"債務の減免"を実行する」ことだと提起する。今年のギリシャ、独仏、IMF等の動きを丁寧に分析し、その構造を解説している。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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